スウェーデンVolvo社は2016年1月に、中型SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の新型「XC90」を日本で発売した(図1)。新開発の中型車両向けプラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)」を初めて採用し、安全装備を強化した。ホワイトボディーへの高張力鋼板の使用比率を高め、質量を軽くしながら衝突安全性能を向上させた。

図1 中型SUVの新型「XC90」
図1 中型SUVの新型「XC90」
新開発のプラットフォーム「SPA」を初めて採用。ミリ波レーダーと単眼カメラを一体にしたセンサーユニットを、フロントウインドー内側に搭載した。
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 12年ぶりに全面改良した新型SUVは、Dセグメントに属する3列シート・7人乗りの4WD(4輪駆動)車である。同車に採用したSPAの特徴は、固定領域と可変領域を分けて、車両を柔軟に設計できるようにしたことである。前輪と前席足元の間を固定領域とし、その他の部分は可変領域になる。エンジン車やプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)など多くのパワートレーンに対応できる。新型で初めて投入したPHEVの場合は、車両前部にエンジンを、車両後部に駆動用モーターを配置する。リチウムイオン電池は、センタートンネル内に設置する。

 こうしたSPAの考え方に基づき新型では、エンジンを刷新した。先代が排気量3.2Lの自然吸気エンジンを搭載していたのに対して、新型は同2.0Lのターボチャージャー付き直噴ガソリンエンジン「T5」と同2.0Lのターボとスーパーチャージャー付き直噴ガソリンエンジン「T6」、T6エンジンとモーターを搭載したPHEV用の「T8」の3種類を用意した。変速機はいずれも8速AT(自動変速機)を組み合わせる(表)。

表 新型「XC90」のパワートレーン
表 新型「XC90」のパワートレーン
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