グーグル日本法人は2013年7月30日、メディア接触履歴が有権者の投票行動にどのような影響を与えたかについて、調査結果の速報値を発表した。この調査は、7月21日に行われた第23回参議院議員通常選挙について実施されたもの。速報値によると、5月後半から投票日までの約2ヵ月の間に、9割超の人がテレビで政治関連の情報に接触。一方、Webサイトで政治関連の情報に接触した人の比率は4割程度で、特に政党の公式サイト(候補者のサイトを含む)に接触した人は、すべての政党で1%台に過ぎなかった。

 この結果について、速報値の発表会見に出席した慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科の曽根泰教教授は、「ネット選挙は空振りだったとも考えられるし、改善するきっかけが与えられたともいろいろな解釈ができる」と語った。

 調査では、このほか「各政党に関係したワード検索と、各政党への投票に相関関係は見当たらない」「政治関連情報への接触は、自民党と共産党に投票した人はWebサイト、民主党とみんなの党はテレビが多い」といった傾向が明らかになった。

 同調査では、曽根教授がプロジェクトの委員長を務め、グーグルが調査デザイン・分析レポートの作成、インテージが「シングルソースパネル(i-SSP)」によるメディア接触履歴のデータ収集、ブレインパッドがテキストマイニングによるデータ分析を担当している。

 シングルソースパネルは、個人単位でテレビの視聴履歴やインターネットの閲覧履歴を収集するトラッキングシステム。テレビの視聴履歴は、テレビの横に設置された専用装置が音声で番組を判別して記録。録画番組を再生する場合も、過去1週間以内の番組であれば記録できる。ネットの閲覧履歴は、パソコンやスマートフォンに専用ソフトをインストールして収集する。

 メディアの視聴履歴は、関東在住の約2400人のモニターから収集。これらのモニターには5月、6月、7月の選挙前・選挙後の計4回にわたってWebアンケートを実施しており、メディア接触履歴が支持政党や投票行動に与えた影響を検証する。特に、時系列による意識変化や政治意識に基づくセグメント別の分析を今後進める予定だが、「最終的な調査結果の公表範囲と時期は現在検討中」(グーグル広報)としている。