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 米アップル(Apple)は2019年3月18日から20日にかけて3日連続で新製品を発表した。まず「iPad Air」と「iPad mini」、続いて「iMac」、そして最後がワイヤレスイヤホンの「AirPods」だ。AirPodsの注目ポイントを見ていこう。

 AirPodsが初めて登場したのは2016年9月。イヤホン端子を無くした「iPhone 7」と同時に発表された。iPhoneに標準で付属する「EarPods」からケーブルを除いたイヤーピース部分のみの小さな製品で、左右が独立して動作する。

 AirPodsはマイクをはじめ、アンテナ、バッテリー、モーションセンサー、耳への装着を検出する近接センサーなどを内蔵。左右それぞれのイヤーピースがiPhoneと直接、通信して音楽を再生する仕組みを他社より2年早く実現した。

米アップルが2016年9月のイベントで紹介したAirPods(初代)の内部構造
米アップルが2016年9月のイベントで紹介したAirPods(初代)の内部構造
(撮影:松村 太郎)
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 アップルが今回発表した新しいAirPodsは、サイズやデザインこそ変わらないが、採用するチップが従来の「W1」から「H1」に変更された。

連続再生時間を維持しながらHey Siriに対応

 新しいAirPodsの最大の目玉は、声だけで音声アシスタントを呼び出せる「Hey Siri」機能への対応だ。これまでもイヤーピースをトントンと2回触れて指示を出すことでSiriを使えたが、声だけで命令できるようになった。完全ハンズフリーでのアシスタント活用を実現した。

 簡単に聞こえるかもしれないが、実現は大変である。ボタンやジェスチャーによる特別な操作なしでSiriに話し掛けられるようにするには、ユーザーの声を常に聞き取れる状態で待機していなければならないからだ。

 これがiPhoneやiPad、Macのように大容量バッテリーを搭載した端末であれば、さほど負担にはならないかもしれない。しかし、新しいAirPodsはこれまでと同じデザインで、小さいまま。恐らくバッテリー容量も維持しながら、マイクの常時待ち受けまでこなせるようになったのだ。音楽の連続再生時間もこれまでと同じ5時間を維持した。

 この背景には、新しいH1チップによるバッテリーの効率的な利用が挙げられる。実現したい機能とデザインに対してバッテリーの制約が立ちはだかる中、自社開発のチップとソフトで最適化を図れるようになった。