SNSの機能を社内向けに応用したシステムまたはサービス。遠隔拠点とのコミュニケーション促進や、ナレッジ共有の目的で利用する企業が増えつつある。


 グローバル対応を進める企業にとって重要な課題の1つは、各拠点の人材といかにコミュニケーションを取るかです。電話やテレビ会議といったツールの場合、海外とのやり取りではお互いの時差を考慮しなければなりません。簡単な業務連絡には電子メールを使うのが一般的ですが、最近は社員一人ひとりが受け取るメールの数が増え、重要なメールを見落とすリスクが高まっています。

 こうしたなか、メールを代替する、もしくは補うコミュニケーション手段として社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に注目が集まっています。フェイスブックやミクシィといった個人向けSNSと同じ機能を、社内専用で使いやすいように応用したものです。米マイクロソフトの「Yammer(ヤマー)」、米セールスフォース・ドットコムの「Chatter(チャター)」、サイボウズの「サイボウズLive」などのサービスがあります。

効果:遠隔拠点の人材の状態やスキルを掌握

 社内SNSを拠点間のコミュニケーション手段として応用する場合、ツイッターなどに似た“つぶやき”機能や掲示板機能を利用します。例えば、同じプロジェクトに携わるチームメンバー全員が、お互いが発信する情報を閲覧できる状態にしておきます。進捗があるごとにつぶやいたり、掲示板に書き込んだりすることで、メンバーの状況を把握する仕組みです。最近の社内SNSの多くはツイッターのような「タイムライン」と呼ばれる画面設計を採用し、メッセージが時系列に並ぶようにしています。これにより利用者は情報の流れが把握しやすくなっています。

 連絡手段としての用途に加え、各拠点の人材が持っているナレッジを共有する目的で社内SNSを運用する企業も増えつつあります。ある拠点で浮上した課題を別拠点の人材が既に経験しているというケースはしばしばあるもの。社内SNSのプロフィール用ページなどに人材のスキルや経験を記載しておけば、課題に直面した際に社内SNSを通じて課題の解決を早められます。