再生可能エネルギー技術や製品の展示会「PVJapan2014」(東京ビッグサイト、2014年7月30日~8月1日)では、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった次世代パワー半導体を実装した、太陽光発電向けパワーコンディショナー(パワコン)の出展が相次いだ。特に三菱電機は、2015年1月の発売を発表したばかりの製品を出展した。「当社調べでは、SiCを用いたパワコン製品は世界で初めて」(同社)という。
三菱電機が出展したのは、パワー半導体素子をすべてSiCベースにした「フルSiC-IPM(intelligent power module)」を搭載したパワコン製品(関連記事)。4.4kWの出力に対応し、直流から交流への変換効率は98.0%であるという。
三菱電機はこれまで、3個のインバーターを組み合わせる独自技術「階調制御型インバーター」で変換効率97.5%を実現したパワコン製品を発売してきた。ただし、複数のインバーターを用いる分、システムがやや複雑になる。一方で、「インバーター1個の場合は変換効率は96%」(同社)にとどまっていた。
これに対し、今回のフルSiC-IPMはインバーターとしては1個で、シンプルな構成ながら変換効率98.0%を実現した。希望小売価格は44万円であるという。同社が2014年11月に発売する変換効率96%のパワコン製品は4.0kW対応で同34万円で、「フルSiC-IPM搭載製品が特段高いわけではない」(三菱電機)という。
パワーモジュールをフルSiCにしたパワコンの開発品は、オムロンも出展した(NEデジタルの関連記事)。出展品は5.5kW対応だが、9.9kW対応品も同じ寸法で実現できるという。直流から交流への変換効率は97.5%。発売時期は未発表だが、「近い将来の発売を検討している」(オムロン)という。
SiCではなく、GaNをパワーモジュールに用いたパワコンを参考出展したのが安川電機である。200V、4.5kW(単相)対応品で、変換効率は98%だとする。
同社は2012年10月に開発品を発表済み(関連記事)。当時は2年以内に製品化したいとしていたが、今回は「製品化は2015年以降」とし、2014年内の発売を否定した。
安川電機によれば、SiCでなくGaNを用いたのは、「GaNのパワー半導体はSiCより9倍も応答が速いため。我々が手掛ける産業用インバーターでは、モーター制御に用いる例も多く、高速応答性が必要になるため、GaNの開発に注力した」(同社)という。