既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、私が理事長を務める任意団体「薬局ＤＸ推進コンソーシアム」は、2023年9月6日に、大阪市・大阪府と共同して「調剤業務の一部外部委託」を国家戦略特区における規制改革事項として提案しました。　色々なお考え、ご感想をお持ちの方が、読者の方にもい…

　先日、私が理事長を務める一般社団法人薬剤師あゆみの会で、4年ぶりとなる新卒薬剤師向けの合宿研修会を開催しました。　この会はもともと、中小の薬局が集まって立ち上げた薬剤師生涯研修の会で、公益社団法人薬剤師認定制度認証機構の認証を受けた、認定薬剤師制度のプロバイダーです。平たく言…

　詳しいアンケート調査をしたわけではないですが、「変わらなくてはならない」もしくは「変わりたい」と考える薬剤師が、最近少しずつ増えていると感じます。しかし、その多くが変われずにいるということもまた感じています。若い人は若い人なりに、中堅は中堅なりに、ベテランはベテランなりに、…

　昨今、薬局が変わらなくてはという話は、聞き飽きた感すらあります。耳にたこができるくらい、どこに行っても「変わらなくてはならない」という話が多いです。　かく言う私も、薬局を2.0から3.0に変えるとか、患者さんが医療機関から“流れてくる”のを待つ水車小屋型薬局から、自ら患者さん、お…

　６月も後半になりましたが、2024年度の調剤報酬改定・診療報酬改定の議論も、少し進み始めたような感じがあります。私も、調剤報酬改定をテーマにした講演会やセミナーのご依頼をいただくことが増えてきて、あぁ、もうそんな時期か……と感じることがあります。　大きな方向性としては、「患者の…

　新年度も始まり、2024年度改定に向けた議論が始まっているようです。私自身も、早々と（？）次期改定に関する講演のご依頼を幾つか頂くようになりました。もちろん、今の時期、何かが決まっているわけではありません。とはいえ、今までの経過やこのところ話題に上がっているテーマを考えると、ぼ…

　昨今、色々なところで「薬局DX」という単語を聞きます。アラフィフ世代にとってはDXとはデラックス（deluxe）の略称のイメージが強い上に、Transformationの TransをＸと表現する、英語独特の決まり（？）もあって、（ChristmasをX’masと表現する的な）、正しく理解しづらい雰囲気が、個人的には…

　「変わる」とか「変革を迫られている」と言わることの多い薬局業界ですが、これは決して思いつきのようなものではなく、大きくは以下の3つの理由によるものだと考えています。（1）人口動態、疾病構造の変化　高齢化が進むと、国民が罹患する疾病は、感染症や外傷といった急性期疾患から投薬管理…

　国を挙げてＤＸ（デジタルトランスフォーメーション）の掛け声がかかる中で、薬局を含めリアル店舗を持つ小売業は、今後かなり悩ましい状況に陥るのではないかと感じています。なにせ、実際のお店に赴かなくても商品やサービスを受けられるだけでなく、場合によってはデジタルでしかできない体験…

　新型コロナウイルスの影響を受けたこの3年間で、「調剤薬局」というビジネスモデルからの脱却の必要性を、少しずつ感じられている方が増えているように思います。これは、端的にいえば、立地という条件で囲い込まれてきた患者さんが、解き放たれつつあるということだと思います。　医療機関の近く…

　もう18年くらい前になりますが、私が実家の薬局に帰った頃、「できる薬剤師」というのは「調剤が早い」「間違わない」ことがメインであり、加えて「患者さんへの対応が丁寧」「待たせ上手（？）」「トラブル対応がうまい」といったことが重要な要素だった感じがしていました。　それはそれで本当…

　去る2月19日の日曜日、「愛玩動物看護師」という新しい国家資格の試験があることが報道されていました。いわゆるペット動物の医療における看護師という位置付けです。今までも民間資格では幾つかあったようですが、法律改正を経て、農林水産省・環境省管轄の国家資格になるそうです。　背景には、…

　先日、テレビを見ていたところ、建設機械の操作がテレワークになるというニュースがやっていました。　高速通信規格「5G」が実用化し超高速大容量通信が可能になっていることで、遠隔での機器操作のタイムラグがほぼゼロになっているということが背景にあるようです。「同じことは重機でも可能だ…

　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は、日本の様々な従来の常識やビジネスモデルを大きく変えつつあると思います。　こと、薬局業界については、2015年に示された「立地から機能」「対物から対人」「バラバラから1つ」という「患者のための薬局ビジョン」の具現化に向けて、医薬品医療機器等法…

　既にモデル事業が始まっていますが、いよいよ1月から電子処方箋の運用が始まります。「処方箋調剤」を主業務として発展してきた薬局業界にとって、紙の処方箋が電子化されるということは、大きな影響を及ぼすはずです。　もちろん、制度が始まってすぐに大多数が電子処方箋になるはずはありません…

　年内は難しいかな、と個人的には思っていたのですが、同時流行への備えとして「新型コロナ・インフル同時検査キット」のOTC化が決まったと報じられました。　流行第7波が猛威を振るう中で、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の抗原定性検査キットの無料検査や無料配布、OTC薬販売などに従事し…

　気付けば20年ほど前の話になりますが、私が保険薬局の仕組みを勉強し始めた2002年ごろの薬局経営においては、薬価差益というのは大きなインパクトがありました。2年に1度（当時）の薬価改定の時期には、医薬品卸さん数社にそれぞれ見積もりをいただいて……なんてことをしていました。その後、ジ…

　最近、色々なところで耳にする、薬局のDX（デジタルトランスフォーメーション）。着々と準備が進んでいるようです。全てのベースになるオンライン資格確認は、課題は指摘されるものの着々と進んでいますし、マイナンバーカードの健康保険証利用（以下、マイナ保険証）と電子処方箋、そして、それ…

　先日の仙台での日本薬剤師会学術大会、ご参加された方も多かったのではないでしょうか。私も某ランチョンセミナーにお声が掛かったので行って参りましたが、比較的広い会場で400人以上の定員にもかかわらず満員になり、立ち見も出ました。お弁当と席がないにもかかわらず、ご参加くださった先生方…

　処方箋が電子化される。そのような言葉は以前から聞いてきたような気がしますが、いよいよ現実のものになります。この10月から4地域で先行的に始まり、2023年1月からは全国で導入されることが決まっています。　現行の処方箋調剤の業務フローは、「紙の処方箋」がキーになって動いてきました。医…

　改めて言うまでもなく、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は、薬局のあり方やこれからを大きく変えるきっかけになりました。この新しい感染症への対応をどうするのか、ということにより、薬局の未来は大きく変わると思うのです。　ワクチン接種の際の分注・充填業務は、薬剤師の役割として極…

　米アマゾン・ドット・コムが中小薬局と組んで日本で処方薬のネット販売に乗り出すというニュースが流れました（関連記事：Amazon、処方薬ネット販売に参入 中小薬局と患者仲介）。いよいよやってきましたね。　色々と考えることがありそうですし、アマゾンが公式発表していない状況ではありますが…

　この4月から適用範囲が広がったオンライン服薬指導。ただ、システムは入れたけれど、なかなか事例がなくて……という方も多いと思います。私の薬局もそうです。しかし、オンライン服薬指導の上流（？）にあるオンライン診療の適用範囲も大幅に広がりましたし、電子処方箋の運用開始も控えているこ…

　「医療DX（デジタルトランスフォーメーション）」「薬局DX」の言葉に驚かなくなりましたが、医療におけるICT化が進んでいくと、やはり、ちらついてくるのは、アマゾン・ドット・コムの存在です。米国で薬局事業に加えて、オンライン診療事業も始めるといったニュースが報じられていました。　「ア…

　先日、今年2月から7回にわたって開催されてきた厚生労働省の「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」（以下、WG）のとりまとめが公表されました。薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するWGとりまとめ【概要資料】【本編】　「とりまとめ」というと議事録的なものかと思い…

　さて、メディアでも報じられていますし、私のYouTubeをご覧になった方もいると思いますが、先日、厚生労働省「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」（以下、WG）が開催され、とりまとめが近く公表されます。　今回のとりまとめの中では、2021年4月以後、内閣府規制改革推…

　世界保健機関（WHO）と国連の定義に基づけば、65歳以上の人口が総人口に占める割合（高齢化率）が7％超の社会を「高齢化社会」、14％超を「高齢社会」、21％超を「超高齢社会」――とそれぞれ呼ぶそうです。　内閣府のまとめた2021年版高齢社会白書によれば、現在の日本の高齢化率は、2020年10月…

　これからの薬局や薬剤師のあり方を考えるとき、「少し見通しが明るくない」と感じる方も多いかもしれません。特に中小薬局の我々にとっては、大手企業による寡占化（これは、成熟期にある業界のレッドオーシャン化そのものです）や、調剤併設ドラッグストアの進展、コロナ禍による受療行動の変化…

　最近、薬局や薬局薬剤師の業界で頻繁に出てくる言葉やテーマには、どんなものがあるでしょうか。人によって捉え方が違うとは思いますが、私自身は（1）在宅への取り組み（2）服用後のフォロー（3）リフィル処方箋――かな、と思います。　これは、流行とかブームというものではなく、地域包括ケア…

　もともと薬局という場所は、（1）処方箋を受け取る（2）調剤する（3）服薬指導する（4）お薬をお渡しする（5）薬歴を書く――という5つの業務が、連続的に行われる場所でした。　しかしこの数年、ある意味では信じられないスピードで変化が起こっているのではないでしょうか。（1）処方箋は、SNS…

　2022年度調剤報酬改定。どのように感じられているでしょうか。　調剤料と薬剤服用歴管理指導料が、「薬剤調製料」「調剤管理料」「服薬管理指導料」に大きく組み替えられただけでなく、地域支援体制加算や後発医薬品調剤体制加算などの算定要件が厳しくなっていることもあり、何となく行き詰まり…

　昨今、色々な議論がある「対物業務の効率化」の話の中で、「非薬剤師」による業務をどう考えるのかという話が出てきます。既にご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私が経営するハザマ薬局では、薬剤師だけでなく「薬局パートナー」と呼ぶ薬剤師以外のスタッフが活躍しています。　「薬局…

　昨今、色々と議論がされている「対物業務の効率化」ですが、私自身も色々なご意見、ご批判を直接的、間接的にいただきます。　その理由として、効率化を進めていくことは、中小薬局や薬局薬剤師の将来を潰しかねないといったニュアンスの意見を上げられることが多く、その1つ1つの懸念については…

　2022年度調剤報酬改定について、色々なところで解説記事を見るようになりました。また、私もそうですが、YouTube等で動画による解説を見かけることも多く、何となく概要はつかんでいる方も増えているのではないかと思います。　今回の改定を考えたとき、やはり対物業務のコストとしての薬剤調製料…

　2022年度調剤報酬改定の個別改定項目として示された、「薬剤調製料」「調剤管理料」「服薬管理指導料」の3つの「料」。私は、厚生労働省の担当者がこれらの点数の名称に込めた意味合いを考えることが、今回の改定の趣旨を理解する上で重要だと思っています。1つずつ順番に見ていきましょう。　1月…

　2022年度診療報酬改定の議論は最終局面に入ってきました。1月26日に個別改定項目（いわゆる“短冊”）が公開された後、某レセコンメーカーの方から「今年は大変です」との声を聞きました。2年の1回の調剤報酬改定に伴うレセコンの改変は定期的なものであり、「お手の物では？」と最初は思ったので…

　先日の南太平洋での火山の噴火。すごいことが起こっているようです。衛星写真で見ることができるのもすごいことですが、大噴火が起こっている様子を俯瞰（ふかん）できるというのは、驚きでもあります。そして、しばらく時間をおいて、日本の沿岸にも津波が押し寄せました。一時的に気圧の変動も…

　「電子処方箋」。文字だけは10年近く前から見ていて、文字も漢字5文字でもっちゃりしているので、ともすると「あぁ、いつものやつか……」と読み過ごしてしまいそうで、e-Rxとか、名前を横文字にしたらもうちょっとインパクトが出るのかもしれません。ただ、よく考えると、これが具体化するとすご…

　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染拡大によって、世界に冠たると称される日本の医療モデルの欠点が浮き彫りになりました。この日本で、適切な医療を受けられずに、医療機関以外の場所で不幸にもお亡くなりになるということが現実に起こってしまったわけです。　我が国では、働く世代が…

　どんどんと報道が増えていますが、2022年度調剤報酬改定では、技術料の半分を占める調剤料だけでなく、約4分の1を占める薬学管理料についても、解体的な見直しが行われ、対物業務と対人業務を別々に評価するような、過去40年間なかった考え方が導入されていくようです。　対物業務は、医療機関の…

　2022年度の診療報酬改定の大枠が定まりました。本体は引き上げるものの、薬価の引き下げで全体ではマイナス。医科・歯科・調剤の比率は変わらずということで、関係各署の折衝が多々あったかと思いますが、大方の予想の通りだということではないでしょうか。調剤については、プラス0.08％というこ…

　このところ、ドローン関連の技術や環境が急速に整いつつあります。2021年の日本在宅薬学会のシンポジウムでもお話を伺いましたが、幾つか課題があるものの実用レベルに到達しつつあり、そして、法規制についても現実的なところに落ち着きつつあるようです。　現在進行形の話題なので、しばしばニ…

　様々なところで報道されている通り、2022年度の調剤報酬改定に向けた議論が進んでいます。去る11月26日に開催された第500回中央社会保険医療協議会（中医協）総会では、調剤報酬が議題に上がりました。といっても、議論されたというよりは、資料について厚生労働省から説明があり、日本薬剤師会、…

　医薬品医療機器等法の改正により、専門医療機関連携薬局と共に、地域連携薬局の認定制度が始まってもうすぐ4カ月たちます。何かと話題になっていますが、なかなかその条件をクリアするのは難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。確かに、まだまだ全国で1000薬局程度と少なく、また、そ…

　先日、とある会で某大手薬局さんのお話を伺う機会がありました。異なる2つの会社の方でしたが、「対物から対人」「服用期間中のフォロー」ということがポイントになると異口同音におっしゃっていました。現在の、いわゆる「調剤薬局」の枠組みの中で、薬剤師のあり方を変えないまま、対人業務にシ…

　「対物から対人へ」「立地から機能へ」。もうその話、聞き飽きたよ、という方もいるかもしれませんが、昨今の薬局や薬剤師に関わる議論や、調剤報酬のトレンドを見ると、立地依存型対物業務専業薬局とも言うべき「調剤薬局」では、採算が合わなくなっていくことが予想されます。　患者さんがたく…

　10月に入り、2022年度調剤報酬改定についての議論が続いています。調剤基本料や後発医薬品調剤体制加算など、薬局経営の根幹に関わるような部分の評価がどうなるのか、当事者である私も内心ドキドキしながら見守っています。　超高齢社会となっている日本で、社会保障費の自然増をどのように抑制…

　2022年度の調剤報酬改定に向けて議論が進んでいますが、やはり、従来の「立地依存型対物業務専業薬局」では難しくなるという方向性は変わらなさそうに思います。その変化に対応するためには、薬局内での改革が必要だと思いますが、そのキモの1つとして、薬剤師以外のスタッフの活用は避けて通れな…

　2022年度調剤報酬改定への議論が少しずつ熱を帯びる中、数日前からマスコミでは報じられていましたが、新型コロナウイルスの医療用抗原検査キットについて、2021年9月27日に厚生労働省から事務連絡が出されました。一次情報を見ておくことは、何事においても重要なので、7ページの書類ですが、ぜ…

　「調剤薬局」倒産の潮流から逃れるためには、「調剤薬局」の形態をやめるということを、前回お話ししました。では、どうすればいいのでしょうか。　私は、3つのステップを踏む必要があると思っています。　まず、1つ目は社長が腹をくくることです。どんなに現場のスタッフがもがいたとしても、会…

　先日、DI Onlineでも紹介されていましたが（関連記事：薬局の倒産が過去最多を更新）、調剤薬局の倒産が増えており、2020年が16件、2019が12件であったのが、2021年は8カ月で22件、1年間では30件に届くのではないかということです。会社を経営していると、「倒産」の二文字が、頭にちらつく瞬間は…

　2022年度の調剤報酬改定の議論が始まり、テーマの1つとして「処方箋の反復利用」について報道されています（関連記事：分割調剤の見直しを診療側、支払い側が主張）。　医師が診察して発行した処方箋1枚に対して、薬剤師が患者に関わる回数が1回ではなく複数回になるという意味では、現在でも分割…

　ドローンに関するニュースを、最近よく目にするようになってきました。私の個人的な印象ですが、それらの半分くらいは、医薬品の運搬に関する話題である気がします。　2021年7月にハイブリッドで開催した日本在宅薬学会学術大会で、ドローン機器メーカーや運航事業者の方々とシンポジウムを開催し…

　高齢化と少子化の同時進行により社会保障制度が変革を迫られていた中で、医薬品医療機器等法（薬機法）の改正もありましたが、薬局や薬剤師の業界は「変わる、変わらねば」と言いつつも、一方であまり変わらずに来たように思います。　しかし、今、私たちがまさに実感しているように、新型コロナ…

　調剤業務を扱う上場企業の2020年度の決算が出そろってきましたが、ドラッグストア各社が好調です。今までは「物売りのドラッグ、調剤の調剤薬局」という感じで、同じ医薬品等小売業ではあるものの、隣接する別分類のように思われていましたが、最近では同じ土俵で比較されることも増えてきたよう…

　以前から、日本でも話題になってきたリフィル処方箋。分かっている人には分かるのでしょうが、「リフィル」というカタカナ言葉も理解しづらい上、実質、リフィルに近い方法として既に制度化されている「分割調剤」という言葉も、初めて聞く人には分かりにくいのかもしれません。　そんな中、先日…

　2011年6月18日、3つの閣議決定がなされました（関連記事）。それぞれの内容はぜひ原本をご覧いただきたいと思いますが、私自身がポイントとして押さえておきたいと思ったのは、次の3つです。（1）経済財政運営と改革の基本方針2021　・かかりつけ薬剤師・薬局の普及、多剤・重複投薬への取り組み…

　2021年6月8日、河野太郎行政改革担当相が記者会見で、オンライン診療・オンライン服薬指導の特例措置を恒久化すると発表した、というニュースが入ってきました。　20年4月10日に発出された事務連絡（いわゆる0410事務連絡）で時限的・特例的に認められた電話診療などは、新型コロナウイルス感染症…

　感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症（COVID-19）への対策として期待されるワクチン。高齢者を中心としたワクチン接種がいよいよ本格的に始動しています。その中で、賛否両論が渦巻いていますが、薬剤師が接種行為そのものを行うかどうか、いわゆる、打ち手になるかどうかという議論が急速に…

　薬剤師の対人業務と聞くと、「対物業務の重要さを知らないのか！」と言われることがあります。このモノからヒトへのシフトと言う表現が、誤解を生みやすいのだと思いますが、対物業務の重要性は従来と同様変わりません。しかし、ポリファーマシーに代表される現在の地域医療の問題点を解決するた…

　先日、薬学生さんと面接していたときに、バイタルサインの話になりました。　「大学で習うでしょう？」と私が尋ねると、明るい笑顔で「はい！1時間だけありました！」と答えてくれたのですが、さらに続けて「でも先生は、『まぁ将来は使わないけどね』とおっしゃっていました」との答えが返ってき…

　薬局や薬剤師を取り巻く環境は大きく変わってきています。6年制薬学教育はもとより、調剤報酬改定や、薬機法や薬剤師法の改正、さらには、厚生労働省だけでなく財務省や経済財政諮問会議、内閣府の規制改革推進会議などからの業界に対する指摘が色々と増えている点も、「薬局・薬剤師業界は変わら…

　黒いマスクを初めてリアルに目にしたのは、今から4～5年ぐらい前でしょうか。インバウンドが本格化し始めるころに、主には東アジアから訪れる若い観光客が、大阪のミナミや道頓堀辺りでそぞろ歩きを楽しんでいる中に、時々黒いマスクをしている人がいました。　マスクといえば、白かブルー。そう…

　私がこの業界（？）に入ったのが、2004年ごろでした。それから、あっという間に15年以上が経過してしまいましたが、薬局の経営はなかなか厳しい方向に向かっていると思います。時々、「あの頃の調剤報酬のままだったら、今の薬局経営はもっと楽だろうな」と思うことがあります。　真綿で首を絞め…

　先日、三重県の薬局が無資格調剤などにより行政処分されたというニュースが報道されました（関連記事：処方箋なし販売と無資格調剤で行政処分）。複雑な思いでご覧になった方も多いと思うのですが、私もその1人です。　私自身は、薬剤師が対物業務から対人業務にシフトしていくには、「業務フロー…

　先日、つらつらと薬局のあり方を考えていた時に、ふと頭に浮かんだのが「今の薬局は水車小屋のようだな」ということでした。　上流に処方箋を発行する医療機関があり、その処方箋の流れの中に、水車が漬かるようにして薬局を作ってきたように見えます。私も15年前は、まさにそのイメージで薬局経…

　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）によって大きな影響を受けている「調剤薬局」。この環境を乗り越える鍵は、20年ほど前のBSE（牛海綿状脳症）問題によって牛肉が輸入できなくなった牛丼チェーン「吉野家」の取り組みにあるという前回のお話に続く、後編です。　2020年末にウェブで公開されて…

　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は、私たちの生活そのものを変えましたが、「調剤薬局」というビジネスモデルも大きく変えようとしています。　医療機関の待合室が密接、密閉、密集の条件を満たしているため、患者さんが医療機関に行きづらくなりました。長期処方での対応や、不要不急の受…

　前回、漢方薬局が潰れない理由として、（1）保険診療・保険調剤で解決できていない健康上の問題に着目していること、（2）その課題に、そのお店の薬剤師が主体的に解決できること、（3）顧客管理の観点があること――を挙げ、（1）と（2）について説明しました、　今回は、3つ目の理由として挙げ…

　ご存じの方もいるかと思いますが、1年ほど前から、薬局経営者を対象にしたオンラインサロンを主宰しています。先日、そこに参加されている方から「同期が漢方薬局を経営していて、それが成り立っているということに驚いた」というお話がありました。確かにそういう目でみると、漢方薬局というのは…

　世界が新型コロナウイルス感染症により変化を迫られている中で、日本の医療は特に大きな変化を受けつつあると思います。それは、絶対に変わらないのではないかと思われてきた「対面原則」が、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、厚生労働省の「0410事務連絡」で時限的・特例的という枕ことば…

　予想できたことかもしれませんが、新型コロナウイルスの感染拡大は、年末年始をはさんで様相が一変しました。首都圏で発出された2度目の緊急事態宣言は、近畿地方などにも広がりそうです。1年前には、ここまでの事態は誰も想像できなかったのではないかと思います。　この状況は、薬局・薬剤師に…

　最近は、あまり使わなくなってきていましたが、私は自分の講演の冒頭で、「AKYで話すけど許してほしい」ということを最初に断って話を始めていました。　「AKY」とは、「あえて（A）空気を読まない（KY）」という言葉の頭文字で、KYな発言をきっとするけれども、それは「あえて自覚しつつ」やって…

　以前、本コラムでも触れましたが、米国アマゾンが薬局を始めたというニュースが流れてきました。そしてそれに追随するように、関連した解説記事もネット上などで散見されるようになりました。　基本的には米国での出来事ですが、その後の報道のされ方や、諸々の特集記事などを読むにつけ、その衝…

　「いつかは来るぞ」「いつ来るのかな」などと思っていましたが、ついに米国でアマゾンが「オンライン薬局」を開始し、処方薬を無料で配送するというニュースが飛び込んできました。続報によると、米国ではドラッグストアの株が急落したようです。一時的なものだとは思いますが、弱含みの展開が当…

　先日、私が薬局の業界でやってきたことの1つであるバイタルサインについて、改めて考える機会がありました。というのも、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染対策を施しながら、個人的には久しぶりに日本在宅薬学会主催「薬剤師のためのバイタルサイン講習会」の講師を務めたからです。　…

　電子処方箋。話自体は以前から、実証実験の件も含めてあちこちで見てきましたが、この1～2年、いよいよという感じになってきました。最近、頻繁に（？）開催されているオンライン資格確認のセミナーを拝聴していると、「マイナンバーカードが電子処方箋のキーになっていくという展望もあるのか！…

　11月に入りました。私の薬局は4月～翌年3月が事業年度ですので、2020年度上半期の業績が先日まとまりました。　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染拡大によって、受診控えや長期処方化で外来処方箋は底を打ったとはいえ、減少傾向が続いています。ただ当社では、外来処方箋の比率が30％…

　前回連載（リンク）の最後で触れたように、今回は、規制改革をはじめ業界を取り巻く環境が大きく変わる中で、薬局が今後意識していくべき「4つの売り上げ」についてお話ししたいと思います。　ビジネスの世界においては「専門店」というものが存在します。ラーメンやカレー、牛丼の専門店などもそ…

　新しい政権になって、「押印の廃止」がやや唐突な形で規制改革のアドバルーンのように上がりましたが、それに続いて、政府の規制改革推進会議で今後議論していく具体的項目および工程表の検討が始まりました。　各種報道によれば、（1）押印廃止（2）書面・対面の撤廃（3）常駐・専任業務の廃止（…

　今から20年くらい前、私が勤務していた市民病院で、内視鏡手術の名手として有名だった先生が、よく演題に「ピットフォール」と書いていました。ピットフォール（pitfall）とは、直訳すると「落とし穴」のこと。言葉の意味合いを考えると、潜在的な危険といったところでしょうか。　なぜ、こんなこ…

　2015年、厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」。門前からかかりつけ、そして、地域へという基本的な流れの中で、「立地から機能」「対物から対人」「バラバラから1つ」という3つのキーワードが示されました。　発表された当初は、色々な意見がありましたが、その後、「0402通知…

　今回の新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は、当初の予想を超えてかなり長期化が予想されます。薬局や病院の経営を預かる立場から見れば、これは「不要不急を控える」というストレステストが当面の間続くのではないかな、と思います。　多少過激ですが、高齢者医療における“不要不急”は、在…

　既に報道されている通り、2021年3月から開始予定の薬局や医療機関での「オンライン資格確認」に向けて、「顔認証付きカードリーダー」の申請が始まっています（関連記事：オンライン資格確認用カードリーダーの申請受付を開始）。ホームページや動画も公開されているので、ご存じの方もいらっしゃ…

　前回は、「薬局1.0」から「薬局2.0」に移行する際の逆張りの話をしました。　いつも思うのですが、1980年代後半からこの国に医薬分業制度を根付かせてきた先達の先生方のアグレッシブさは、すごいと思います。もちろん、経済的なものもあったとは思いますが、「薬は医者でもらうものじゃないの！…

　「逆張り」という言葉があります。　改めて調べてみると、本来は株式用語のようで、証券会社のウェブサイトに解説が載っていたりしました。面白いですね。　一般的な意味としては、「大勢の人が行っている方法とは真逆のことをやる」といった感じになるでしょうか。　日本はとにもかくにも、企業…

　いささか旧聞になりましたが、大阪の通天閣近く、新世界にあるづぼらやというお店が2020年9月で閉店するというニュースがありました。　大阪では知らない人はいないし、また、大阪のビジュアルには、必ずといっていいほど出てくるふぐの張り子の看板で有名なので、「づぼらや？」という人も、通天…

　少し前の話になりますが、2010年ごろでしたか、とある学会で「香川県で電子処方箋の実証実験が始まった」という発表を聞いて、大変驚いた記憶があります。　処方箋が電子化されことによって、紙の処方箋内容をレセプトシステムに入力するときの手間やミスをなくすことができますし、情報共有され…

　医療において対面の重要性は言うまでもありません。診療にしても服薬指導にしても、対面で行うことは、法律的にも最も重要な部分だとされてきました。この20年余りのICTの進歩は、私たちの生活のあり方を大きく変えたのと同様、医療においても対面ということを見直した方が良いのではないかと思う…

　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は、医療業界に大きな影響を与えています。中でも、外来診療は、「受診控え」という言葉があるように、不要不急な受診が減ったり、ちょっとした体調変化は薬局で相談したりといった新しい状況が見られるようになってきています。　不急な受診は百歩譲るとし…

COVID-19がもたらす薬局大変革「CIPPS」に挑む（6/6、終）

　2006年に私は、薬局というのは17年ずつに導入期、成長期、成熟期がくるビジネスモデルであり、それから考えると、いわゆる「調剤薬局」というビジネスモデルは、2008年から成熟期に入り2025年から衰退期に入るという考え方を発表しました（図）。　昔の薬局と、調剤薬局は全てが異なるから、第一…

新型コロナがもたらす薬局大変革「CIPPS」に挑む（5/6）

　上場企業が幾つも出現したばかりか、その土地に根差した中規模調剤薬局が林立する業界で、中小薬局がどのように活路を見出していくのかということを、私自身も考え、実践してきました。　色々な試行錯誤の中で、ちょっとした変化や具体的な事例を幾つか出すことはできましたが、やはり、この数年…

新型コロナがもたらす薬局大変革「CIPPS」に挑む（4/6）

　前回述べたように、隣接する医療機関以外からの外来処方箋の応需を拡大し、在宅医療関連の業務を本格化させ、OTC薬や機能性食品への取り組みも強化するという3つのポイントを薬局経営者が決断したとして、実際に薬局で取り組むべきことを示したいと思います（図1）。…

新型コロナがもたらす薬局大変革「CIPPS」に挑む（3/6）

　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染拡大とは関係なく、もともと、2020年度の調剤報酬改定では、対物業務の引き下げや、立地依存型薬局の調剤基本料の引き下げなどによる減収が見込まれるケースは想定されていました。これに加えて、COVID-19の感染拡大により延べ患者数の大幅な減少とい…

新型コロナがもたらす薬局大変革「CIPPS」に挑む（2/6）

　前回は、患者が医療機関に行かずに処方を受ける時代が到来したことを書きました。では、処方箋を応需する薬局では今、何が起こっているのでしょうか。　医師のオンライン診療と同様、薬剤師のオンライン服薬指導についてもこれまで、導入に向けて慎重な議論が進められてきました。医療用・一般用…

新型コロナがもたらす薬局大変革「CIPPS」に挑む（1/6）

　こんな時代が来るとは、誰が予想したでしょうか。新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染拡大に伴って、日本のみならず世界のあり方そのものが大きく変わる中で、医療業界でも、まさに大変革が起こっています。　医師としては、医療現場で患者の受療行動が大きく変わっていると感じますし、…

　その昔、薬局と言えば、いわゆる薬屋さんのことで、文字通り薬を売っている店のことを指していたと思いますが、その薬とは、一般用医薬品、今で言うOTC薬だったと思います。私の実家の薬局にも、ケロヨン、ピョンちゃん、サトちゃん、ワシのマークなど、様々なOTC薬の会社のマスコットや販促品が…

　最近、何かと騒がしくなってきたオンライン服薬指導。その言葉そのものを知らない薬剤師はいないと思います。オンライン診療と一体化して考えるべきとか、対面が原則の服薬指導をテレビ電話的なもの（！？）で代用するのかとか、特区でちょっとやったやつだよね、とか、色々な感想をお持ちの方も…

　令和初めての年越しをした頃は、今の日本、そして世界の状況は、誰も予想できていなかったと思います。今や新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響はいろいろなところに及んでいますが、日常の医療も例外ではありません。　私の診察室でも「先生、いろいろあるから、お薬を長く出してほしい…

　2020年度調剤報酬改定が発表されて約1カ月。薬局経営に及ぼす影響についても、いろいろな検討が進められていると思います。私自身は、今回の調剤報酬改定では、影響が出るところと出ないところがあるのではないかと感じています。　そこで、薬局を4つのグループに分けて、調剤報酬改定がもたらす…

　もう少し先かなと思っていたら、2月7日（金曜日）に2020年度調剤報酬改定の点数が公表されました。詳しい説明は、本サイトを含めて色々なところから出てくると思いますので、そちらにお任せするとして、私からは今改定を受けて薬局、そして医療業界に起こるのではないかという変化を、（勝手に）…

　少し季節外れの話題で恐縮ですが、小さい頃、七夕は大きな行事でした。保育園でも小学校でも、その1週間くらい前から、色々と準備を始めていたものです。歌を歌ったり、笹に飾り付けをしたり……。色とりどりの短冊に、願い事を書いたのも懐かしい思い出です。もちろん、今でもその季節になると、…

　先日、取引先の銀行の方と打ち合わせをしたときに、「社長は10年くらい前から、業界がこうなることをご存じだったのですか？」と質問されました。10年前から何をやってきたかを改めて考え直すと、この業界特有のタブーに果敢にも（無謀にも！？）挑んできたなぁと感じたことがあったので、今日は…

　あけましておめでとうございます。年が改まると、気持ちを新たにすることも多く、また、元号も変わり、色々な面で薬剤師の業界も変わっていくように思います。　もちろん、こういったことは毎年、口にするのですが、今年については、例年と少し事情が異なるのではないかと思っています。というの…

　早いもので、2019年も終わろうとしています。ついこの間、年が明けたと思ったのに……とは思いませんが、1年はあっという間ですね。しかし今年は、薬局・薬剤師の業界では色々なことが本当にたくさん起こりました。今回は、本コラム2019年最後の更新なので、私なりに総括してみたいと思います。…

　医薬品医療機器等法（薬機法）および薬剤師法などの改正が12月4日に公布されました。「薬を渡すまでではなく、飲んだ後までフォローすることが大切」と訴えてきたことが法律に書き込まれたのは、とても感慨深い出来事です。　現場の薬剤師の立場からすれば、薬機法の改正は唐突のように思えるかも…

　先日、とあるセミナーで、京都大学大学院医学系研究科の岡田浩先生とご一緒したのですが、そこで、服薬後のフォローについて、「あ、そうか！」と思ったことがあったので、シェアしておきたいと思います。…

　報道にもあるように、医薬品医療機器等法（薬機法）等改正案が衆院を通過しました。今後、参議院での審議を経て、11月中には成立の見通しだそうです。今まで「改正案」でしたが、これが多少の文言の修正等はあったにせよ、法律となることが決まりました。成立から施行までには数カ月のタイムラグ…

　働き方改革関連法案が施行されて、半年。私の薬局でも、残業時間が延長しないような取り組みや、有給休暇の計画的消化などが進んでいます。一方、医師の働き方改革は、現場に混乱を来すということで、5年間の猶予期間が設けられています。とはいえ、一朝一夕に解決できる問題ではないので、積極的…

　2019年10月19～20日に神戸市で日本薬局学会学術総会が開催され、私も座長を担当するために参加しました。　同学会は、主に保険薬局チェーンを運営する会社が会員となっている日本保険薬局協会（NPhA）が、学術研究活動に取り組む目的で2007年に設立したものです。今年で13回目を迎える学術総会で…

　中央社会保険医療協議会（中医協）で、いよいよというか、やはりというか、調剤料の見直し（＝引き下げ）の議論が始まりました。14日以内は日数に応じて調剤料が上がっていく現状について見直すべきだとの意見が出たようですが、今春に公表された財務省や内閣府の資料にあった通りの流れだと思い…

　報道のごとく、2020年度診療報酬・調剤報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会（中医協）での議論が白熱してきました。2年に1度の“風物詩”であり、「あぁ、もうそういう時期か」と思わないでもありません。ただ、今回の議論を見ていると、前回以上に厳しい視線が薬局・薬剤師に向けられている…

　物心がついた頃から、当時は何となく、しかし最近では意識的に心掛けていることは「ピンチはチャンス」という考え方です。色々な危機が迫ってくると、「あぁ、もうだめだ」と弱音を吐きたくなるものですが、そんな時に心が折れないようにするためにも、「これは、チャンスかもしれない」と心を切…

　セルフメディケーション。薬剤師が取り組むべき分野として、ずっと前から指摘され続けてきた分野ですが、積極的に取り組む薬剤師は多くありません。もちろん、ドラッグストアや相談薬局などで、患者さんの健康相談に乗ったり（ときには人生相談にも乗ったり）しながら活躍している薬剤師はいらっ…

　先日、当社の薬剤師5人と症例検討会をやってみました。3人の薬剤師が、自身が居宅療養管理指導を行う中で困っている症例について発表し、私を含めて6人で議論するというものでした。　挙がったテーマは、「難治性高血圧」「難治性湿疹」「膵頭十二指腸切除後の鼓腸と放屁」の3つ。それぞれ患者さ…

　「調剤業務のあり方について」と題した通知（0402通知）が厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長から発出されて以降、薬局に勤務する薬剤師免許を持たれていない職員をどのように表現するのがよいのか、個人的に悩んできました。　従来は、「薬局事務」あるいは「調剤事務」と呼ばれることが多かっ…

　最近、色々と新しい動きが薬局や薬剤師の周辺で起こっています。そのような中で、弁護士で薬剤師の赤羽根秀宜先生が2018年12月に「薬局コンプライアンス研究会」を立ち上げ、7月7日に2回目となる研究会を開催されました。同会では、いつもの赤羽根節（！）とともに、私の運営するハザマ薬局の業務…

　「住み慣れた地域で最期まで」を掲げる地域包括ケアシステムの実現には、在宅医療の充実が欠かせません。今後の高齢化の進展や地域医療構想の実現に向けた取り組みの中で、さらに在宅医療へのニーズが高まっていくことが予想されるにもかかわらず、現状において在宅医療に携わる医師、看護師、薬…

　何やら、雲行きが怪しくなってきました。いよいよというか、やはりというか、調剤報酬における調剤料が引き下げられる方向が明らかになってきました。 いきなり物騒なテーマで申し訳ありません。　でも、これからの薬局、薬剤師のあり方を考える上では、極めて重要だと思うので、私自身が考えてい…

　2019年5月15日、キムリア（一般名チサゲンレクルユーセル）の保険適用が中央社会保険医療協議会（中医協）で了承されました。算定薬価は3349万3407円（患者1人当たり）と超高額ではありますが、治療効果が高い薬剤が保険適用され、日本の優れた医療制度の下で使われる体制が整うというのは素晴ら…

　先日、ふと気になって、自分が担当する外来が終わった後、患者さんのリストを見返してみました。3時間で診察した40人をレビューしたところ、我ながら少し驚きました。全体の2割に当たる8人は、リハビリの方。私の病院では、医療行為であるリハビリは、医師が診察してから行うことになっていて、医…

　調剤業務に関する「0402通知」は、薬剤師・薬局にとって、法律でも省令でもなく、通知がもたらすインパクトとしては、過去最大級ではないかと思います（関連記事：「厚労省、非薬剤師でも可能な調剤業務を明示」）。　対物業務の重要性は変わりません。しかし、機械化や情報通信技術（ICT）化によ…

　この半年あまりの議論や報道を見ていた者としては、「ついに」か、「やはり」か、分かりませんが、「調剤業務のあり方について」と題した通知が、厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長から発出されました。　4月2日夜に、厚労省のサイトにしれっと（！？）アップされているのに私も気がつきました…

　近く、医薬品医療機器等法（薬機法）が改正される見込みとなりました。もちろん、法改正、そして施行までには幾つかのステップがあり、最終的にどうなるかは分かりませんが、薬剤師のあり方が大きく変わり、当然ながら薬局のあり方も激変することは明らかです。　今回の改正については、ポジティ…

　前回、薬を渡すまでの対物業務が主体の「薬剤師2.0」から、少なくとも服用期間中はフォローし、薬学的見地から患者をアセスメントした上で、必要に応じて医師にフィードバックするという対人業務が主体の「薬剤師3.0」に変わると書きました。この変化に対応するために、外来調剤業務の在り方を考…

　2008年ごろ、私は「薬局3.0」という概念をまとめました。「薬局」というビジネスモデルの変遷を振り返り、OTC薬の相談販売をメインとした昔ながらの薬局を第1世代として「薬局1.0」、現在主流の調剤業務を専業とするいわゆる調剤薬局を第2世代として「薬局2.0」、そして、在宅療養支援に参画し地…

　薬剤師の仕事は対物から対人に軸足を移すべきだ――。厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」の公表から3年余りがたちました。そして診療・調剤報酬改定を来年に控えた2019年には、医薬品医療機器等法（薬機法）改正案に、投薬時のみならず服用期間中も薬剤師はフォローすることを義務づける内…

　「対人業務を充実させるための業務の効率化」という文字を見ると、「あぁ、また対人業務の話か」と思われるかもしれません。ただ、このフレーズ、私が申し上げているのではなく、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が2018年末に公表した取りまとめ資料の8ページ、「薬剤師・薬局のあり方」の具…

　皆様、明けましておめでとうございます。新たな年を迎えました。気持ちも新たに素晴らしい1年にしたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いします。さて、2019年がどのような年になるのか――。それは、もちろん私にも分かりません。思わぬことは、本当に起こるものです。人生には、上り坂、下…

　薬剤師の在り方は、大きく変わろうとしています。先日の本コラムでも書きましたが、薬剤師が薬を飲んだ後までフォローすることが義務となり、また薬剤師が考えたことを医師にフィードバックすることが努力義務となる方向で、医薬品医療機器法（薬機法）を改正するための議論が進んでいます。同時…

　2018年12月14日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において、医薬品医療機器等法（薬機法）改正に向けた取りまとめ案がおおむね了承されました。今までの制度部会の議論の内容は、業界紙やメディアで報道されてきましたので、だいたいは分かっていたつもりです。議論の過程で私が大変驚いた…

　今、薬剤師を取り巻く環境は、まさに激動の時代と言えるのではないでしょうか。超高齢社会への突入、地域包括ケアシステム実現に向けた社会保障システムの変化に加え、現実的な問題として調剤報酬改定の先行きなどを合わせると、なかなか明るい展望を持ちづらい状況が続いています。そこに、昨今…

　ロボティクスの専門家によると、ロボットには「3要件」があるそうです。それは「Check, Processing, Action」で、状態をチェックし、それを基に評価して、何らかの行動を起こす――というものです。　例えば、多くの駅で見掛ける無人改札機も、切符やICカードの情報をチェックし、乗車区間や発行…

　ポリファーマシーという言葉はすっかり市民権を得たようで、学会などのシンポジウムのテーマになるばかりでなく、一般演題でも特に注釈なく使用されるようになってきました。薬は飲めば飲むほど有害事象の発生頻度が高くなるということは、誰しも腑に落ちるでしょう。医師としても、有害事象が起…

　講演会の後など、講演会の主催者側である薬剤師の先生方と話をしていると、しばしば耳にする言葉あります。それが「薬剤師が医療人として活躍するために…」という前置きとともに、謙遜の意味も込めた「私たち薬剤師も、もっと覚悟を決めてやらないとダメですね」というフレーズです。聞きように…

　のっけから、すいません。分かりにくくて。多くの方も出席されたかと思いますが、私も金沢で開催された第51回日本薬剤師会学術大会に参加してきました。その中でちょっと感じたことを今日はシェアしたいと思います。　ポスターや口頭発表をちらちら見たり聞いたりしていたのですが、比較的若手の…

　薬薬連携、地域医療連携、多職種連携などなど、“連携ばやり”の昨今。「いろいろな言葉を目にするし、学会や講演会で先進的と思える事例や実践例を聞くけど、なかなか日常的にそうならないよ」という薬剤師も多いのではないでしょうか。…

　いったん秋の気配を感じる日もありましたが、まだまだ残暑厳しき折、皆様、お元気でお過ごしでしょうか。私は相変わらず、病院の仕事や薬局の運営とともに、週末になると、色々な所で話をする機会をいただいています。7月に開催した第11回日本在宅薬学会学術大会の後も、札幌に4回、東京3回、京都…

　去る7月15日、16日と大阪で第11回日本在宅薬学会学術大会が開催されました。2009年の設立当初は、50人の参加者のうち25人は内輪のメンバーという規模でスタートしましたが、今年は、延べ1300人を大きく上回る方にご参加いただき、活発な議論が繰り広げられました。そんな2日間の学会で気が付いた…

　2018年7月5日に厚生労働省で厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が開催され、薬局の機能分化などについて議論されました（「薬局の機能を再定義し、法律に明記を」）。複数のメディアの報道で目についたのは、その機能分化のことよりも、部会の委員から、医薬分業はもとより、医療における薬剤…

　医薬分業制度の下では、医師が診断と処方を、薬剤師が調剤を担います。調剤を行う上では、薬剤師法第24条でも定められている通り、処方箋の内容に疑義がある場合には、医師に照会して確認した後でなければ調剤してはなりません。この疑義照会という制度は、医薬品の適正使用・医療安全の確保とい…

　地域包括ケアシステムの中では、多職種連携・チーム医療推進が不可欠です。高齢者医療のほとんどが薬物治療であり、医薬品は医師が処方し薬剤師が調剤をすることを考えれば、医師と薬剤師の連携は、今後、今まで以上にスムースかつ強固なものになっていくことは当然です。　しかし現実としては「…

　腕の良い薬剤師とはどういう薬剤師なのでしょうか。　私が実家の薬局に帰った2004年ごろ、それは疑うことなく「速く正しく調剤ができる薬剤師」でした。その後、薬局の運営やマネジメントに携わるようになると、「クレーム処理が上手な薬剤師」「医師との関係を良好に保てる薬剤師」はもちろんの…

　「なんで薬剤師の今後を、医師のお前に言われなくちゃいけないんだよ！？」と言いたくなる気持ちをぐっとこらえて、取りあえず聞いていただけないでしょうか。薬剤師が薬剤師たるゆえんは、薬理学や薬物動態学、製剤学に代表される薬学の専門知識を活用して、考え、発言し、行動するところにある…

　「調剤報酬は診療報酬化する」――。いきなり、こんなことを言われても、何のことか分からないと思いますので、説明させてください。先日のことです。ふと、自分が病院の外来で診療している時に、その診療報酬について考えることがありました。私の診療はどういった形でコストが算定しているのだ…

　2月に発表された2018年度調剤報酬改定。3月の厚生労働省の説明会に続き、各地の地方厚生局の説明会もあり、少しずつ馴染んできた（？）方もいらっしゃるのではないでしょうか。　私も、資料を読み返したり、説明会に出席したりしていたのですが、3月17～18日に開催された日本臨床腫瘍薬学会学術大…

　皮膚の表面から見えない血管を探して、注射針を刺して血液を採取する――。医師になって、まずぶち当たる壁といえば、採血ができるかどうかです。患者さんに痛みを伴う処置である上、うまくいったかどうかが瞬時に誰にでも分かるので、医師免許取り立ての研修医にとっては、大きな関門です。　今…

　2018年度調剤報酬改定によって、いわゆる「門前薬局」や「医療モール併設薬局」は、企業規模の大小を問わず、大きな業態変化を迫られそうです。もちろん、今まで通りの仕事ぶりでもよいのですが、薬局経営の観点から採算が合わなくなります。採算が合わないということは、そのサービスを続けるこ…

　薬剤師の仕事は、今現在は薬を渡すまでの「対物業務」になっている印象が強いと感じる人が多いのではないかと思いますが、いずれ、「対人業務」にシフトしていきます。しかし、なかなかうまくいかないのです。というか、私が運営するハザマ薬局では、うまくいかなかったのです。この問題を解決す…

　2018年度調剤報酬改定に示された考え方は、突然出てきたものではありません。　未曾有の超高齢社会に突入した我が国で、国民皆保険制度を堅持しながら、国民が安心・安全に暮らせるようにするためには、これまでの考え方を抜本的に変える必要があります。そのための具体的方策として2013年に厚生…

　保険薬局にとって、まさに激変とも取れる2018年度調剤報酬改定が示されました。しばらくすると、いろいろな所から改定の概要をまとめたものや、具体的な方策案が出てくるでしょう。今後、地方厚生局での説明会や厚労省による疑義解釈資料（いわゆるQ＆A）などによって、実際に運用する上でのポイ…

　報道にもあるとおり、2018年1月10日の中央社会保険医療協議会（中医協）総会で、2018年度の診療報酬改定に関するこれまでの議論について整理案が示されました。DI Onlineでも記事になっていますが（「基準調剤加算が2018年度改定で廃止へ」）、「いよいよ来たか！」という気持ちが正直なところな…

　皆様、新年あけましておめでとうございます。今年は、色々な意味で、激動の1年、節目の年になりそうです。どうぞ、よろしくお願いします！　さて、2015年に厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」で示された「対物業務から対人業務へ」という流れは、2018年度調剤報酬改定を経て、…

　薬局の運営に取り組んできた私が、この数年訴えているのは、「薬剤師が薬を渡すまでではなく、薬を飲んだ後までフォローすれば、薬物治療の質は飛躍的に向上する」ということです。

　先日、とある講演会で話し終わった後、「このところの調剤報酬改定に関連する報道ををみていると、この先、薬局はやっていけなくなりそうで、まさに『改悪』だと思いますが、先生はどう考えていますか」と質問の声が上がりました。…

　コンビニのレジ横に年賀状のPOP広告が貼られたり、年末の紅白歌合戦の出場歌手が発表されたりと、いよいよ今年も終盤の雰囲気が漂ってきました。そんな中、やはり気になるのは調剤報酬改定の動向。色々なニュースを見ながら、一体どうなるのか、やきもきしている方は多いと思います。改定後の点数…

　2009年秋に、現在の日本在宅薬学会の前身である在宅療養支援薬局研究会を設立し、薬剤師向けにバイタルサイン講習会を少しずつ始めました。そのときから私が大切にしてきたのは、5時間の講習会で何を伝えるのかということとともに、講習会後の懇親会で薬剤師の先生方とざっくばらんに話すことでし…

　外科医として熱心に病院で活動していた私が、薬局に籍を移し右往左往していた頃、同級生の依頼で在宅訪問診療を手伝うことになりました。もともと外科医は、それほど薬についての判断や決断を迫られることは多くなく、基本は手術とその前後の患者さんの全身管理が仕事ですから、戸惑いの連続でし…

　10月8日、9日に東京で開催された日本薬剤師会学術大会。第50回という節目でもあり、参加された先生方も多いのではないでしょうか。

　大学病院から薬局の社長へと転身したのが2004年4月。よく分からない薬局の経営（というより運営）や、薬剤師のマネジメント、さらには薬局業界の勉強をしていく中で、漠然と思ってきたことがあります。それは、「医薬分業」時代にこそ「医薬協業」が認められるという、半ば言葉遊びのようなことで…

　「生悟り」という言葉をご存じでしょうか？「なまざとり」または「なまさとり」と読みます。もともとは仏教用語らしいのですが、本当に悟りを開く前に何度も訪れる、中途半端な悟りの状態を指す言葉だそうです。…

　「薬剤師は人の身体に触れてはならない」――。この“都市伝説”は、固く、広く、この業界で信じられていました。実際、そのように薬学部の講義で教えられていた時代はあったようですし、日常現場の業務では、その教えは頑なに守られていました。ですから、2009年ごろに私が、血圧や脈拍の測定や…

　「地域包括ケアシステムにおいて、薬局薬剤師が何をなすべきか」――この問いに答えるのは容易ではないように思います。しかし、「住み慣れた地域で最期まで」を実践するには、医療機関以外で長期に療養する体制を整える必要があり、そのためには薬局薬剤師が積極的かつ主体的に関わる必要がある…

　薬学教育6年制の特色の1つが、病院だけではなく、薬局でも実務実習を義務付けたことではないでしょうか。

　沖縄地方の梅雨が明けたそうですが、日に日に日差しが強くなるこの季節。そろそろ来年度の調剤報酬改定の動向が気になり始めた方も少なくないのではないでしょうか。

　アメリカの美術の先生が生徒に絵の描き方を教えるときに、「親指を描きたかったら、いきなり親指を描いてはいけない。まず、その周囲から描きなさい」と指導したという逸話を聞いたことがあります。この話には続きがあって、これに倣えば、「やりたい仕事を探してはいけない。まずは、やりたくな…

　大学院での研究を進めながら、実家の薬局を手伝い始めた2001年頃。いわゆる門前調剤薬局の在り方が、ビジネスとしては極めてうまく回る一方で、薬剤師の在り方にはいろいろな制約や課題をもたらしているのではないかと痛感し、悩んでいた時期がありました。そのとき「薬剤師とはいったい何者か？…

　2年半ほど前から医師としての活動の場を、在宅療養支援診療所から、地域の194床の私立病院に移しています。当初は、週に1回の外来業務から始めましたが、その後、院長代行となり、入院患者さんの担当や病棟の管理、さらには病院全体の運営について、少しずつ関与するようになりました。現在は、院…

　既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、去る4月23日、大阪国際会議場で日本在宅薬学会主催第1回パートナーシンポジウムを開催させていただきました。

　少子化と高齢化が同時に進行するという大きな社会変化の中で、医療提供体制も大きく変わるはずです。実際に医師も、若くして病院を飛び出して在宅療養支援診療所を立ち上げて活動したり、最近では医療における問題を解決したいとビジネススクールに通った後に起業したりと、従来の働き方と異なる…

　私は、薬局の社長であるとともに、今も現場に立っている医師でもあります。今回は、薬局経営者というよりは医師の観点から、薬学生の憂鬱について私見を述べたいと思います。

　ご存じの方も多いと思いますが、この10年ほど、いろいろなところで講演させていただく機会が増えてきました。主に薬剤師さん、特に薬局勤務の薬剤師さんに、医師および薬局経営者の視点から見た、これからの薬剤師や薬局の方向性や可能性といったテーマでお話しています。…

　その昔、私の母が開設した薬局の改装がありました。10坪くらいの小さな薬局でしたので、入り口から入った所にちょっとしたスペースがあって、その奥が調剤室という構造でした。調剤室と店内を仕切るために、1枚モノのガラスがはめ込まれていましたが、そこに、白い型抜きのプラスチックで「調剤室…

　超高齢社会となった我が国では、受診する患者さんの多くは急性疾患から慢性疾患にシフトしています。

少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」が発表されて1年余り、そして、新しい診療報酬制度になって半年あまりがたち、業界は大きく変わっていこうとしていると実感しています。…

　門内（敷地内）薬局を巡って、色々と騒がしくなっています。

　「かかりつけ」とは何か――。自分自身が、かかりつけ医でありたいと願って仕事をしている中で感じてきたのは、患者さんが何か困った時に「あぁ、狭間先生に相談しなくちゃ！」と思ってもらえるようになりたいということでした。私の外来は、毎週水曜日の午前中ですが、その日を待ちわびて来院さ…

　講演会や学会の会場などで、色々な薬剤師さんとお話をする機会があります。いわば立ち話程度なので、それほど深いお話はできませんが、その多くの方から伝わってくるのは、「もっとできることがあるはずなのに、できない」というもどかしさや、医師や看護師などの医療従事者や患者さん、その後家…

　秋は、学会シーズン。薬剤師の学会も、少し朝・夕が涼しくなった頃から、全国各地で行われています。私もいくつかの学会でランチョンセミナーの講演や、口演の座長を務める機会をいただき、その合間にポスターセッション会場や口演発表の会場に行っています。…

　「これからの薬剤師にとってOTC薬は不可欠だ」という話はしばしば出てきます。セルフメディケーションはそもそも患者さんにとって大きなメリットがありますし、全額を自費で負担するOTC薬を適切に使用することは、医療費の適正化が課題となっている国や行政としても良い影響を及ぼします。地域医…

　この1年ぐらいで急に目にするようになった「かかりつけ薬剤師」。色々な議論はあるでしょうが、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」でも示された「対物から対人」「立地から機能」「バラバラから1つ」を具現化していく上では、どうも必須の概念のようです。…

　この数年、自分の薬局の薬剤師はもとより、色々な所で多くの薬剤師と出会うようになりました。特に一般社団法人日本在宅薬学会という学会を作ってからは、バイタルサイン講習会や色々な認定薬剤師セミナーなどを通じて、たくさんの薬剤師と出会い、その後もFacebookやTwitterなどで何となく連絡や…

　この数年の業界のいろいろな問題や課題は、突き詰めていくと、「薬剤師とは一体何者なのか？」ということに尽きるのではないかと思ってきました。

　毎年8回シリーズで担当している薬学部の講義があります。もう、6～7年になるでしょうか。メインは4年生ですが、選択講義なので、4年生以外の学生もちらほら受けに来てくれます。

　薬局業界は慢性的な薬剤師不足の状態にあり、もちろん当社も例外ではありません。ただ、この数カ月、異様といってよいほど転職希望の薬剤師さんからの問い合わせが増えています。

　今から10年ほど前。大学病院から薬局に活動の場を移して、しばらくたった頃に思ったこと。それは「薬剤師の社会的評価や認知度は不当に低い。しかし、その責任の一端は薬剤師自身にある」ということです。…

　ありがたいことに、そして、自分の学生時代を振り返ると恐ろしいことに、薬学生さんにお話をさせていただく機会がしばしばあります。毎日、何やかやと仕事がある中で、薬剤師向けの研修会と異なり、「講義」は平日の昼間に行われるため、場合によっては、自分の外来日であったり、朝の講義のため…

　薬剤師の転職、依然として活発ですね。外来調剤に専念してきた薬剤師が、在宅も含めて薬剤師としての専門性が活かせるように色々と工夫しても、どうしても現在の職場では無理だということがあります。そんなときに職場を変えるというのは、十分あり得ると思います。私は自分が社長だからというわ…

　今から10年以上前のことです。弊社の社員に「在宅療養の現場でも、薬剤師は専門性を発揮してがんばろう！そのためには、施設、自宅にかかわらず、来局できない、もしくは来局が難しい患者さんがいらっしゃったら、こちらから積極的に出向こう」と声を掛けていました。…

　私の講義や講演で時々紹介するのが、「web2.0」という言葉です。アメリカのティム・オライリー(Tim O’Reilly)らによって2005年に提唱された概念です。私は、この言葉を梅田望夫さんの『ウェブ進化論ー本当の大変化はこれから始まる』（ちくま新書、2006）で知りました。…

　新しい調剤報酬改定の目玉の1つである「かかりつけ薬剤師」。厚生労働省の中井清人薬剤管理官は、講演で「これから大切に育ててほしい」とおっしゃっておられますが、薬剤師の反応は様々なようです。

　薬剤師さんは総じて、真面目でおとなしいといわれます。もちろん個人差はありますし、職業・職種でくくることが必ずしも正しいとは思いませんが、確かに私が接してきた薬剤師さんは全体的に真面目です。…

　いささか旧聞になりますが、昨年10月に厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」では、いくつかのキーワードが出てきました。「バラバラから1つへ」「立地から機能へ」と並んで示されたのが「対物業務から対人業務へ」でした。…

　2016年度調剤報酬改定では「かかりつけ薬剤師」が明示されました。「かかりつけ」というのは医師のみの話ではないかとか、薬剤師にかかりつけなんてあるのか、というような声は多々ありましたが、調剤基本料や基準調剤加算に関わるとなると、当面、これに取り組まざるを得なくなりそうです。…

　今春の調剤報酬改定は、2015年10月に厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」に示された「立地から機能へ」「対物から対人へ」「バラバラから1つへ」というキーワードが、ある意味では忠実に反映された内容となっています。…

　私が卒業後5年目ぐらいの時に、勤務している病院でいつもお世話になっている麻酔科医の先生がいらっしゃいました。体も大きく、声も大きく、技術も優れているその先生は、口も達者でした。若手の外科医だった私は、怒られないかと内心ひやひやしながら仕事をしていました。その先生がある時、手術…

　今年4月に予定されている診療報酬・調剤報酬改定の概要が少しずつ明らかになってきました。いろいろな政治決着（？）が図られたのかもしれませんが、当初の想定よりは調剤報酬制度への切り込みは少なくなるのではないかという予測もちらほら聞かれるようになりました。…

　今、多くの薬局経営者にとって今後の見通しは決して明るいものではありません。2016年度の調剤報酬改定においては、いわゆる「門前薬局」の在り方は大きく見直されることになりそうです。毎日の業務に、熱心に取り組み、そこで医薬品を患者さんに適切に提供し、服薬指導という重要な仕事を担って…

　「この数年、急速に変化しつつある薬局業界」――こんなフレーズ、もう聞き飽きたと思いませんか？私も随分いろいろなところでこんな風にお話したり、書いたりしてきました。

　いわゆる門前調剤業務の調剤報酬が、ばっさり切られそうな報道が相次いでいます。門前薬局に対する「バッシング」とも表現されるような報道が相次いだこともありますし、無資格調剤や薬歴未記載問題なども影響しているのかなと思います。いずれにしても、薬局経営者としても「ちょっとまずいよな…

　「おまえが言うな！」といわれそうですが、医師の立場で言えば、医師の指示に従ってお薬を調剤して渡すという従来の薬剤師のままでは、分割調剤とスイッチOTC薬は、患者さんの安全性を考えるとやはり認めづらいと思います。…

　厚生労働省が10月23日に発表した「患者のための薬局ビジョン」と、10月30日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会で財務省が示した調剤報酬や薬価に関する改革案を薬局経営者の視点で読んで、当社に当てはめて考えてみました。…

　診療のメインの現場を、在宅医療から地域病院へ移して3カ月が過ぎようとしています。2次救急にも対応しながら、地域の急性期病院から療養を目的に転院される患者さんも数多く受け入れています。

　この数年、薬学生を対象に講義の一環としてお話させていただくことがよくあります。1回の講義のこともあれば、シリーズでお話することもあります。年次も様々で、1年生のときもあれば、4年生、5年生を対象とすることもあります。正式な教員ではない私が、そのようなチャンスをいただけることは、…

　外科医として急性期医療の現場で活動をしたのが約10年。そして、この10年は外来診療・健康診断業務、さらには在宅医療の現場で医師としての仕事を継続しながら、薬局運営に携わってきました。

　8月から医師としての診療の拠点を、在宅療養支援診療所から2次救急指定病院へと変更しました。薬局の経営者としての立ち位置は変えていませんが、医師としては診療所から病院に戻ったことになります。…

　いろいろなご縁があって、薬学部で学生さんに講義をさせていただく機会がしばしばあります。多くは1回限りの講義なのですが、中には複数回にわたってシリーズ物（？）で講義する機会もあります。

　今から4年ほど前、2011年7月のことです。医局の先輩で開業されている先生の集まりに呼んでいただきました。「狭間君は、何かおもしろそうなことをやっていそうだから」ということだったのか、「今やっていることを話してみなさい」と言われて、大阪・道頓堀の宴会場に赴きました。…

　中央社会保険医療協議会（中医協）でいよいよ論戦が始まりました。規制改革会議以後の議論も受けて、いわゆる「調剤薬局」への風当たりは厳しく、メディアの報道を目にして、心がざわめくような思いをしている方も多いのではないでしょうか。…

　先日、新しく担当を始めた外来診療でのことです。70代の女性患者さんがお薬を持って診察室に入ってきました。「先生、これ、余ってきたから持ってきました」。最近、テレビなどの影響か、薬局店頭での声掛けの成果か、患者さんが診察室に残薬を持って来られるケースがよくあります。…

　この4年ほど、週に1～2回、時間を見つけて走るようにしています。もともとは15kgほどダイエットして、急に体が軽くなり、無性に走りたくなったのがきっかけですが、大学時代に所属していたボート部の練習では「走るのだけは勘弁」と思っていたのに、今や出張先にもランニングシューズを持っていき…

　昨今、残薬の問題は、社会問題として取り上げられるようになってきました。残薬に関しては、薬局業界（？）では数年前からインパクトを持って触れられてきましたし、日本薬剤師会も470億円を超える残薬があるのではないかという推計を発表してきましたから、少しタイムラグはありましたが、事の重…

　チェーン薬局による薬歴未記載の問題は、発覚からしばらくの期間がありましたが、調剤報酬返還という事態に至りました。

　来年4月の調剤報酬改定に向けて、今年の夏以降、「調剤報酬改定セミナー」がたくさん開催されると思います。私を含めて、多くの薬局経営者や幹部は、それらのセミナーに参加し、いろいろな情報を仕入れて調剤報酬改定の方向性をいち早く察知するよう努めなければなりません。そして、改定を見据え…

　先週木曜日、4月16日に開催された健康・医療ワーキング・グループの会議に出席しました。

　本コラムでも触れましたが、去る3月12日に内閣府で開かれた規制改革会議の公開ディスカッションに発言者として出席する機会を得ました。当日は傍聴も可能でしたし、インターネットでも会議の模様が配信されましたので、ご覧になった方も多いと思いますが、私の眼を通した討論会の模様と私自身の気…

3月12日の公開ディスカッションを前に

　ご存じの方も多いかも知れませんが、来る3月12日の規制改革会議の公開ディスカッションに出席することになりました。規制改革会議の当初の議論は、保険薬局の独立性という観点と、医療機関と薬局との間のフェンスがもたらす患者さんへの不便さをどのように考えるかということが発端だったように思…

　1月末、衝撃的なニュースが飛び込んできました。内閣府の規制改革会議が、公開ディスカッションのテーマに「医薬分業」を取り上げるというのです。

　この国は誤解しているんじゃないか――。最近、ふと感じることがあります。何のことかといえば、国民が手にしたいモノ、逆に言えば、薬剤師が患者に提供したいモノのことです。国民は「薬を手にしたい」、薬剤師は「薬を提供したい」と誤解しているのではないかと思うのです。…

　先日、薬学生向けの就職イベントの会場に足を運びました。製薬会社主催のセミナーも同時開催だったためか、200人以上の薬学生が来場、出展者も薬局や病院など30を超え、とても盛況でした。弊社もブースを出展しました。…

　新年明けましておめでとうございます。昨年4月からこのコラムを担当させていただき、最近は、初めてお目にかかる薬剤師さんに「いつも、読んでいます！」とおっしゃっていただくことも増えてきました。今年も、皆様とご一緒に、薬剤師や薬局のこれからについて考えてまいりたいと思います。どうぞ…

　ありがたいことですが、最近は薬剤師向けの講演会やセミナーでお話をさせていただく機会が増え、講演後に名刺交換をする機会がしばしばあります。その中に、薬剤師としての臨床の現場から離れている方がちらほら、いらっしゃいます。その方たちと話をして、考えたことがありました。…

　薬剤師の社会的認知度や評価は不当に低い――。薬剤師を両親に持つ子どもとして、ぼんやりと感じてきたことは、2001年頃から実家の薬局運営に携わるようになり、確信に変わっていきました。

　チーム医療ということが言われるようになって久しいですが、薬剤師のチーム医療への関わりは、なんだかギクシャクすることも多いです。どうしてなのでしょうか？

　最近、いろいろな所でイノベーションという言葉を目にしませんか。かくいう私も、講演のテーマとして「薬局から始める地域医療イノベーション」という題を付けることもしばしばあります。イノベーションという言葉は、便利な横文字で、何となく付けたらいい感じになる気がするように思います。し…

　この数年、薬剤師さん向けの様々な講演会に呼んでいただくことが多くなってきました。医師として、薬局経営者として、実際に感じていることを、60分なり90分なりのプレゼンテーションにまとめてお話ししています。もともと「しゃべり」の大阪人としては、講演させていただくチャンスは基本的には…

　先日、ある大学の先生とお話する機会がありました。同級生の薬剤師が保険薬局で管理薬剤師をしていたが、処方医に疑義照会をしたら、しばらくして管理薬剤師をクビになって、他店に配置換えになったというのです。また、先生の大学の薬学生が、薬局実務実習先で、指導薬剤師に「疑義照会……。ま…

　先日、卒業して1年ちょっとという薬剤師さんと立ち話をする機会がありました。「色々とあって、転職を考えているんです」と彼女は目をぱちっと見開きながら言いました。

　医師国家試験に合格し、研修医生活をスタートさせた時点では、とにかく全てのことができません。注射や採血はもとより、手術や検査の実施を前にした患者さんの食事を、オーダリングシステムでキャンセルする方法も知らなければ、レントゲンを撮るためにどこに行けばよいのかも知らないので、病棟…

　医学部の学生時代に病院実習で内科を回ったときのことです。朝、指定された病棟のカンファレンスルームに行くと、担当の先生から「今回、担当してもらう患者さんは、ディアベの方だから。まずは今日、アナムネ取ってきて」と言われました。…

　この2年ほどは、私が訪問診療を担当している介護施設では、患者さんの診療を始める前に、薬剤師から提出された「居宅療養管理指導報告書」に目を通すことにしています。というのも、訪問する前に、患者さんの最新の情報や、薬剤師によるアセスメントを頭に入れておくことは、診療の質を上げるため…

　私は、この数年、医師としては、個人宅や施設での在宅患者の訪問診療をメインとして活動しています。来たるべき「多死」時代に備えるために急速に整備されつつある介護施設での適切な医療提供体制は、特に興味のある分野であり、自分自身をその現場に置きながら、その問題点を見いだし、課題解決…

　薬事法が改正され、医薬品のインターネット販売のルールが変わりました。第1類医薬品も含めてインターネット販売が可能になった一方で、要指導医薬品という枠組みが作られ、医療用医薬品と並んで、薬剤師の対面が義務づけられました。…

　先日発表された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2014」、いわゆる「骨太の方針」の中に、調剤報酬の在り方について「医薬分業の下での調剤技術料・薬学管理料の妥当性・適正性について検証するとともに、診療報酬上の評価において、調剤重視から服薬管理・指導重視への転換を検討する」と記…

　先日、ある学会でお薬手帳に関する質問がありました。お薬手帳を持ってこない患者さんにどんな風に対応するかという内容だったのですが、私の心に浮かんだ答えは、「やっぱり、気合いや！」でした。

　何年かぶりに自宅近くの整形外科クリニックを受診しました。そのクリニックは、私より少し年上の先生が2代目院長で、まだ院内調剤でした。自分の順番が呼ばれるまでの間、持参した本を読みながらも、どうしても窓口の向こう側のやり取りが気になります。それとなく見聞きしたところ、事務さんと思…

　ゆでガエルのお話をご存じでしょうか？いくつかの元ネタはあるようですが、私が好きな寓話は次のようなストーリーです。

　イノベーションというカタカナ語は、人によってその言葉を用いる背景や意味合いが異なる、いわゆるバズワード化していますが、私自身は、新しいアイデアで新たな価値を生み出し、それを人や組織の自発的な改革につなげていくことだと理解していました。…

　調剤報酬や診療報酬の改定は2年に1回行われますが、その都度、保険薬局は業務のやり方や内容を見直し、適応してきました。その結果が、現在の「外来処方箋を待つだけ」の「薬局ビジネス」を生み出したといえるでしょう。…

　「どう考えたって、薬剤師は変わるはず」――。そう思って、この10年ほどを過ごしてきました。最初は直感でしかなかったのですが、徐々に状況が変わってきました。さらに今回の診療報酬改定および調剤報酬改定の内容をじっくり読んでみて、この改定が薬剤師の変革のきっかけになると感じています…

　ソチオリンピックの熱戦が終わりました。恥ずかしながらソチは、その存在すら知らなかった都市ではありましたが、オリンピックという素晴らしい舞台で繰り広げられる、0.01秒や芸術性を競う競技は、見ていて心が揺さぶられました。…

　いよいよ4月の診療報酬、調剤報酬改定の具体的内容を伝えるニュースがメディアをにぎわすようになってきました。去る1月29日の中央社会保険医療協議会（中医協）で、厚生労働省保険局医療課がまとめた「個別改訂項目について」が提出され、議論されています。…

　この数年、たくさんの薬剤師さんや薬学部の先生方とお会いする機会があります。そんな中でよく出てくるのが「薬剤師の地位向上」や「薬剤師の職能拡大」というキーワードです。薬学教育が、医学教育と同様に6年制に移行したから、薬剤師の地位は向上するだろう。バイタルサインの手技を学んだり、…

　2014年。新しい年になり、気持ちも新たに、新しい事に取り組もうとしている方も多いのではないでしょうか。確かに薬剤師や薬局を取り巻く環境を見てみると、状況は大きく変化していますので、新しい事にチャレンジする素地は整っているのかも知れません。…

　時節柄、来年度の診療報酬・調剤報酬改定の話題がちらほらメディアでも見られるようになってきました。私も薬局運営に携わるようになって12年が経ちますが、2年に1度の恒例行事と言いますか、「あぁ、そんな季節だな」と感じるこのごろです。…

　薬剤師としての専門性はどこにあるのか――。この数年、薬局や薬剤師をテーマに活動して来た中で、私自身に何度も問い掛けてきたことです。薬剤師が、薬剤師しかできないことをする。簡単なようですが、今の薬剤師の業務では、時と場合によっては、大きな戸惑いに直面することがあります。…

　医療において、薬剤師は100メートルダッシュを何度も繰り返すスプリンター（短距離走者）であるのに対し、医師は、マラソンを走っている患者さんに併走して指導し、時に応援するコーチのような役割ではないかと思います。この違い、つまり自らが走るのか、患者さんが走るのか、という視点の違いが…

　最近、ふと思ったことがあります。今の薬剤師は、スプリンター（短距離走者）なのではないか、と。医師は、マラソンのコーチのような感じです。スプリンターとコーチ。この違いは、今までの薬剤師と、これからの薬剤師の職能を考える上で、大きな意味を持つと思いますし、私自身がちょっと腑に落…

秋の夜長。私の夢物語に少しお付き合いくださいませんか？もし、薬剤師の職能拡大や薬局の機能拡張が、薬剤師の業界のみで語られるとするならば、その広がりは、一時的な熱さがあったとしても、所詮は「コップの中の嵐」。その変化がもたらす影響は限定的で、その動きにも早晩、限界が訪れるだろう…

　6年制教育を受けた薬剤師が現場に出始めて1年半余り。病院でも、薬局でも、そのフレッシュさに色々と刺激を受けている先輩方も多いのではないでしょうか。

　東京でのオリンピック開催が決まりました。2020年。予定が決まれば、後は確実にその日はやってきます。そのときに、もっともっと良い国になっているようにがんばりたいと思います。

　私も高度情報化社会（という表現すら陳腐化してきましたが）のメリットを享受している一人ですが、個人的な体験も踏まえ、自戒を込めて気を付けたいと思っているのが「らしいですね」の落とし穴です。…

　「業界を変えるのは『よそもの』『わかもの』『ばかもの』だといわれますが、先生はまさにその通りですなぁ」。今から7～8年ほど前、ある講演会後の懇親会の場で、ベテラン薬剤師の先生から言われたことがあります。…

　薬剤師法第24条には「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない」とあり、疑義照会は、薬剤師にとって果たすべき義務であるというのは言うまでもな…

　AKY――最近、どこかで目にした言葉です。あえて（A）空気（K）読まない（Y）の略だそうです。

　薬学教育6年制という内部からの動きと、超高齢社会への突入という外部からの動きが相まって、きっと薬剤師は変わると思います。しかし、最終的には、薬剤師一人ひとりが“内なるスイッチ”を入れなくてはならないでしょう。「分かってはいるけど、日常の中で“内なるスイッチ”を入れるなんて、そ…

　「具体的に、どのようにすれば良いのでしょうか？」――薬剤師さんから、こう質問されることがあります。その質問には、次はどういったことを勉強すればよいのかという、「真面目」な薬剤師さんらしいニュアンスが込められているように思います。…

　薬剤師さん向けの講演会やセミナーの後、懇親会や情報交換会が設けられ、名刺交換や雑談、時には多少深刻なお話を伺う機会があります。そのような懇親会の一つで、ちょっと印象的な出来事がありました。…

　いくら両親が薬剤師とはいえ、これほど多くの薬剤師とお目にかかったり、交流を持ったりするとは思いもしませんでした。「世界で最も薬剤師とツーショット写真を撮った医師」としてギネスブックに申請できるのではないかという勢いです。…

　「TwitterやFacebookのアカウントを持っておられますか？」――。この一文、分かる人には分かるけど、分からない人には分からないですよね。「もちろん！」という方もいれば、「ついったー？ふぇいすぶっく？あかうんと？」という方もいらっしゃるでしょう。本コラムは、オンラインのコラムなので…

　もう10年ほど前になりますが、病棟で肺癌の患者さんを担当していた時期がありました。疼痛管理のためにオピオイド鎮痛薬を導入することが多かったのですが、その際にすごく気を付けていたことがあります。…

　薬学生と接する中で、私が最近、感じるのが「迷っているなぁ」ということです。正直なところ、私が医学生だったころは、将来についてほとんど迷いはありませんでした。でも、最近、薬学部で講義をしたり、採用活動をしたりする中でお会いした薬学生の何割かは、かなり迷っているように感じます。…

　前回のお題、「『薬剤師ならでは』の『何か』」について考えたいと思います。「何か」はたくさんあると思いますが、その一つに、薬剤師がその専門知識を生かして患者の“未来”を予測することがあると思います。予測した“未来”が当たるか当たらないかは、患者さんにとって、その医療人を信用す…

　バイタルサインやフィジカルアセスメントというテーマは、薬剤師の中に、確実に変化を起こしつつあると思います。多くの薬剤師にとっては、エキセントリックなテーマであったため、最初はとっつきにくかったとは思いますが、少しずつ広まってきました。薬学教育6年制への移行もあり、ある程度のと…

　今や終身雇用の時代ではないので、転職は普通のことだと思います。しかし、ある転職サイトでは、薬剤師の有効求人倍率がなんと17倍を超えているそうです。需要に比べて供給が極端に少ない、求められる業務内容が薬剤師によって大きく変わらない、という事情が、薬剤師の転職を少し特殊なものにし…

　2009年秋から、私は、一般の薬剤師さんを対象に、バイタルサインの手技や意義を伝える講習会を開催してきました。この講習会はもともと、私の薬局の薬剤師に、血圧の測定方法や聴診器の使い方などを、その基本的な知識や理論とともに教えるというものでした。…

　薬剤師が次世代へとに変わる必然性や蓋然性は、あなたの周りで、そして業界全体で見られ始めている、地域医療ニーズの変化や薬学教育の変化をつぶさに観察すれば、腑に落ちるのではないでしょうか。このことは既に、私も色々なかたちで情報を発信してきています。…

　皆様、こんにちは。狭間研至です。今回から、新しくDIオンラインのコラムを担当させていただくことになりました。本コラムでは、webでの発信ということを踏まえて、日常の出来事から感じたことを基に、私が感じている“今”をお伝えできればと考えています。どうぞ、よろしくお願いします。…