私たちの生活に欠かせなくなったコンビニエンスストア。今日は、その新時代の幕開けを告げる可能性を秘めた話をしたい。

 テーマはコンビニ店内に設置する顧客分析のためのカメラだ。これは何も近未来の話題ではなく、既に現実味を帯びてきている。

写真1●「ローソンパナソニック前店」の天井に設置されたマーケティング用カメラ
写真1●「ローソンパナソニック前店」の天井に設置されたマーケティング用カメラ
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 まずはローソン。2014年2月に大阪で1店舗だけオープンした、直営の次世代型実験店「ローソンパナソニック前店」には、店内の天井に「マーケティング用カメラ」が付いていることで話題になっている(写真1)。実験店とはいえ、普通に買い物ができるローソンだ。記者が訪れた日も見慣れたコンビニの風景が広がっていた。

 通常店との違いは、ここがローソンとパナソニックの提携で生まれた点だ。マーケティング用カメラの設置はその一環である。店舗を訪れる顧客の行動をカメラで観察し、売り場作りや商圏分析に生かす実験を始めている。

写真2●カメラはパナソニック製のネットワークカメラ「i-pro」
写真2●カメラはパナソニック製のネットワークカメラ「i-pro」
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 マーケティング用カメラで来店客の性別や年代を識別したり、店内での行動を追いかけて、品ぞろえやレイアウト、動線の変更などに役立てる狙いがある(写真2)。

 コンビニでは昔からPOS(販売時点情報管理)データの分析が盛んだが、POSデータは販売の「結果」であって、来店客が「買わなかった商品」は分からない。顧客がどんな商品やサービスに興味を示して立ち止まり、手を伸ばし、それでも買うのをやめたのかといった検証はPOSデータではできない。それはコンビニを含めた小売業全体にいえる課題だった。

 カメラはそのための分析ツールになり得るかもしれないわけだ。ただし、使い方を間違えると客離れを引き起こしかねない。