NASAの探査機「ニューホライズンズ」は、日本時間の7月14日午後9時ごろ冥王星へ最接近した。それから数時間に渡って、探査機は旋回しながら7台の機械をフル回転させ、冥王星と5つの謎多き衛星の観測を行った。
1930年にクライド・トンボー氏が初めて発見した当時の冥王星は、おびただしい数の星々にまぎれて小さく光るひとつの点だったのが、技術の進歩により、画像は次第に鮮明なものへと進化してきた。
これまで公開されてきた写真から、ニューホライズンズが届けてくれた最新の画像まで、冥王星の写真の変遷を見てみよう。最接近を終えたニューホライズンズは、これからも次々に誰も見たことのなかった画像を届けてくれるだろう。お楽しみは、まだまだこれからだ。
おぼろげな表面写真
1996年、ハッブル望遠鏡に搭載されている欧州宇宙機関の微光天体カメラが撮影した冥王星の初の表面画像。明るい部分と暗い部分が何を表しているのかが気になる写真である。
新たな衛星
2006年、ハッブル望遠鏡により新たに冥王星の衛星が2個発見され、ニクスとヒドラ(一番右)と名づけられた。冥王星の右側に写っているのが、最大の衛星カロン。現在、冥王星には5個の衛星があることが分かっており、ニューホライズンズは他にも衛星が隠れていないかを調査する。
接近前のベストショット
2010年のハッブル画像には、オレンジ、白、黒のまだら模様の世界が写し出されている。NASAは、中央にある謎の明るい領域を詳しく観測するため、ニューホライズンズの最接近のタイミングを調節した。この部分は、今ではハート型をしていることが分かっている。
ニューホライズンズより届いた初の画像
2015年4月9日、1億1500万キロ離れた位置からニューホライズンズが撮影した冥王星とカロン。同探査機が初めて撮影した冥王星のカラー写真である。
仲良し
2015年4月12~18日に撮影された連続画像。冥王星とその最大の衛星であるカロンが、互いに同期回転している。2つの星は重力で引かれ合い、互いの大気も交換し合っていると考えられている。
ハート型
2015年7月7日に撮影された画像には、直径2000キロのハート型の模様がはっきりと写り、インターネットで話題になった。7月4日に、ニューホライズンズとの通信が一時的に途絶えた後、最初に送信されたもの。
間近へ迫る
2015年7月8日に撮影されたこの写真では、冥王星(右)とカロンの色の違いがはっきりと分かる。冥王星は銅褐色、カロンは淡い灰色をしている。2つの天体が大きく異なることに科学者たちが驚かされた一枚だ。
クジラの尾びれ
2015年7月9日に撮影されたモノクロ写真。赤道付近に、巨大な黒いクジラの尾びれの形をした模様が見える。H. P. ラブクラフトの小説に登場する、一部が人間、一部が竜、一部がタコのキャラクターにちなんで、科学者たちは、非公式にこのクジラをクトゥルフと名づけた。
さらに鮮明に
最接近を間近に控えた2015年7月11日にニューホライズンズが送信してきた画像。冥王星の表面がさらに鮮明に写し出され、クレーターや多角形をした地形などが興味をそそる。あなたには何が見えるだろうか?
最後の姿
2015年7月11日、ニューホライズンズは最接近直前、カロン側から見た冥王星の最後の姿をとらえた。400万キロの位置から撮影され、多角形の地形がさらにはっきりと写っている。
回転するハート型
2015年7月12日撮影の冥王星。明るいハート模様が撮影領域(左)へ周り込んできた。中心に点のある巨大なクレーターと思われる多角形は、反対側へ隠れようとしている。7月14日の最接近の際には惑星の反対側に完全に隠れてしまって、姿を見ることはできない。
美しい色の世界
最接近前日の2015年7月13日に撮影。この画像を最後に、ニューホライズンズは地球への通信を一時的に停止し、観測に専念する。ハート部分は、平坦な地表であることが分かる。このエリアで何か地質学的な作用が起きているのではないかと考えられる。
カラー強調
冥王星とカロンの地形をより鮮明に見ることができるよう、ニューホライズンズ搭載の「ラルフ」と呼ばれるフィルターを通したカラー強調画像。ハート模様の内側も、色の違いによってどのような地形になっているのかが分かる。
富士山級の氷の山
7月14日に撮影された冥王星の表面。富士山級(約3500メートル)の氷の山が見つかった。