ここ数年、東京を訪れる外国人が増えた。だが、観光客たちは一体何を期待してきているのだろう──。買い物、食事、独自のカルチャー、街の雰囲気…。国際都市としての東京、そして日本の魅力を問われると、はたと考えこんでしまうほど日本人自身はその可能性を分かっていない。さらに未来の話となればなおさらである。ならば、まずは日本の明るい可能性を語り合おうではないか。

 今回の鼎談のテーマ「これからの都市と地方」。鼎談相手は、オイシックス社長の高島宏平氏。そしてもう1人がA.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明氏。グローバルな視点から東京の活性化を提案する『NEXTOKYOプロジェクト』の発起人でもある。

(連載 第1回第2回第3回 から読む)

左から、筆者(楠本修二郎)、A.T.カーニー 日本法人会長の梅澤高明氏、オイシックス社長の高島宏平氏。(写真:的野弘路)
左から、筆者(楠本修二郎)、A.T.カーニー 日本法人会長の梅澤高明氏、オイシックス社長の高島宏平氏。(写真:的野弘路)

「日本版ダボス会議」で出会う、そんな交流の場がもっと必要

楠本:最近、1人で生きているのではなく、「共存している感覚」を持つことがとても大切な時代になってきたと思っているんです。人間だけではなく、国内の地域や世界の各都市もそう。「共存」という視点で、国際問題から隣近所の問題まで見ていけば、もっとポジティブな発想・アイデアが出てくると思うんですが、お二人はどう思いますか。

高島:以前は、農業界であれば農業界だけで固まっていました。そして、外食業界には様々な団体が業界内にあり、団体内の中には各々のコミュニティは存在していたんですが、その境界線を超えることがほぼない状態。言ってみれば、人と人同士はすぐ友達になれるけど、国同士になるとあんまり仲がよくなれないのと同じ感覚でした。境界線を越えることで、実はとても良い化学反応が起こりやすいのにもったいないなぁと思っていました。

楠本:僕は外食業で、高島さんは食品の流通業。その出会いはG1サミット(グロービス経営大学院の堀義人学長らが主催する「日本版ダボス会議」。今後の日本・世界を担っていくリーダーが学び、交流する場を提供する。2009年から毎年開催)でした。そういう交流の場があれば、境界を超えて簡単に繋がることができます。

 そういう新しいきっかけをつくる場、業界を超えたプロジェクトがもっともっと必要ですね。お二人とは、『東京ハーヴェスト』や『NEXTOKYO』というプロジェクトでご一緒しています。この2つは、共に「東京」がキーワードになっているのですが、これからの東京は、どのように変わっていくと思いますか?

地方には「資源」がたくさん眠っています

梅澤:高度成長期から今までの日本は、地域が人を供給して、都市に集まった人たちが産業を興し、その産業が生み出した富が国全体に再配分されてきた基本的に一方通行な状態でした。だけど、産業が高度化し、サービス化してきて、かつインバウンド観光というものが重要な産業になってきました。インバウンド観光にしても、食にしても、実は地域が鍵を握っている。沢山の資源が眠っていて、それをどれだけ活用できるかが、国力向上には大事なんです。

楠本:地方に眠っている「資源」?

梅澤:自然や食や歴史遺産など、様々な素材が地域に眠っていますよね。大事なのは、それらの素材を発掘、編集して、魅力的な観光資源に磨き上げ、情報発信していくこと。Uターンだけでなく、Iターンも含めて、いろいろな人が地域に入っていって、こんな動きを活性化することが必要です。

楠本:そうすると、東京の役目はどうなるのでしょう?

<b>梅澤高明(うめざわ・たかあき)氏</b><br/><b>A.T.カーニー 日本法人会長</b><br/>東京大学法学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクール卒(MBA)。経営学修士。日産自動車を経て、A.T.カーニー(ニューヨーク・オフィス)入社。日本・米国の大手企業を中心に、戦略・イノベーション・組織関連のコンサルティングを実施。クールジャパン関連の政府委員会で委員を歴任。著書に『最強のシナリオプランニング』など。
梅澤高明(うめざわ・たかあき)氏
A.T.カーニー 日本法人会長
東京大学法学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクール卒(MBA)。経営学修士。日産自動車を経て、A.T.カーニー(ニューヨーク・オフィス)入社。日本・米国の大手企業を中心に、戦略・イノベーション・組織関連のコンサルティングを実施。クールジャパン関連の政府委員会で委員を歴任。著書に『最強のシナリオプランニング』など。

梅澤:本来は地域の住民が直接、世界に情報発信をしていければ良いのですが、東京から遊びに行った人たちがその地域の魅力に惹かれて行き来するようになり、情報発信のハブとなるケースも少なくない。

 今まで以上に、豊富な結び付きが大都市とそれ以外の地域にできてくれば、日本はとても豊かになるしもっと魅力的な国になるはずなんですよ。

楠本:いわゆる“よそ者”たちが入ってきて、その地域の魅力を再発見して、地域イノベーションを起こしていくということが始まってきたということですが、一方で、地方の在り方はどうなっていくでしょう。

高島:楠本さんも著書の『ラブ、ピース&カンパニー これからの仕事50の視点』で紹介していますが、例えば、東北だと震災以降、人が移住し実際にその場で新しい事業や仕組みづくりに取り組み、成果を出し始めているケースも増えてきましたよね。

梅澤:ちょうど日本がそういう転換を必要としていたタイミングだったということもあると思います。そして、東日本大震災からの復興を前向きに良いきっかけにしようと思う人たちが、地元からも現れて、少なくとも局所的にはいい意味での化学反応がいろいろ起こっているとみています。

楠本:いろいろな人が混ぜ合わされることで新たな動きにつながり、プラス効果を生んでいますよね。

よそ者目線で発掘できるはず

梅澤:最近、外国人が、これまで日本人もあまり見向きもしなかったようなマイナーでディープなところに移住して、いろいろとピックアップしては、世界に発信してくれることが本当に多くなってきました。東京にいる日本人にだってできるはずです。よそ者目線で都市や地方の見えない価値をどんどん発掘してほしいです。

楠本:高島さんがサポートしている「越後妻有のアートフェス」にも近いイメージがあります。「よそ者目線」で見て面白いことを発掘し、しかもアート作品にすることによって社会問題提起や、それによって社会を変えようというソーシャルインパクトになっていたりしますから。

高島:そういう地域のイベントや戦略の重要性が相対的に上がってきていると思います。例えば、国対国で問題解決ができないことが地域同士なら解決できたりするようなこともありえます。国という概念よりも、都市やさらに地域単位。世の中を明るくするパワーは国がつくるんじゃなくて、都市や地域が牽引し、つくっていくようになると思います。

楠本:そうですね。アメリカではなく「ポートランド」とか、スペインではなく「サン・セバスティアン」などが、いい例ですよね。ポートランドは“クリエイティブ”、サン・セバスティアンは“美食”といったように、キーワードがあり、キャラクターの立っている街は魅力的ですよね。

国ではなく、世界が「都市」の連合体になっていく

梅澤:そもそも国ではなく、都市単位で動けばもっと速くなります。そしてその方が、アイデンティティも明確にしやすい。要は世界中がシンガポールみたいな感じになる。シンガポールがあれだけ早く動きを決めて前に進めるのは、都市規模だからだと思います。

楠本:企業単位に近いイメージですね。

高島:それがこれからの方向観なのかもしれませんね。そういう小さい単位が主役になっていく。

自分たちの街は何の街? 大切にしたいものを世界の街と共有

<b>高島宏平(たかしま・こうへい)氏</b><br/><b>オイシックス社長</b><br/>1973年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。米マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社入社。2000年オイシックス設立、社長に。2013年東証マザーズ上場。著書に『ライフ・イズ・ベジタブル オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント』『ぼくは「技術」で人を動かす』など。
高島宏平(たかしま・こうへい)氏
オイシックス社長
1973年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。米マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社入社。2000年オイシックス設立、社長に。2013年東証マザーズ上場。著書に『ライフ・イズ・ベジタブル オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント』『ぼくは「技術」で人を動かす』など。

高島:街単位での成功例は出てきていますが、どういうことをやっていけば次のステップとして進めるのでしょう。

楠本:より地域同士の交流が混ざっていくことが大切ですね。例えば、それぞれの街が何の街なのかということを宣言し、そして近くの地域同士でその価値を共有して、次に世界のどの地域と同期できるかを見つける。世界と同期する街を決めるとそこに国を越えたアクションが生まれます。類似点を探ることで自分たちのキャラクターを再発見することもできるし、世界的にどう売っていくかということも学べる。

梅澤:外から見ることで新しい価値を発見する。さらに価値観を共有する都市同士で知恵を交換することで、互いに進化していくという動きですね。

楠本:例えば、逗子にあるシネマアミーゴ(CINEMA AMIGO)というカフェが、シネマキャラバン(cinema caravan)という移動式の映画館をつくり、逗子の海岸で「逗子海岸映画祭」をやりました。それが、かっこいいと評価されてスペインのサン・セバスティアンの国際映画祭に招待されました。サン・セバスティアンは美食の街として知られ、キャラクターが立っている街なのですが、親交が深まり、スタッフ同士で勝手に姉妹都市を宣言し、今度はサン・セバスティアンの人が逗子に来て、地元の人たちにバスク料理を教えるという、映画だけでなく食での交流も生まれたんです。そういうことが大切なんだと思います。

 そのチームは、次にインドネシアの古都で現在はヒップ・クリエイティブ・タウンでもあるジョグジャカルタとも交流を持っています。

 そうやって小さい単位でネットワークになりながら広がってきているというのが、面白いですよね。

逗子海岸映画祭
逗子海岸映画祭
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では、巨大都市が巨大都市でありつづける理由は?

楠本:メトロポリタン都市としてのロンドン、ニューヨーク、パリ、東京、そこに追随してきている北京、シンガポールがあると思いますが、この中での東京はどういうふうに存在感を出していけばいいでしょうか。

梅澤:存在感を高めるための必要条件と十分条件があります。必要条件は、グローバル都市としての必要な環境が整っていること。どこの国の人にとっても、快適な滞在や居住が可能で、ストレスなく働ける都市であることです。外国語による生活サービスの拡充、高度・専門人材に対するビザ緩和、子息の教育や生活の環境を整備することなどが重要です。十分条件は、世界の都市競争の中で、どこで突き抜けて圧倒的ナンバーワンの価値を作るかというポイントです。ニューヨークやロンドンやパリの真似ではなく、東京の凄い部分、世界に誇るエッジをどう強調するかという問いですね。NEXTOKYOでも議論を重ねていますが、クリエイティブシティとしての側面が、東京のエッジとして最も重要だと思います。

楠本:今まで都市というと、人口が多く高層ビルが沢山建っているところという感覚でしたけど、これだけネットワークが発達し、情報が簡単に手に取るようになってくると、都市の役割が変わってきていると思うんですが。

高島:都市の機能として残るのは何なのか? 先ほどの必要条件でいうと、東京が凄い部分は「治安」ではないでしょうか。落とした財布が戻ってくるじゃないですか。それが東京であり、日本の凄さだとすれば、それは「治安」だと思います。日本人は性善説が主になって、そのような治安を保持できてきました。しかし今後、外国人が増えてきた時にそれを同じように性善説で見るのか、それとも海外のように性悪説で見るのかが大事なポイントになってくるんだと思います。

楠本:そういえば、ポートランドはすごく治安がいい。ブルックリンも以前より治安がよくなった。治安の良さは街の魅力を高めるうえで大きいですね。

梅澤:東京のシェアオフィスの方がニューヨークのシェアオフィスより使いやすいのは、例えば会員になって前金を払わなくても使えたりするところです。つまりそれは、ニューヨークは機材を持ち逃げする人がいる、ということを前提にしているから、先にセキュリティーを担保している。それは性悪説ですね。性善説の日本の方がいろいろな面で便利です。

高島:東京は世界でも1、2の治安のいいメトロポリタンだとしたら、性善説で人を集めていくのが良いな。僕としてはずっと東京に居続けたいです(笑)。

楠本:治安がいいとポジティブな人が集まり、ポジティブな人はクリエイティブ志向な人が比較的多く、彼ら同士の会話やアクションが成り立ちやすくなる。良い循環ですね。

梅澤:なぜか分かりませんが、長く日本に住んでいる外国人はとてもマイルドになると思いませんか。下手な日本人より日本人らしくなっています。不思議とみんな日本人化しています(笑)。

楠本:そうですね、しかもすごく丁寧な人が多いな。それ面白いですね!

梅澤:物腰が柔らかいし、僕がニューヨークで対峙していたあのガツガツした感じの人は、あまり東京では見かけません。人も日本化できる土壌を持っているんです、日本は。それは結構強い財産です。

東京の魅力の1つは「食」にあり

楠本:あとエッジを立てるとしたら、やはり「食」だと思います。

梅澤:そうですね、僕が東京に戻ってきた理由の1つは食生活の水準ですね。ニューヨークは決して美味しくない。純粋に味で評価したら、ニューヨークの三つ星レストランで、東京の一つ星に負けるのがごろごろありますよ。

楠本:店の内装や世界観のつくり方、料理の見せ方などプレゼンテーションは上手ですけどね。

高島:ランチでも東京とニューヨークの違いはありますね。東京のランチは、5~600円でもまあまあ美味しいじゃないですか。ニューヨークは1500円ぐらい出しても…(苦笑)。

楠本:世界基準で見た時、東京は安過ぎます。

梅澤:食の水準が高いのは、一般の消費者の味覚レベルが高くて、提供側が鍛えられていることと、全国で整備された食産業のインフラの差だと思います。もっと『食』の魅力を伝えたら、海外の人が日本から出ていけなくなるのではないか?それくらい、一番効果的なパワーを持っているコンテンツだと思います。現に、日本人の僕たちにもそれはかなり効いているから(笑)。

楠本:そう。あと日本の価値は「四季」だと思います。サクラのシーズンは既にビジュアルで理解されています。夏は、海岸線の総距離が世界第6位の日本ですから、海の街、海の国というのが北海道から沖縄までイメージしやすい。冬になるとアジアでもスキーができるトップクラスの国です。これも非常に分かりやすいインバウンド動機に既になっています。秋はなかなかそういったキャラクターが見えにくかったのですが、世界に向けて強力に発信されていない秋がこれからキーになると思っています。

高島:日本の秋といったら、美しい紅葉。そして、実りの季節ですよね。

楠本:ええ。それで一緒に始めたのが「東京ハーヴェスト」ですよね。ドイツといえばオクトーバーフェストのように、ビールとともに収穫祭を祝い、大いに集い賑わっている風景が世界中に拡散されています。その風景が、海外からもあそこに行ってみたいなというモチベーションに繋がっています。フランスのパリでは、シャンゼリゼ通りが「巨大農園」に姿を変えた「ネイチャー・キャピタル」と呼ばれる農業イベントがあったわけです。プロバンスをはじめとした田舎暮らしのブランディングに貢献しています。そうやってどの国も『食』を使ってブランディングをしている。日本もそういった秋の収穫祭を、より強く世界に対して発信していくことで、春夏秋冬を通して一年中魅力的な国であることをアピールできると思ったんです。

 2013年から毎年11月に東京のど真ん中、六本木ヒルズアリーナをメイン会場として2日間開催しています。コンセプトは「東京から、ラブレターを」。ラブレターという言葉には、生産者さんへの「ありがとう」を伝えようという気持ちを込めています。僕たち生活者は、生産者さんに感謝の気持ちを伝える機会がなかなかありませんよね。だから、実りの秋に、「いつもありがとう」という気持ちを生産者の皆さんに東京のど真ん中から伝える収穫祭をやろう、と。このイベント、来場者数はもちろん、外国人の方の来訪も年々増えていっています。

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東京ハーヴェスト
東京ハーヴェスト
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「僕らは未来にむけた、面白いことしかやらない」

梅澤:最近、未来の東京の話をすると、「もっと高齢化社会のことを考えて欲しい」とか「防災はどうするんだ」とか聞かれるんですが、防災など政府が当然検討、着手しているテーマについては素直に「すみません、分かりません」とお答えしています。NEXTOKYOは民間組織なので、役所と違ってすべての論点をカバーする必要はない。むしろ、東京という都市の未来にむけて、面白いことにフォーカスしたいと考えています。

楠本:全体的に底上げしていくというよりも、もっとポイントをしぼってコンテンツやその背景にあるストーリーにフォーカスしてもいいと思います。言うなれば、ボトムアップじゃなくて、ピックアップです。以前、限界集落のおじいさんたちが、自分たちが収穫したお米を使って、餅つきをしてくれました。みなさん、すごく素敵な笑顔をされていました。もちろん生活面では、大変なことも多々あるんだと思いますが、その時に、混じりっけのない純度100%のエネルギーをすごく感じることができたんです。そういう人たちと会う経験が価値だと世界中が気付けば、「限界集落」が世界の中での桃源郷のような存在になれるのではないかと思いました。

 世界には実はそういうことを求めている人がいるんです。そこに気付いていただくきっかけをつくっていきたいですね。そういう沢山の多様な地域の魅力が日本にはあります。そのハブとしての東京の価値が上がれば、東京がメトロポリタンシティーのトップになりえるのではないでしょうか。

 実は、ニューヨークはこうしたハブ機能を意識し始めたように見えます。ロングアイランドやモントークのエリアは、いままでは別物扱いのようでしたが、グレーター・ニューヨーク(複数の自治体の合併により拡大したニューヨーク市 (City of New York) を指す非公式の用語)のように、ニューヨークはマンハッタンだけではなく、ハドソン川の北側にあるオーガニックな農場エリアあたりも、グレーター・ニューヨークに取り込もうとしているんだと思います。

梅澤:それはブルックリンの存在が大きいでしょう。ブルックリンを包含してないニューヨークのブランディングに、時代遅れになるリスクを感じているんだと思います。

高島:ニューヨークは、家賃が上がるたびに同性愛者の方々が追い出されて、その人たちが移動したところに新たな文化ができています。それはSoHoだったり、ブルックリン北部だったり、ちょっとずつ移動しています。そういうクリエーターの人たちが文化をつくるとすぐに家賃が上がるらしいのですが、結果的に最先端な人たちが移動していくと、その人たちが通った場所が最先端の状態になっていき、かっこいい地域が広がっているんです。地域間で人材を移動させるというのはすごく良い効果が生まれています。

楠本:東京でも同じ方向性に向かっている気がしています。多様な人々が混ざり合い、ポジティブな化学反応があちこちで起きて、しなやかに変態しながら、新たな価値が次々と生まれていく都市。これからの東京が楽しみですね。

執筆者/楠本 修二郎(くすもと・しゅうじろう)
カフェ・カンパニー社長


1964年福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルートコスモス入社。1993年大前研一事務所入社、平成維新の会事務局長に就任。その後、渋谷・キャットストリートの開発などを経て、2001年カフェ・カンパニーを設立、社長に就任。2014年11月、カルチュア・コンビニエンス・クラブの関連会社と合弁会社スタイル・ディベロップを設立、社長に就任。2016年11月、アダストリアとの合弁会社peoples inc.の設立に伴い、社長に就任。一般社団法人「東の食の会」の代表理事、東京発の収穫祭「東京ハーヴェスト」の実行委員長、一般財団法人「Next Wisdom Foundation」代表理事、一般社団法人「フード&エンターテインメント協会」の代表理事を務める。

日本の文化・伝統の強みを産業化し、それを国際展開するための官民連携による推進方策及び発信力の強化について検討するクールジャパン戦略推進会議に参加している。 著書に『ラブ、ピース&カンパニー これからの仕事50の視点』がある。

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