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BMJ誌から
NSAIDsは心房細動/粗動のリスクも高める
特にリスクが高いのは初回投与後、デンマークのケースコントロール研究より

 選択的COX-2阻害薬およびそれ以外の非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)の使用により、心房細動または心房粗動のリスクも有意に上昇すること、特に、初回投与後のリスクが高いことが、デンマークAarhus大学病院のMorten Schmidt氏らが行った大規模ケースコントロール研究で示唆された。論文は、BMJ誌2011年7月9日号に掲載された。

 04年に選択的COX-2阻害薬のロフェコキシブが心血管イベントリスク上昇を理由に販売中止となって以来、COX-2阻害薬のみならずNSAIDs全体に心血管リスクが懸念されるようになった。実際にリスク上昇を報告した研究もある(参考記事)。

 著者らは今回、心房細動または心房粗動とこれらの薬剤の関係を、大規模集団を対象に評価しようと考え、デンマーク国民の約3割に相当するデンマーク北部在住者(人口は170万人)の医療データを分析した。

 この医療データに含まれる人々のうち、1999年から08年までに初回心房細動または心房粗動で入院または外来を受診していたのは、3万2602人(年齢の中央値は75歳、54%が男性)。うち90%超が心房細動だった。コントロールには、同じ地域の住民の中から年齢と性別がマッチする32万5918人を選んだ。

 初回の心房細動または心房粗動による受診と、アスピリン以外のNSAIDs使用との関係を調べるため、患者を、これらの薬剤を使用中(発症前60日以内に処方があった;現在使用者)、または発症以前に使用(直近の処方が発症前61日から365日の間だった患者;過去の使用者)、もしくは365日より前にのみ処方記録あり/使用記録なし(非使用者)に分類した。現在使用者はさらに、発症前60日以内に初回処方されたグループ(新規使用者)と、初回処方が発症より61日以上前だったグループ(長期使用者)に分けた。

 条件付きロジスティック回帰モデルを用いて各患者群の罹患率比を求めた。

 ケース2925人(9%)、コントロール2万1871人(7%)が選択的COX-2阻害薬またはそれ以外のNSAIDsの現在使用者だった。非使用者と比較した現在使用者全体の心房細動または心房粗動の罹患率比は、選択的COX-2阻害薬以外のNSAIDs群が1.33(95%信頼区間1.26-1.41)、COX-2阻害薬群は1.50(1.42-1.59)になった。現在の使用者のうち新規使用者の罹患率比は、NSAIDsが1.59(1.44-1.75)、COX-2阻害薬が1.93(1.76-2.11)、長期使用者ではそれぞれ1.23(1.14-1.32)と1.33(1.24-1.43)だった。過去の使用者では、1.20(1.14-1.25)と1.18(1.13-1.24)だった。

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