企業情報システムの品質を確保するためのカギを握る「テスト」をテーマにしたイベント「Enterprise TEST Fourm 2014」(主催:日経SYSTEMS)が2014年12月10日、TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京都新宿区)で開かれた。会場は立ち見が出るほどの盛況で、ITエンジニアのテストに対する関心の高さがうかがえた。

大規模開発のテストの負荷を、知恵とツールで乗り越える

写真1●商船三井システムズの木村良樹氏
写真1●商船三井システムズの木村良樹氏
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 基調講演には、商船三井システムズの木村良樹氏(システムズサービス1部 システムズサービス3部 兼任部長)が登壇(写真1)。「パターン爆発とテスト計画 ~大規模プロジェクト成功のカギ~」と題して講演した。商船三井グループは、新基幹システム「Minerva」の運用を2014年4月に開始した。同システムの構築に当たり、稼働前に必要なテストのパターン数が膨大になる難題に木村氏らは直面した。

 対策として木村氏らは、開発要求の絞り込みなどでパターンの削減を図るとともに、米HPのテスト管理ツール「HP Quality Center」や機能テストツール「HP Unified Functional Testing」、負荷テストツール「HP LoadRunner」を採用。ツールを駆使して作業の自動化や進捗管理を効率化し、稼働時期に間に合うタイミングでテストのシナリオを完了できたという。

写真2●日本シノプシスの雨宮吉秀氏
写真2●日本シノプシスの雨宮吉秀氏
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 商船三井システムズの木村氏に続き、日本シノプシスの雨宮吉秀氏(コベリティグループ シニアマネージャ)が講演した(写真2)。タイトルは「テストを変える。新しいソフトウェアテストのアプローチ」である。

 雨宮氏は、プログラムを実際に動かしてテストする前に、ソースコードを静的解析してある程度の不具合を検出する重要性を指摘した。こうした不具合をテストフェーズまで持ち越さないことで、プログラムの品質を高めやすくなるという。

 そして米Synopsysの静的解析ツール「Coverity」シリーズを紹介。メモリリークなどの複雑なランタイムエラーを検出できることや、誤検出が少ないといった他の同種ツールに対する優位性などをアピールした。