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「大学病院が抗癌剤を院内処方に切り替え」の静かな波紋

2014/05/28

 東京女子医科大学病院が今年1月から、抗癌剤の処方を院外から院内に切り替えていたことが先週話題になりました。数カ月たってから明るみに出てきており、若干のタイムラグが生じています。

【医薬経済社 RISFAX】「抗がん剤」を院内処方に切り替え 東京女子医大 1月から開始、医療安全・経営面で一致(2014年5月20日)

 私も報道で知るのみなので、正確なところは分かりませんが、今回はこの話題について、報じられている内容を基に考えてみたいと思います。

 これまでにも、院外処方だった病院が院内処方に戻すケースは数例あったと記憶していますが、その主な理由としては、経営上の問題が挙げられることが多かったように思います。今回の東京女子医大病院のケースでも、経営サイドが高額薬剤の処方による薬価差益確保を期待していることが記事からうかがえます。

 ただ、今回のケースでは、もう一つの理由が書かれていますね。

疾病、治療、臨床上の知識が乏しいなど、薬剤師の質にバラつきのある薬局よりも、ハイリスク薬は院内で患者に渡すほうが「医療安全上よい」と考える薬剤部と、高額薬剤の処方による薬価差益確保を期待する経営サイドの思惑が一致。
(RISFAX Headlineより引用)

著者プロフィール

熊谷信(薬剤師・ブロガー)
くまがい しん氏 信州大学経済学部を卒業後、自動車ディーラーの職に就くが、「自分で薬局を開きたい」との思いから、社会人入試を経て東邦大学薬学部へ入学。卒業後、くまがい薬局を開局したが、3年4カ月で廃業し、勤務薬剤師に。2014年4月、長野県諏訪市にららくま薬局を開局。

連載の紹介

熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」
ららくま薬局(長野県諏訪市)を開設し患者と向き合っている熊谷氏が、日々の業務やニュースから感じ取ったことを現場目線で書きつづります。本人のブログ「薬局のオモテとウラ」も好評連載中です。

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