アップルは今年、立て続けに発表した2つの新製品で過去と決別した。「iPhone 7/7 Plus」ではイヤホン端子を廃止、「MacBook Pro」では逆にイヤホン端子こそ残したものの、インタフェース類はUSB Type-Cと同じコネクター形状のThunderbolt 3端子を2ないし4つに集約。これまでのMacBook Proが備えてきたUSB-Type AやHDMI、Thunderbolt 2(Mini DisplayPortと同形状)にSDカードスロット、MagSafe電源端子といった入出力部をきれいさっぱり取り去った(図1)。

図1●「iPhone 7」(上)からはイヤホン端子が、「MacBook Pro」(下)からはイヤホンとThunderbolt 3以外の端子が消えた
図1●「iPhone 7」(上)からはイヤホン端子が、「MacBook Pro」(下)からはイヤホンとThunderbolt 3以外の端子が消えた
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 いずれも事前の噂でささやかれてはいたが、実際に登場するとやはりインパクトは大きかった。代わりに、iPhoneでは耐水・防塵機能やスピーカーのステレオ化を、MacBook Proでは先代よりよりもさらに薄く、軽くなったボディーを手に入れたものの、ユーザーの間では賛否両論。もちろん、長い目で見れば、進む方向はこちらだろうと思えるのだが、それでも「今このタイミングで本当に無くすか?」と戸惑ったユーザーは少なくないだろう。

 もっとも、こうした過去の切り捨てはアップルの場合、珍しい話ではない。象徴的なのは、フロッピードライブやシリアル、SCSIポート、ADB端子を一気に無くし、CD-ROMドライブとUSB、LAN端子だけに絞った初代「iMac」(1998年)だが、初代「MacBook Air」(2008年)のときも、本体が備えるのはUSB端子とディスプレイ出力がそれぞれ1つと電源端子だけで、周囲をあっと言わせた。昨年3月に登場した「MacBook」に至っては、電源供給も兼ねたUSB Type-C端子が1つのみ、という徹底ぶりだ。