日本の社長は枕を高くして寝られない時代になってきた。セブン&アイ、LIXIL、ベネッセ、セコム──トップが突然退任する例が相次ぐのは偶然ではない。株主の利益を重視する機運が高まり、社外取締役も活発に動き始めている。トップの退任に創業家が動いた例が目立つが、これも大株主の権利を行使した結果と言える。国を挙げてのコーポレートガバンス強化の流れは、内外の「物言う株主」も勢いづかせる。社外取締役が果たす役割に懐疑的な経営者も多いが、世界の潮流は変えられない。「社長は暴走する」──こんな前提に立ち、株主の声を聞いて自らを律する仕組みをつくれるか。資本市場がグローバル化する中で、社外の「異論」と渡り合えない経営者は淘汰されるだろう。

(大竹 剛、武田 健太郎、鈴木 哲也)

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日経ビジネス2016年6月20日号 26~27ページより目次