クラボウは、フラットケーブルの挿入作業を自動化するシステム「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」の受注を開始した(図1)。同社のケーブル認識用3Dビジョンセンサー「Kurasense-C100」にセイコーエプソンの6軸ロボット「C4-A601S」と力覚センサー「S250N」を組み合わせることで、高速かつ正確な挿入を実現した。家電やゲーム機、タブレット、パソコンなどの組み立てに向く。

図1:「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」の構成例(出所:クラボウ)
図1:「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」の構成例(出所:クラボウ)
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 新システムの動作は「見る」「つかむ」「挿し込む」の3つから成る(図2)。具体的には、Kurasense-C100がフラットケーブルの3D形状を高速に測り、C4-A601Sに把持(はじ)位置と挿入ポジションを指示。ロボットハンドでケーブルを把持した後、S250Nによってμm単位で位置の誤差を微調整し、フラットケーブルをコネクターへ挿入する(図3)。S250Nが挿入後の半嵌合(かんごう)を検出するため、導電不良を防げるという。

図2:「Kurasense-C100」「C4-A601S」「S250N」の役割分担(出所:クラボウ)
図2:「Kurasense-C100」「C4-A601S」「S250N」の役割分担(出所:クラボウ)
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図3:フラットケーブルの把持(上)とコネクターへの挿入(下)(出所:クラボウ)
図3:フラットケーブルの把持(上)とコネクターへの挿入(下)(出所:クラボウ)
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 ビジョンセンサーとして用いる「KURASENSE(クラセンス)」シリーズは、高速な3Dスキャンと認識技術が人間の目と脳の役割を果たし、不定形物を見たままに認識できるのが特徴だ。新開発のKurasense-C100では、外観検査装置などの開発で培った高速画像処理技術と3D計測技術を生かして、形の定まらないフラットケーブルの認識を可能にした。

 既存の多くの3Dビジョンセンサーは、ケーブルのような柔軟物や不定形物を認識するのが難しく、事前の形状登録が必要だったが、Kurasense-C100では不要だ。カラーセンサーを使用しているので、対象物の色を識別できる。ケーブルの色ごとに異なるハンドリングを実施するといった制御にも対応する。

 Kurasense-C100の指示を受けたハンドは、向きや形状の異なるフラットケーブルを約2.2秒でつかむ。水晶圧電方式を採用したS250Nの測定分解能は±0.003N・mで、測定精度は±5%R.O.以下。微小な力を検知しながらコネクターを挿入できるという。

 価格は2000万円(税別)から。フラットケーブルの他にも、電線やハーネス、コネクター付きケーブル、光ファイバーといった線状物のハンドリングのニーズが高まっているので、クラボウは今後、それらに対応するシステムの開発に取り組む。