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変形性膝関節症へのグルコサミン内服、初のRCTでは予防効果得られず

2012/11/19

オランダErasmus Medical CenterのJos Runhaar氏

 近年、グルコサミンは変形性膝関節症の症状に有効とする報告があるが、ハイリスクとされる肥満の中年女性を対象とした無作為化比較試験を行った結果、2.5年間の追跡で変形性膝関節症の発症に対してグルコサミン摂取の有意な影響は見られず、発症予防の効果は証明されなかった。11月10日から14日までワシントンDCで開催された米国リウマチ学会(ACR2012)で、オランダErasmus Medical CenterのJos Runhaar氏らが発表した。

 50歳~60歳の6691人の女性を臨床医50人が診断し、BMIが27以上、臨床的な変形性膝関節症ではない(ACR分類基準を満たさない)、MRI撮影が可能、リウマチ疾患がない、最近のグルコサミン摂取がない―というすべての基準を満たした407人(平均年齢は55.7歳、平均BMI=32.4、68%は閉経)を被験者とした。

 407人は、ダイエット&運動プログラム介入群と非介入群の2群に分かれ、すべての被験者は毎日試験薬1500mg(グルコサミン硫酸塩、またはプラセボ)を服用した。

 2.5年のフォローアップ期間で、副作用の発生はプラセボ服用群で合計53人(26%)、グルコサミン服用群で合計65人(32%)。2群間で有意差はなく、症状は腸不快感、高血圧、疲労、胃痛などだった。

 ダイエット&運動非介入群(204人)と介入群(203人)に分けた分析で、ダイエット&運動非介入群の変形性膝関節症の発症率はグルコサミン群(102人)13%、プラセボ群(102人)19%で、ITT解析では両群間に有意差はなかった(オッズ比[OR]:0.59、95%信頼区間〔CI〕0.31~1.12)。

 ダイエット&運動介入群では、変形性膝関節症の発症率はグルコサミン群(102人)20%、プラセボ群(101人)15%で、やはりITT解析で両群間に有意差は見られなかった(OR:1.44、95%CI 0.83~2.48)。

 Runhaar氏は、「ハイリスクな肥満の中年女性を対象としたRCT試験の結果、グルコサミン硫酸塩は安全性ではプラセボと同等だったが、変形性膝関節症の発症を予防する効果は証明されなかった」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)

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