中国・上海市の中心街からクルマで50分ほど南下したところにある上海交通大学のキャンパス。鄧小平引退後の中華人民共和国の最高指導者、江沢民氏が卒業したことでも知られる中国屈指の名門大学だ。
2014年12月21日。この日は気温摂氏5度だが、風が強く、底冷えする寒さがキャンパス全体を包み込んでいた。午後2時、司会の女性が発した「グッドラック!」のかけ声とともに、同キャンパスの「100号会議室」の教室内は一斉にカタカタとキーボードの打音が響き始めた。時間が経つとともに、教室に熱気がこもり始める。
若き才能が互いのプログラミング技術を発揮して火花を散らす「CODE FESTIVAL 2014」。リクルートが主催する学生向けプログラミングコンテストだ。日本からは30人の学生が同キャンパスに乗り込んだ。いずれも、2014年11月に開催された日本での本戦を勝ち抜いた選りすぐりのプログラマーである(写真1)。
彼らが競う相手は、海外の優れた学生プログラマー。オンライン予選で上位入賞した中国や韓国、台湾、シンガポールなど36人の学生たちだ。中には米グーグルの内定を既に持っている学生もいる。
ノートパソコンの上にデスクトップパソコン用のキーボードを置いて臨む者もいれば、床に腹這いになって臨む者もいる。休憩用に置かれたスナックに手を伸ばす者はほとんどおらず、皆、真剣な眼差しで画面を見つめる(写真2)。
コンテストで出題される問題は全部で10問だ。問題を解くごとに難易度が上がっていく。3時間の制限時間内で解けた問題の数を競うが、同じ回答数で同着だった場合は、解くのに要した時間で勝負が決まる。
「明らかに前回よりもレベルが高い」。第1回目からイベント運営や出題する問題作成でリクルートを支援しているアットコーダーの高橋直大社長は、決勝戦が終わった後、会場で興奮気味にこうつぶやいた。