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米国でPrimeの「翌日配達」を本格化

 米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は先ごろ、米国のPrime会員に提供している配達サービスを迅速化すると発表した。

 同社は日本で当日配達や翌日配達といった急ぎ便サービスを提供している。米国でも翌日配達を実施してはいるが、国土の広い同国では「翌々日配達」が標準的な急ぎ便サービスとなっている。

 だがAmazonは今後、米国でも翌日便をPrime配送特典の標準にする。Amazonのブライアン・オルサブスキーCFO(最高財務責任者)によると、現在翌々日便の対象となっている商品は1億点以上。今後は、翌日便の対象商品も同規模に増やしていくという。

図1 米国のPrime会員が重視する特典。1位は「配達特典」
図1 米国のPrime会員が重視する特典。1位は「配達特典」
(インフォグラフィックス出典:ドイツStatista https://www.statista.com/chart/15800/reasons-to-subscribe-to-amazon-prime/ )
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物流インフラを過去4年間で3倍に拡大

 米CNBCによると、同社はここ数年間で自前物流ネットワークを拡大しており、既に多くの地域で当日配達や翌日配達を可能にしている。カナダの投資銀行RBCキャピタルマーケッツによると、Amazonの当日・翌日配達は既に米国人口の72%をカバーしている。所得水準が高く、人口の多い16州とワシントンD.C.では既に95%の世帯がこれらの急ぎ便を利用できるようになっている。

 Amazonは過去4年、物流ネットワークに巨額を投じてきたとRBCキャピタルマーケッツは指摘している。フルフィルメントセンターは米国全域に広がり、そのインフラは4年間で3倍に拡大した。Amazonがこの期間に増やしたインフラの規模は、米ホームセンター大手Home Depot(ホーム・デポ)が現在持つ物流施設の2倍に相当するという。

 同社がここに来て、米国のPrime向け配達を翌々日から翌日に短縮すると大々的に発表したのは、それを実現できる規模にまでインフラが整ったからだとCNBCは指摘している。

関連リンク:CNBC