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Lancet誌から
携帯電話への自動送信メールを使った禁煙支援は有効
6カ月後の禁煙継続率が2倍に、5800人を対象とした無作為化試験の結果

 携帯電話自動送信テキストメッセージメール)機能を利用した禁煙支援プログラムによって、6カ月後の禁煙継続率を2倍にできることが、英London大学衛生熱帯医学大学院のCaroline Free氏らが行った無作為化試験で明らかになった。論文は、Lancet誌2011年7月2日号に掲載された。

 禁煙を望む喫煙者の意欲を高めて行動改善を刺激する禁煙支援は、以前は対面で行われてきた。この禁煙支援を、携帯電話を使って個々の患者に対して行えば、患者がどこにいても簡単に実施できる。実際に、携帯電話へのテキストメッセージを利用した禁煙支援プログラムは、6週間の時点の自己申告による禁煙成功率を高めることが示されている。

 著者らは、こうした短期間の効果が持続するかどうか、また唾液コチニン濃度で喫煙状況を確認しても介入の効果が有意になるかどうかを知るために、携帯電話への自動送信テキストメッセージを利用した禁煙支援プログラムを実施し、6カ月時点の禁煙継続に対する影響を評価する単盲検の無作為化試験を英国で行った。

 禁煙を望む喫煙者を登録し、メッセージによる禁煙支援プログラムを行う群(介入群)または無関係なメッセージを送信する群(対照群)の2群に無作為に割り付けた。メッセージ送信システムは自動化されており、介入群と対照群に、当初5週間は1日5通、その後は1週間に3通、メッセージが送信された。

 参加者には、他の禁煙支援プログラム(電話での禁煙支援プログラム「QUIT」やニコチン置換療法など)の利用を認めた。

 介入群の参加者には禁煙開始日を割り付けから2週間以内に設定するよう求めた。介入群へのメッセージは、登録された喫煙者と禁煙の専門家の意見を取り入れて作成し、ベースラインの患者特性に基づいてそれぞれの患者に適するよう個別に調整した。また、介入群の患者間でのメッセージのやりとりも可能にした。

 介入群に送信されたメッセージは、禁煙意欲を引き起こす内容や行動改善を支援する内容になっていた。例えば、禁煙予定日前には、禁煙に向けた心の準備を進めるためのメッセージ(「なぜ禁煙したいのか、理由を書き出してみよう」など)や、禁煙にかかわる不安を軽減するメッセージ(「禁煙後太ることが心配? 大丈夫。体重管理法や役立つエクササイズやレシピの情報を送るから」など)を送った。

 禁煙予定日には、禁煙開始を告知(「さあ禁煙日だ! 持っているたばこを全部捨てよう。君ならできる」)。それ以降は励ましのメッセージ(「禁煙4日目、まだ吸いたくてたまらないかもしれないけど、明日はきっと楽になるよ。強い意志を持ち、手持ちぶさたな時間を作らないようにしよう」など)を送信した。

 患者は、吸いたい気持ちに負けそうなときにはメッセージに「吸いたい」と返信する。すると、励ましのメッセージ(「喫煙に対する強い欲求は5分たたずに治まるはず。気をそらすために、飲み物をゆっくり飲んでごらん」など)が送られ、「吸っちゃった」と返信すると、再度禁煙を試みるよう告げるメッセージ(「自分を責める必要はないよ。しばらくの間、禁煙できていたのだから。禁煙までの道のりの途中で1本吸ってしまうことはよくある。前に進もう。君ならできる」など)が送信されるように設定されていた。

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