ミクシィは2012年9月10日、Androidアプリのチームによる共同開発を支援する配信プラットフォーム「DeployGate」の提供を始めた(写真1)。
DeployGateを使えば、テスト版Androidアプリを無線経由でAndroid端末に一斉配布でき、その評価機上での動作ログやクラッシュレポートなどの各種レポートを収集、専用ダッシュボード(管理画面)でリアルタイムで確認できる(写真2)。これまでは、こうした作業はUSBケーブル経由で行っていたため、開発効率は大きく改善されそうだ。
ミクシィ自身も、開発チームの所在が別フロアに分かれていることがあり、ケーブルを利用する配信では不便を強いられていたという。加えて、最近はウォーターホール型ではなく、アジャイル型の開発が増え、短期間での修正と評価を繰り返す必要があり、配信の手間がボトルネックになりがちだった。
開発者の一人である同社の井上恭輔氏は「配信が簡単に行えるようになると、場所の制約がなくなる。テスト版の確認範囲も広くなり、開発者に限定した配信などテストマーケティングが行いやすくなるだろう」という。
これまでテスト版アプリやベータ版アプリの評価では、いきなりGoogle Playなどのアプリストアに投稿、完成度の高さを期待する一般のユーザーから低い評価を受け、その後のダウンロードが伸び悩む、といったアプリが少なからずあった。DeployGateにより配信したい相手を限定することで、評価してもらいたい人と実際に評価する人のミスマッチを防ぐこともできる。
利用料金は、機能によって異なる。共同開発者向けの「Guest」は無料で、アプリ配信者向けには小規模向けの「Lite」(月額525円)、中規模向けの「Pro」(同3500円)、大規模向けの「Biz」(同9500円)が用意されている(料金と機能の対応ページ)。このほか、社内に専用サーバーを設ける個別対応も行うことにしている。
今回の開発は、8月に社内に設けた「イノベーションセンター」の第1弾の成果となる。同センターは、社内に蓄積されたノウハウを社外に積極的に提供することを目指している。蓄積ノウハウは、技術に限らず、マーケティング手法なども対象になるという。
DeployGateについては、社内承認を得てから1カ月ほどで井上氏と藤崎友樹氏が2人で開発、リリースにこぎつけた。イノベーションセンターの新規案件の評価期間は3カ月となっており、残る期間を評価に充てる。開発ツールへの投資意向が、評価ポイントになるという。「ミクシィ社内では、こうした開発ツールへの出資を惜しまないが、社外でも同じような需要があるのか見てみたい」(井上氏)。
今後の反響も見ながら、iPhoneアプリ版の提供も実施していく予定という。