三菱電機は、ベースプレートを省いた構造と新しい熱伝導材料を採用することで、産業用IGBTモジュールの熱抵抗を約半分にした。この成果を、「PCIM Europe 2017」(2017年5月16日~18日、ドイツ・ニュルンベルク)に併催のカンファレンスで発表した。

 今回のIGBTモジュールでは、同モジュールで一般的な「ベースプレート」と呼ぶ金属板を省いた構造を採る。同プレートを省いた分、熱抵抗が下がる。

 従来の一般的なIGBTモジュールでは、IGBTやFWD(Free Wheeling Diode)のチップを絶縁基板に実装し、同基板の下にベースプレートを配置する。絶縁基板は、絶縁材料を薄いCu板で上下に挟みこむ構造を採る。今回は、絶縁基板のCu部分を厚くし、ベースプレートを省いた(図1)。絶縁基板の下側のCu部分が、これまでのベースプレートの代わりになっている。なお、このベースプレート省いた構造は、三菱電機の産業用IGBTモジュール「Tシリーズ」の「NXタイプ」で採用済みである。(図2)(関連記事

図1 NXタイプの内部構造(右側)
図1 NXタイプの内部構造(右側)
(図:三菱電機)
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図2 「PCIM Europe 2017」の三菱電機ブースに展示されていた、産業用IGBTモジュール「Tシリーズ」の「NXタイプ」。
図2 「PCIM Europe 2017」の三菱電機ブースに展示されていた、産業用IGBTモジュール「Tシリーズ」の「NXタイプ」。
写真の上側にあるのが、TIMを塗布したモジュールの裏面である。このTIMは従来材料である。
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