ラグビーワールドカップ2019や東京オリンピック・パラリンピックの開催が近づく中、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用してスポーツの新たな観戦体験を提供する試みが活発化している。プロスポーツのリーグやチームも、新たなビジネスチャンスとして期待をかけている。
ソフトバンクのロボット「Pepper」の会話エンジン開発などを手掛けたことで知られるクリエーティブスタジオのワントゥーテン(1→10)は、スタジアムやアリーナの観客が、スマートフォン(スマホ)などを使わずに簡単な操作で試合に関する情報を取得できるARヘッドセットを開発した。試合から目を離さずに、片手の簡単なジェスチャーで情報を操作・表示できる。
昨今、スポーツ観戦では試合や選手の情報、リプレー映像などをスマホでチェックしながら見るスタイルが一般的になっている。しかし、スマホを操作していると試合に集中できなくなってしまう欠点がある。一方、目の前の風景にクラウド上の情報などを重ねて表示するARを使えば、その欠点を克服できる。
その際ポイントになるのが、どのように情報を操作・表示するかだ。今回、ワントゥーテンがこだわったのが、片手で簡単に操作できることと、多くの観戦者が必要な情報に絞ることだ。「スポーツ観戦ではビールを持っていたり、メガホンなどを持っていたりして応援することも多い」(コミュニケーションデザイン本部/プロデュース部/Unit.4プロデューサー/ディレクターの齋藤孝氏)。
そうした実情を考慮した結果、片手のジェスチャーで試合や選手に関する情報やリプレー映像などを表示できるユーザーインターフェース(UI)とコンテンツの開発に至った。なお、試合や選手などに関するデータは、テレビ放送向けに年間1300番組のスポーツ中継に対してリアルタイムのCGを開発・運用するテクノネットが提供した。