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パンデミックに挑む

エジプトで昨年の患者数を超える、鳥インフルエンザウイルスのヒト感染例

 エジプトで新たに5例の鳥インフルエンザウイルスH5N1)のヒト感染例が確認された。2011年に入って30人となり、半年で昨年の29人を超えた(図1)。WHOが6月16日に発表した。

 患者は40歳女性(Aswan地区在住)、21歳妊婦(Ashmoun地区在住)、31歳男性(Shobra Elkhima地区在住)、32歳男性(Elzawya地区在住)、16歳男性(Ashmoon地区在住)の5人。

 40歳女性は5月14日に症状が現れ入院。タミフルによる治療を受け、症状が回復し退院した。21歳妊婦は5月21日に発症し、入院してタミフルによる治療を受けたが、5月29日に死亡した。

 3例目の31歳男性は、5月21日に発症、入院しタミフルによる治療を受けたが、6月5日に死亡した。4例目の32歳男性は、5月23日に発症し、入院しタミフルによる治療を受けたが、6月2日に死亡している。

 最後の16歳男性は、5月21日に症状が現れ、入院しタミフルによる治療を受け、回復に向かっているという。

 感染経路としては、それぞれ鳥インフルエンザに感染したと思われる家禽との接触が疑われている。

 今回の5例でエジプトでは、WHOが統計を取り始めた2003年以降、149例となった。死亡は51例で、致死率は34%と、インドネシアなどに比べると依然として低い水準にとどまっている。

 ただ、2011年に入ってからは、感染確定例の30例中、死亡が11例で、致死率は37%と上昇傾向にある。タミフルによる治療を受けても死亡する例も見られており、さらに詳しい検討が必要になっている。

図1 鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のヒト感染例の推移(WHOのデータから作成)

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