今週初めに知人から、Read For Actionの読書会で日経バイオテク編集部が発行に関わった書籍「世界最高のバイオテク企業」(ゴードン・バインダー著、日経BP社発行)を取り上げるので、顔を出さないかと誘われ、どんなことが行われるのかと興味があったので覗いてきました。

「世界最高のバイオテク企業」はこちらをご覧ください。
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/239780.html

 Read For Actionとは、私も初めての参加であり、かつ1回経験しただけなので正しく理解できているかちょっと不安ではありますが、私の理解は以下のようなものです。原則、参加者は事前に本を読まずに集まり、短時間で手分けして書籍の中からエッセンスを抜き出し、他の参加者にその内容を説明することでその書籍の魅力をシェアするとともに、その内容を自分の行動にどうつなげていくかを宣言することで、具体的なアクションへと発展させていこうというものです。

 私が経験した読者会は10人足らずの参加者で、時間も2時間程度だったのですが、参加者がそれぞれ自分のテーマを持って斜め読み(という言い方が適切なのかよく分かりませんが)することで、300ページに及ぶ単行本の中に書かれているエッセンスがあれよあれよという間に抜き出されていって、著者の伝えたいことが瞬く間に共有化されていきました。また、その作業を1人でではなくグループでやることによって、他の参加者の感性を参考にしながら、自分の行動につなげていくぞというモチベーションが高まる気もしました。

 もちろん、短時間で読み取る作業だったり、他の参加者が読みとった内容を聞くだけだったりするので、重要な部分を読み飛ばしてしまったり、じっくり読み込むのとは理解の深さが異なったりはしますが、「そんな話が書いてあるのか」と聞くだけで、「家に帰ってじっくり読んでみよう」という動機づけにもなり、読書の機会を促すという点でもユニークな方法だと思った次第です。

 で、この読書会で取り上げた「世界最高のバイオテク企業」。もちろん私は初めて読んだわけではありませんが、参加者が読み取った内容をプレゼンするのを聞いて、実に魅力的な経営書だと改めて思いました。この書籍は米Amgen社の元CEOが、1980年代頃の草創期から2000年頃までに掛けて経験してきたことを記したものですが、そこに書かれているのは単なる経営者の体験談ではなく、Amgen社の経営哲学であり、職員が共有していた企業としての価値観を文章にしたものです。英語の原題が「Science Lessons」であることからも分かるように実に科学に基づいた経営というものが、当時の同社で徹底されていたことがよく分かります。「世界最高のバイオテク企業」という邦題のため、バイオ業界関係者以外には縁遠い書籍と思われてしまったかもしれませんが、バイオ関係者だけではなかった勉強会の参加者の声を聞いて、どんな業界にも役に立つ、普遍的な企業の経営書であるということをあらためて認識しました。バイオ関係者に限らず、まだお読みになっていない方は、ぜひ手に取ってみてください。

http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/239780.html