国内企業が「女性活躍」推進に取り組む中で、IT現場にも増えている女性リーダー。男性が多い環境の中で、リーダーとして働く自信が持てない。ロールモデル(人材像)が少なく、キャリアアップのイメージが描けない。出産・育児をはじめとしたライフイベントと仕事をどう両立してよいか分からない――。こんな悩みや課題に直面している。
 この特集では、3人の女性ITリーダーが、日々の奮闘ぶりをつづる。第1回は、キヤノンITソリューションズでプロジェクトマネージャー(プロマネ)を務める三上裕子氏。大学時代のチアリーダー部で部長を務めた経験が原点となり、プロマネの道を選んだ。100人規模のプロジェクトを率いるようになるまでには、年上男性との衝突など様々な苦労があった。

 私はキヤノンITソリューションズで、システム開発のプロジェクトマネージャー(プロマネ)として働いています。入社時から将来的にはプロマネになることを希望しており、入社後5年目ごろから小規模なチームのリーダーを務めるようになりました。規模は徐々に大きくなり、数年前には100人規模のプロジェクトのプロマネも務めました。

大規模プロジェクトを率いて成果を上げ、2015年に「キヤノンMJグループ Excellent Award『No.1プロフェッショナル賞』」を受賞した
大規模プロジェクトを率いて成果を上げ、2015年に「キヤノンMJグループ Excellent Award『No.1プロフェッショナル賞』」を受賞した
(写真:三上 裕子氏、以下同じ)
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 入社時からプロマネを目指したかったのには理由があります。私は大学時代、応援部チアリーダー部に所属していました。30人ほどのメンバーが「チアリーディングの演技で魅せる」という1つの目標に向かって努力しており、私はその部長を務めていたのです。

 最初は「部長の自分が頑張らなくては」と思っていたのですが、徐々に考えが変わっていきました。リーダーだけが頑張るのではない。メンバーそれぞれが役割を担い、リーダーはそれを見守り包み込めば、チームは成り立つ。活動を通じて、そのことに気づいたのです。

 これは、私にとって大きな発見でした。でも当時はまだ学生でしたし、部活という限られた組織での気づきにすぎません。これが社会でどこまで通用する考え方なのか試したくて、入社時からプロマネやリーダーを目指していました。

大学時代、チアリーダー部の部長を務めていた
大学時代、チアリーダー部の部長を務めていた
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