2019年4月1日に世界最大級の産業技術の展示会「Hannover Messe 2019」がドイツ・ハノーバーで開幕する。ここ数年は同国の産業政策「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」が目立っていたが、今回は5G(第5世代移動通信システム)が主役の一角に踊り出そうだ。

 今回のHannover Messeでは、5Gの産業活用に関する展示スペース「5G Arena」が新設された。通信技術を手掛ける米Qualcomm(クアルコム)やフィンランドNokia(ノキア)、活用側のドイツBosch(ボッシュ)やドイツFesto(フェスト)など多様な企業が出展する。従来は各社が個別に5Gに関するデモンストレーションなどを実施していたが、今回は来場者が各社の展示をまとめて見られる場を主催者が用意した形である。

 5G Arenaには、ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)が設立した、製造業での5G活用に関する業界団体「5G-ACIA(5G Alliance for Connected Industries and Automation)」も出展する。そのメンバーには、前出のQualcommなど4社の他に、米Intel(インテル)、スウェーデンEricsson(エリクソン)、中国の華為技術(Huawei Technologies、ファーウェイ)、ドイツDeutsche Telekom(ドイツテレコム)、英Vodafone(ボーダフォン)、ドイツSiemens(シーメンス)など、5Gの技術開発や活用を先導する企業の名前が並ぶ。5G-ACIAは、前回のHannover Messeに合わせて本格的に活動を開始しており、今回はこの1年の成果を披露するとみられる。

5G-ACIAの展示ブースのイメージ(出所:Deutsche Messe)
5G-ACIAの展示ブースのイメージ(出所:Deutsche Messe)
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 5Gの産業活用についてはさまざまな用途が提案されているものの、現状で確実な事業化や収益化が見込める“キラーアプリケーション”はまだ見つかっていない。多様な産業技術が集積するHannover Messeは、5Gを手掛ける企業にとっても絶好のアピールの場といえる。