調査内容 主要ベンダーへの満足度(通信・ネットワークサービス)
調査時期 2009年3月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3097件(1204件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システム担当者を対象に,2009年3月調査で国内の主な情報通信製品/サービス・ベンダーへの満足度を聞いたところ,「通信・ネットワークサービス」分野で最高の満足率(算出方法は下の「■調査概要」参照)を獲得したのは,「価格(料金)」と「性能・機能」はNTT東日本/NTT西日本(NTT東西)とNTTコミュニケーションズ(NTTコム)がほぼ同率でトップ。「サポート・サービス」はNTTコムがトップだが0.6ポイントの僅差でKDDIもトップに迫る評価を得た。

 この満足度調査では今回から評価対象分野を見直し,従来の「通信・ネットワークサービス(ASP,SaaSを含む)」分野を,「通信・ネットワークサービス」と,「データセンター・サービス(ASP,SaaSを含む)」(結果は明日5月15日公開の記事で報告予定)に2分した。評価項目は前回2008年11月調査前々回2008年5月調査と同じく,各分野での「価格(料金)」,「性能・機能」,「サポート・サービス」の3項目である。

「価格」の評価はNTT系2社に次いでイー・アクセスが3位

 「通信・ネットワークサービス」の「価格」への満足率は,前回2008年11月調査でトップ評価(57.1%)を得たイー・モバイルに代えて,今回の調査から評価対象としたイー・アクセス(イー・モバイル,アッカ・ネットワークスを含む)が健闘。前々回の首位(63.2%)から前回51.6%で3位に転落したNTTコムが,今回は57.2%に戻して首位を奪還,2位はNTT東西(前回49.4%で5位,前々回も53.0%で5位)が,満足率を56.9%に上げてほぼNTTコムと同率に近い結果を残した。

 前回53.1%で価格満足率2位(前々回は54.8%で4位)だったKDDI(au,旧パワードコムを含む。加えて今回調査から,高速無線通信事業のUQコミュニケーションズも含めての評価を求めた)は,小幅だが今回満足率を落とし52.0%。前々回は61.7%で3位,前回は50.0%で4位のウィルコムは,ついに今回価格満足率も50%を切って49.0%(7位)となった。

性能・機能,サポートの3強はNTT系2社とKDDIで変わらず

 「通信・ネットワークサービス」の「性能・機能」への満足率は,前々回2008年5月調査(57.1%),前回2008年11月調査(51.3%)で連続トップのNTTコム(今回52.7%)を,NTT東西(前々回53.3%で5位,前回48.1%で3位)が0.1ポイント上回った。3位には前々回(57.1%で同率首位),前回(49.7%で2位)と同様,KDDIが入っている。

 「サポート・サービス」の満足率は,前回調査で0.2ポイントの僅差でNTTコム(44.4%,前々回は45.3%で3位)がKDDI(44.2%,前々回55.2%で首位)を上回った。今回も両社は前回調査より満足率をやや落としたが,39.1%のNTTコムが38.5%のKDDIに競り勝った。3位(37.5%)のNTT東西も前回(40.9%)と同順位である(前々回は43.7%で5位)。性能・機能,サポートともにNTT東西,NTTコム,KDDIの3社と,4位以下の各ベンダーの間に6~7ポイントの差が付いた。

 「通信・ネットワークサービス」の3項目の満足率の単純平均上位は,NTTコム(49.7%),NTT東西(49.1%),KDDI(46.8%)に次ぐ4位にソフトバンクテレコム(42.5%)が登場。「サポート」の25.1%という低評価が響いたイー・アクセス(41.5%)を,わずかながら上回った。

「不満足率」は4カ月前の調査よりやや改善

 通信・ネットワークサービスへの「不満足率」も,「ハード製品」(5月12日付け記事参照),「ソフト製品」(5月13日付け記事参照)と同じく,上位を「価格」に対する不満が独占する形となった。28.8%のNTTドコモから23.2%のソフトバンクモバイルまで,不満足率の1~7位が「価格」への評価。「価格」以外で20%以上の「不満足率」という評価が下ったのは,ウィルコムの「機能」(21.3%)とソフトバンクテレコムの「サポート」(20.6%)の2件だけだ。

 ただし前回調査と比べると,今回の調査では各ベンダーへの「不満足率」はやや低下(改善)されている。「価格」に対する「不満足率」は前回調査ではNTTドコモ(38.0%),NTTコム(33.9%),NTT東西(31.4%),ソフトバンクテレコム(31.4%)の4社が30%台。「機能」も前回調査ではイー・モバイルが26.0%,ソフトバンクテレコムが21.5%の不満足率。「サポート」はイー・モバイル(28.0%),ソフトバンクテレコム(23.7%),NTT東西(23.7%),NTTドコモ(21.7%)の4社が20%台のやや高い不満足率を記録していた。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,主要ベンダーに対する満足度を聞いた。
 前回2008年11月調査と同じく,まず「評価対象のベンダーを利用しているか」の設問を提示。そのうち「利用している」とした回答者数(有効回答数)を,そのベンダーのその評価項目についての100%とし,その評価項目に「満足」「不満足」の二者択一で回答を求めた。本文中の「満足率」は上記の有効回答数の中で「満足」とした回答者の比率,「不満足率」は「不満足」とした回答者の比率である。これに「満足」「不満足」のいずれも選ばなかった無回答(態度保留)の回答者を加えると100%となる。
 「価格」満足度は評価対象ベンダーと直接契約して利用している回答者,「性能・機能」と「サポート・サービス」満足度は評価対象ベンダーの製品・サービスを直接または間接的な形で利用している回答者にだけ,設問を提示した。
 なお,今回の調査では以下の各ベンダー(有効回答数30以上を得た会社のみ記載,順不同)も評価対象として提示したが,当該ベンダーの製品・サービスの領域を考慮して,「通信・ネットワークサービス」の満足度評価の集計対象からは除外した。
 EMCジャパン(Documentum,Avamarなどを含む。VMwareは除く),NEC,SAPジャパン(BusinessObjectsを含む),アドビシステムズ,アライドテレシス(コレガを含む),ヴイエムウェア(VMware日本法人),ウイングアークテクノロジーズ,エーピーシー・ジャパン(American Power Conversion),OBC,サイボウズ,サン・マイクロシステムズ(MySQL,StorageTekを含む),シスコシステムズ,シトリックス・システムズ・ジャパン,シマンテック(ベリタスソフトウェアを含む),セイコーエプソン,セールスフォース・ドットコム,ソニー,デル,トレンドマイクロ,ネオジャパン,ピー・シー・エー(PCA),マイクロソフト,マカフィー,ヤフー,レッドハット,レノボ・ジャパン,ワークスアプリケーションズ,東芝,日本IBM(チボリ,ラショナル,ロータス,コグノス,Informix,Red Brickなどを含む),日本オラクル(BEAシステムズ,ハイペリオン,シーベル,ピープルソフト,JDエドワーズなどを含む),日本ヒューレット・パッカード(EDSジャパンを含む),日立製作所,富士通(Gloviaを含む),米Amazon.com(Amazon Web Services),米Google(Google App Engine,Google Apps)。
 調査実施時期は2009年3月中旬,調査全体の有効回答は3097件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1204件。

図1●主な情報システム関連ベンダーの通信・ネットワークサービスへの満足度《価格》
図1●主な情報システム関連ベンダーの通信・ネットワークサービスへの満足度《価格》

図2●主な情報システム関連ベンダーの通信・ネットワークサービスへの満足度《性能・機能》
図2●主な情報システム関連ベンダーの通信・ネットワークサービスへの満足度《性能・機能》

図3●主な情報システム関連ベンダーの通信・ネットワークサービスへの満足度《サポート・サービス》
図3●主な情報システム関連ベンダーの通信・ネットワークサービスへの満足度《サポート・サービス》