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 プラスチック・ゴムに関する国際展示会「K2019」(2019年10月16~23日、ドイツ・メッセデュッセルドルフ)の主テーマの1つが「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」だった。主催者メッセデュッセルドルフや関連分野の工業団体が展示やセミナー、イベントで積極的に取り上げ、材料メーカーが生物由来の材料や生分解性材料、再生材料を前面に押し出した。半面、射出成形機の機械メーカーなどは、企業によって取り組みの強弱と具体的内容が分かれた。

 日本メーカーは海洋マイクロプラスチック問題を念頭に、日精樹脂工業が生分解性プラスチックのポリ乳酸(PLA)により使い捨て用途の製品を射出成形する技術を実演した(関連記事)他、日本製鋼所もPLAによる成形品を展示。東芝機械はメタリック調プラスチックの射出成形技術を改良して塗装の必要をなくし、再利用しやすくする技術を実演した。

 対照的に欧州メーカーはリサイクルに重点を置く。ドイツ・アーブルグ(Arburg)社は再生プラスチックを利用した食品用カップの射出成形を実演。ドイツ・クラウス-マッファイ(Krauss Maffei)はプラスチックを再生、再利用するプラントを展示した。

K2019のスペシャル・ショー「プラスチックが未来を形づくる」のブース      写真:Mari Kusakari(草刈麻里)
K2019のスペシャル・ショー「プラスチックが未来を形づくる」のブース      写真:Mari Kusakari(草刈麻里)
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 K2019の主催者メッセデュッセルドルフは、欧州のプラスチックス産業団体プラスチックス・ヨーロッパ(Plastics Europe)と共同で大型の展示ブース「プラスチックが未来を形づくる(Plastics Shape the Future)」を設け、持続的開発や海洋マイクロプラスチックなどのテーマで連日催しを開いた。ホール外の特設棟ではドイツ機械工業連盟(VDMA)が、同じく連日でプラスチックごみや再利用のテーマでフォーラムを開催した。