ソーシャルメディアとスマートデバイスの普及によって、個人のプライバシーにかかわる情報が盗まれ、悪用される危険が膨らんでいる。今回は、そんな観点から、関連するセキュリティブログの記事を紹介する。

 米国の人気女優スカーレット・ヨハンソンや人気歌手クリスティーナ・アギレラの携帯電話をハッキングした容疑でフロリダ州の男が逮捕された。容疑者はソーシャルメディアの情報を丹念に調べ、著名人のパスワードを探り当てていた。スロバキアのイーセットはブログで、このニュースから得られる教訓について触れた。

 容疑者は難解な技術を使ったわけではない。多くの人々はパスワードを覚えるために、最初に飼った犬とか、生まれ育った場所など、自分に関係のあることに結びついた文字列を使用する。依然として大勢がこうした情報を「個人的な」ことだと考えているが、自分自身についてより多くの情報をオンラインで共有するにつれ、見ず知らずの人間が個人的な情報を見つけることはますます簡単になっている。

 こうした個人的な情報からパスワードを作っている人は今すぐやめるべきだとイーセットは忠告する。大手SNSサイト「Facebook」が大幅な機能変更を行っているが、米紙「San Franciso Chronicle」によれば、人によっては素晴らしいと言い、人によってはストーカーのパラダイスだと言うかもしれない。より多くのデータ共有を目的にしたもので、パスワードを探り当てるヒントになる情報がますます公開される可能性がある。

 刷新の目玉となる「Timeline」と呼ぶ機能は、Facebookが「常に情報更新される魅力的で美しいデジタルスクラップブック」と説明している。Facebookはオンライン活動、オンライン文化、オンラインコマースの中心としての立場を強化したいと考えているが、残念ながら、一部の人間は不正なオンライン活動の重要手段としてFacebookを使おうとしている。

 フロリダ州の男性が逮捕されたニュースが報じられたときでも、SEOポイズニングと呼ばれる手口を使ったデジタル詐欺を開始している人がいた。もしスカーレット・ヨハンソンやクリスティーナ・アギレラの画像を検索する場合は、検索結果の画像に、不正なコードをホスティングしたサイトなどに誘導するよう細工が施されている危険性を心に留めておくべきだと、イーセットは注意を促している。

脅威にさらされるロケーションプライバシー

 技術の発展によって、自分がいまどこにいるか友達に知らせることができるようになったが、時には、本人が気づかないまま正確な位置が記録されていることがある。米マカフィーは、ロケーションプライバシーが脅威にさらされているとして、ブログで注意を呼びかけた。

 ロケーションプライバシーとは何か。電子フロンティア財団(EFF)は、「個人が通常の状況下で、自身の位置がシステマティックにひそかに記録されることなく、公共の空間を移動できること」と定義している。

 我々のほとんどは、プライバシー保護を必要とし、他人に行動を知られたくないと考えている。しかし最近では、われわれ自身およびわれわれの行動を追跡するデバイスやサービスから逃れることは難しい。クレジットカードやデビットカード、入室用の認証カードの使用に始まり、ホテルや銀行の監視モニター、携帯電話、無料のWi-Fi接続サービス、カードでの改札通過など、日常の至る所で行動が追跡される。これらの情報を使って、誰でもあなたの日常行動を図式化することができる。

 また、SNSサイト「Facebook」の位置情報共有機能や位置情報ベースのモバイルSNS「Foursquare」などに参加することでも、行動を多くの人に伝えることになる。例えば、ミニブログサービス「Twitter」に「シンガポールで休暇中」などとコメントして位置情報を付け加えれば、フォロワー全員がすぐに、そのユーザーが家を留守にしていることを知る。こうした情報は空き巣や強盗の被害につながる恐れがある。

 マカフィーは、TwitterやFacebookで位置情報追加機能を無効にして、現在地が公開されないようスマートフォンの位置機能をオフにすることを勧めている。位置ベースのサービスは、海上にいる漁師との通信、車両や船舶管理、子供の安全確保などに有効活用されているが、ユーザーが気軽に広範囲で使うべきものではない。オンラインでやりとりしているすべての人を実際に知っているわけではないことを、念頭に置く必要がある。