トヨタ自動車が、2019年の量産車から採用する次世代電子プラットフォーム(基盤)(関連記事)。暗号技術の採用と併せて、取引先工場にも同技術を安全に導入する仕組みを求めたことが日経 xTECH/日経Automotiveの取材で分かった。

 ハッカーによる車の乗っ取りを防ぐには、部品レベルの対策が欠かせない。部品の供給網全体を巻き込む総力戦で、安全なクルマを実現する。

トヨタの愛知県・広瀬工場。電子制御装置やICなどを生産する(出所:トヨタ)
トヨタの愛知県・広瀬工場。電子制御装置やICなどを生産する(出所:トヨタ)

 トヨタはこのほど、自動車部品の電子制御ユニット(ECU)に搭載する暗号鍵を安全に生成し、取引先に送信する「鍵管理センター」と呼べるものを構築。併せて部品メーカーの工場に、トヨタの暗号鍵を安全にECUに組み込む設備と管理体制の導入を求めた。

 鍵管理センターの開発は、トヨタの仕様に基づき、系列の豊田通商がとりまとめる。富士通が暗号鍵の生成・送信基盤を手掛けた(関連記事)。

 当初は自社の愛知県・広瀬工場などに加えて、系列を含む大手部品メーカーに限る。順次、対象となる部品メーカーを増やしていく。

 暗号鍵が第三者に漏れると、車を簡単に乗っ取られる恐れがある。暗号鍵を秘匿しつつ車両を大量生産するには、部品のECUの生産工場で大量の暗号鍵を安全に取り扱う仕組みがいる。

 トヨタは、2017年初頭に鍵管理センターの開発に着手。このほど、ほぼ完成した。2018年夏頃に、主な部品メーカーの工場と暗号鍵をやり取りする検証を始める計画だ。