米Tektronix社は、同社初のベクトル・ネットワーク・アナライザー(VNA)として「TTR500 シリーズUSB VNA」を発表した(ニュースリリース)。日本法人のテクトロニクスは、2017年5月9日に東京で報道機関向けに新製品の発表会を開いた。

片手で持てるベクトル・ネットワーク・アナライザー。右端はテクトロニクスの最高技術責任者の瀬賀幸一氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。
片手で持てるベクトル・ネットワーク・アナライザー。右端はテクトロニクスの最高技術責任者の瀬賀幸一氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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 新製品は、既存のVNAに比べて小型・軽量で安価なことが特徴である。「VNA市場に参入するに当たり、インパクトのあるものを開発した」(テクトロニクス)。大きさは44.5mm(高さ)×206.4mm(幅)×285.8mm(奥行)、重さは1.59kgに過ぎない。リアルタイム・スペクトラム・アナライザーの「RSA306型」と同様に(関連記事:「重さはたったの590gで価格も半分以下」、Tektronix社がリアルタイムスペアナで新機軸)、操作や観察はUSB 2.0で接続するPC上のソフトウエアで行うため、ディスプレーは備えていない。また、この機種向けにASICを開発して内部の回路をコンパクトにした。こうして、既存品の1/7の寸法と重さを実現したという。

専用ASICを開発して内部回路をコンパクト化。Tektronixのイメージ。
専用ASICを開発して内部回路をコンパクト化。Tektronixのイメージ。
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 価格は抑えた。「同等の性能のベンチトップタイプに比べて約40%低い価格に設定した」(テクトロニクス)。TTR500 シリーズには周波数範囲が異なる2機種があり、100k~6GHzの「TTR506A型」が163万円(税抜き)で、100k~3GHzの「TTR503A 型」は118万円(税抜き)である。どちらもフル2ポート・2パスのVSNで、ダイナミックレンジは122dB以上、トレースノイズは0.008dBrms未満、出力電力は-50~+7dBm。0~±24V・0~200mAのバイアスティーを標準で内蔵する。