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 東京大学 先端科学技術研究センター 教授の岡田至崇氏は、中間バンド方式の量子ドット型太陽電池セルに72倍集光した際のセル変換効率で26.8%を達成した。これまで同方式の最高値は、1000倍集光時に21.2%だった。

 開放電圧は2.05V、短絡電流密度は1193.3mA/cm2、曲線因子は78.8%である。5mm角のセルを使ってUL台湾で測定した。

 今回、岡田氏は変換効率の向上とともに、集光時の発熱を抑えるための構造を新たに適用した。中間バンド方式の量子ドット型太陽電池は、化合物多接合太陽電池などに比べて、電流量が多いという利点がある。しかしその影響で発熱量が増え、集光倍率を高めると出力が低下するという課題があった。

 そこで今回、量子ドット層の上にInGaP層を形成することで、これまで量子ドットの周囲のGaAsに入射していた光の一部をInGaP層で吸収するようにした。量子ドット層とInGaP層を直列に接続しているため、電流量を減らして電圧を高めることができた。

 今後は、集光倍率をさらに高めて、発熱の影響が低減していることを確かめる。今回の成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の「革新的太陽光発電技術研究開発」の成果である。