写真●GEソフトウェア部門でバイスプレジデントを務めるビル・ルー氏
写真●GEソフトウェア部門でバイスプレジデントを務めるビル・ルー氏
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 日本GEは2014年11月5日、都内で「GE Industrial Internet EXPRESS Forum」を開催した。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は産業機器から稼働データを収集し、運用・保守に生かす「インダストリアル・インターネット」を全社を挙げて推進中だ。GEのソフトウエア部門でバイスプレジデントを務めるビル・ルー氏は「インダストリアル・インターネットは数兆ドルのビジネスチャンスを生む」と力を込めた。

 ルー氏はセンサーの価格低下やインメモリーコンピューティング、人口知能技術の進化を踏まえ、「(インダストリアル・インターネット普及の)機は熟した」と語った(写真)。例えば、アジア最大の格安航空会社(LCC)であるエアアジアは、GEのサービスを活用し、年間10億円規模の燃料費削減につなげているという。

 ルー氏はインダストリアル・インターネットの推進に向けて、「OT(オペレーショナルテクノロジー)とITの融合が重要」と言う。インダストリアル・インターネットで実現するM2M(マシン・ツー・マシン)システムと、社内情報システムを接続することで、「データ分析を円滑に進め、インサイト(洞察)することが不可欠だ」(ルー氏)。これを実現するには、CEO(最高経営責任者)やOTの責任者だけでなく、「CIO(最高情報責任者)が極めて重要な役割を果たす」(同)と明言。企業がインダストリアル・インターネットによるメリットを生み出すには、事業部門とCIOとの密接な連携が求められるということだ。

 インダストリアル・インターネットを支えるIT基盤を整備するため、既にGEは米EMCや米ヴイエムウェアと手を組み、「データレイク」と呼ばれる産業用データベースの開発を進めている。ルー氏は年内をメドにデータレイクを構築し、あらゆるデータをここに蓄積する考えを示した。膨大なデータをデータレイクで高速に分析することで、「(データサイエンティストといった一部の専門家だけでなく)誰もが“答え”を得られるようにしたい」とルー氏は話した。