あけましておめでとうございます。いよいよ「電力自由化元年」とも言うべき2016年がスタートいたしました。4月から長らく地域独占が続いてきた低圧分野の電力小売りに、新規参入が認められます。今年が日本の電力市場に新たな歴史の1ページを刻む年になることは、疑いようがありません。

 「日経エネルギーNext」は、1月20日発行の2月号で創刊1周年を迎えます。「電力改革が拓く新ビジネス」と銘打って創刊しましたが、2015年は電力小売りの全面自由化に向けた前哨戦と呼ぶのにふさわしい1年でした。

 いまや数多くの企業が電力ビジネスへの参入を目指し、水面下での準備を進めています。制度設計議論はスピードを速め、アライアンスも次々と表舞台に出てきました。

 この1月から電力会社の契約切り替え(スイッチング)の予約受付を始められるとあって、昨年12月には東京ガスや東急電鉄子会社の東急パワーサプライ(東京都世田谷区)などが、いち早く家庭向けの新料金プランを発表しました。1月も電力ビジネスへの参入を発表する企業が相次ぐ見通しです。

主戦場は首都圏、東京電力の100%シェア攻防戦に注目

 電力自由化の主戦場は、経済規模が大きく、電力需要が伸び続けている首都圏にほかなりません。王者・東京電力が100%シェアをいかに守れるか。新規参入組が、どれだけ侵食できるかに注目です。

 最右翼の東京ガスは1月4日から予約受付を開始。関東圏では、お正月早々から東京ガスのテレビコマーシャルが大々的に流れる見通しです。ライバルの東電は、ソフトバンクや日本瓦斯(ニチガス)などとのアライアンスをテコに防波堤を築こうとしています。対する東京ガスは、首都圏の中堅都市ガス事業者やインターネット接続事業者とアライアンスを締結。電力とガス、インターネットの「トリプル割」をひっさげて、東電に挑みます。

 さらに、石油元売り最大手のJXエネルギーが「ENEOSでんき」と銘打ったサービス開始を表明済み。ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(J:COM)や携帯電話大手のKDDIやNTTドコモなどの動向も気になります。ネット業界では、楽天が丸紅と提携して楽天経済圏での電力小売りを標榜しています。

 このほか、ハウジングメーカーなどの住宅系、生協、大手商社なども参入を決めています。12月には、ローソンと三菱商事が参入を表明。コンビニエンスストアやスーパー、家電量販店などの流通系の動きも出てきそうです。