47都道府県の地元密着型スーパーマーケットを訪ね歩き、従業員さんにインタビューをし、味とデザインの両面からおいしいものを探す…スーパーマーケットマニア、森井ユカさんの新刊、『地元スーパーのおいしいもの、旅をしながら見つけてきました。47都道府県!』。その中から、出張で立ち寄った際に、おいしいのはもちろん、お土産として「自分で移動中に楽しめる」「数があって会社でばらまける」「家に持ち帰って家族を喜ばせる」ものを厳選し、日経ビジネスオンラインでご紹介していきます。

 第3回目は愛知県の津島。

 愛知県の名古屋や豊橋には年に数回出張しているが、それ以外の地域に行くことはほぼ、ない。せっかくの機会なので未踏の地、川魚と農作物に恵まれた津島市を訪ねることにした。

 津島は、戦国大名、織田信長の財政を支える尾張国の商都だった。そのため、「信長の台所」との異名を持つ。ああ、学生時代は大の苦手であった日本史が、大好きなスーパーマーケットのバックグラウンドとなるとそれなりに頭に入ってくるから不思議だ。

 伺ったのは津島駅「ヨシヅヤ・津島本店」。地元のお客さんで賑わう大型店だ。例によって、「車中(主に新幹線などの車内で、自分で楽しむ)」「会社(いくつか個数が用意でき、大人数に配れそうなもの)」「家庭(家族が喜んでくれそうなもの)」と、目的別に分けて選んでみた。

「車中」のためのお土産

「もろこ寿司」(惣菜コーナー)
「もろこ寿司」(惣菜コーナー)

 小魚の「もろこ」は、フナとは別種の川魚。このもろこや椎茸の佃煮、錦糸玉子、でんぶなどで飾った押し寿司がもろこ寿司だ。具の種類や味付けは家庭やお店によって違い、流れる川を模したようなデザインが美しい。

 最近では業者はどんどん少なくなり、津島に数軒残るのみとなっている。佃煮の味付けで、醤油なしでこのままいける。「信長も口に運んだ寿司なのかも…」などと思えば、車窓からの風景も歴史を感じさせる、かもしれない。

「会社」のためのお土産

「オリエンタル即席カレー」(オリエンタル)
「オリエンタル即席カレー」(オリエンタル)

 昭和20年創業のオリエンタルによる、香辛料抑えめのマイルドなご当地カレー粉。レトロで愛らしいパッケージにグッとくる。

 残業食やおやつのフライドポテトや唐揚げなどに一振りして、いつもと違う味を楽しんでもらってもよし。持って帰って自宅で使ってもらってもよし。カレーはもちろん、焼そばやチャーハンなどに、アイデア次第で応用が利く、可愛い外観にもかかわらず、かなり実用的なお土産なのだ。

「家庭」のためのお土産

「太陽ケチャップ」(太陽食品工業)
「太陽ケチャップ」(太陽食品工業)
[画像のクリックで拡大表示]

 愛知でよく使われる調味料としては、醤油よりもソースやケチャップの印象が強い。素朴なラベルがひときわ目立っていたこのケチャップ、地元の小さい工場で作られているらしく、大量には並ばないので見かけたら即ゲットがお約束とのこと。

 トマトそのものの味が濃くてほんのり甘く、オムライスや玉子焼きにピッタリ。このケチャップのために料理がしたくなる味だ。

レアな「赤味噌」をパックでお持ち帰り

[画像のクリックで拡大表示]

 愛知といえば赤味噌、売場での空前の赤味噌率には目を奪われる。

 みそ汁だけではなく、みりんなどで溶きのばした味噌ダレもよく使われていて、トンカツ、コンニャク、豆腐、おでんにもよくつけるらしい。以前愛知出身の友人から「コンニャクが好きというより、赤味噌を食べるためにコンニャクが必要」という話を聞いて、ちょっとした衝撃を受けたこともある。

 売場には小さなパックから大きくて樽のようなパックまで各種あるので、もうひとつのご家庭土産として、地元メーカーの小さなものを選んで愛知の味を楽しんでみるのもいいかもしれない。

まずは会員登録(無料)

登録会員記事(月150本程度)が閲覧できるほか、会員限定の機能・サービスを利用できます。

こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。