本書の内容

今ではもう見られない、世界から消えてしまった偉大な建築を、当時の写真でめぐる一冊。
各建築の由来や見られない理由についてもじっくり読めるほか、所在地・建造年・失われた理由などのデータも記載。

世界には、解体、災害、紛争などが理由で、見られなくなってしまった素晴らしい歴史的な建造物が数多くある。
世に知られた名建築のほとんどは現地へ赴いて実際に目にすることができるが、すでに失われてしまったものや、容易に足を踏み入れられない場所などは、どうやっても見に行くことがかなわない。
幸い20世紀以降は写真が残されている。この写真を通じて、かつて存在した世界をめぐってみよう。

「現在は失われてしまったものの、存在していれば世界遺産級」「現在も残っているものの、何らかの理由で立ち入りが制限されている」「損傷の被害を被ったものの、復元を目指している・復元された」建築を紹介。


目次

1 永遠に失われた偉大な建築

古代神殿さながらの美しい駅舎/大都市を分断した壁/巨大なスラム・ビル/ソビエト時代の巨大ホテル/火事で失われた万博会場/行方不明となった宝石でできた部屋/紫禁城を幾重にも囲む巨大城壁/歴史ある城の跡に建てられた廃墟/一五〇〇年も立ちつづけた石仏/ダムの底に眠る遺跡

2 一部は失われ、一部は残った

「東洋の宝石」と讃えられたホテル/平和のシンボルとなった大聖堂/数少ない優美な螺旋式ミナレット/砂漠の巨大地上絵

3 危機に瀕する遺産

砂漠にそびえる伝説の黄金郷/中世アラブの面影を残す古都/千年前の美しい摩天楼都市/シルクロードの隊商都市/三千年前の栄光を体現した王都

4 再び立ち上がる日

崩れ落ちた大統領宮殿/日本軍と英軍の戦闘で焼失/巨大な茅葺墓/ベトナム戦争の激戦地となった王宮/粉々になった教会/古式を伝える山上のゾン/都市がまるごと保存された廃墟/チベット仏教最大派の総本山/震災を乗り越えるいにしえの王都/黄金に輝くモスク

遺産を守り伝えるために──

文化遺産の保存と修復について

監修者紹介

安倍 雅史
1976年生まれ。東京文化財研究所文化遺産国際協力センター研究員。英国リヴァプール大学博士課程修了。
1997年より、シリア、ヨルダン、イラン、バハレーン、キルギス、アフガニスタン、カンボジアなどで考古学調査と文化遺産保護に従事。
共編著に『世界遺産パルミラ 破壊の現場から シリア紛争と文化遺産』(雄山閣)、『イスラームと文化財』(新泉社)がある。

本書のサンプル

消滅遺産 サンプル画像①
ペンシルベニア駅旧駅舎
消滅遺産 サンプル画像②
北京城壁
消滅遺産 サンプル画像③
ケーニヒスベルク城跡地
消滅遺産 サンプル画像④
バーミヤーンの大仏
消滅遺産 サンプル画像⑤
サーマッラーの螺旋式ミナレット

読者の声

  • 人類として後世に伝えるべきものが消滅する、又は消滅してしまったということについて考えさせられる良い契機となる書籍であり、貴重な資料である。(52歳、男性)
  • 本当にすばらしい本でした。写真だけでなく、歴史と背景があり、わかりやすかったです。特にイスラム文化が好きなので、破壊されたアレッポなどは涙がでました。(32歳、女性)

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シリーズ紹介