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BMJ誌から
食事からのカルシウム摂取が約750mg/日以下だと骨折しやすい

 食事からのカルシウム摂取量が少ない中高年女性の骨折骨粗鬆症のリスクは、平均的な摂取量の女性に比べて有意に高い。ただし、750mg/日を超えて摂取してもさらなるリスク低下は期待できない――。そんな知見が、スウェーデンで行われた前向きコホート研究で得られた。スウェーデンUppsala大学のEva Warensjo氏らが、BMJ誌2011年5月28日号に報告した。

 分析対象は、Swedish Mammography CohortとそのサブコホートとなるSwedish Mammography Cohort Clinicalに登録された女性から選ばれた。このコホートは、1914年から48年に生まれたスウェーデン在住の女性に定期的なマンモグラフィースクリーニングへの参加を勧めることを目的として、87~90年に登録されたもの。ベースラインで食事やライフスタイルに関する調査を行い、97年に2回目の調査を実施した。

 今回の分析は、ベースラインのデータがそろっていた6万1433人と、2回目の調査のデータが得られた3万8984人を対象とし、追跡期間中の骨折の有無は同国の患者登録を利用して確認した。

 加えて、03年11月から09年10月の間に、それらの女性の中から無作為に選んだ女性5022人をサブコホートとして、二重エネルギーX線吸収法を用いた骨密度の測定などを行い、股関節部全体、大腿骨頸部、脊椎のTスコアに基づいて骨粗鬆症か否かを診断した。

 主要アウトカム評価指標は、あらゆるタイプの骨折と股関節部の骨折、2次評価指標は骨粗鬆症に設定した。

 Cox比例ハザードモデルを用いた分析では、年齢、総摂取エネルギー量、飲酒量、レチノール摂取量、ビタミンD摂取量、BMI、身長、出産歴、学歴、身体活動量、喫煙歴、カルシウムサプリメント使用歴、ベースラインより前の骨折歴、Charlson併存疾患指数を交絡因子として多変量調整を行った。

 追跡期間(中央値19.2年)中に、1万4738人(24%)の女性が初回の「あらゆるタイプの骨折」を経験した。初回の股関節骨折は3871人(6%)だった。また、サブコホートのうちの1012人(20%)が骨粗鬆症と判定された。

 食事からのカルシウム摂取量に基づいて女性を五分位に分けた。最低五分位群は1日当たり751mg未満(平均は603mg)、第2五分位群は751mg以上882mg未満(810mg)、中間五分位群は882mg以上996mg未満(922mg)、第4五分位群は996mg以上1137mg未満(1028mg)、最高五分位群は1137mg超(1194mg)となった。各群のカルシウムサプリメント摂取量の平均は1日当たり322mg、255mg、248mg、245mg、245mgだった。

 食事からのカルシウム摂取量が300mg増加するごとのあらゆるタイプの骨折の多変量調整ハザード比を求めたところ、0.94(95%信頼区間0.92-0.96)となり、摂取量とリスクの間に有意な関係が認められた。しかしこの関係は直線的ではなかった。

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