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JAMA Network Open誌から
医師の睡眠関連障害を減らす介入が必要
睡眠関連障害の悪化は燃え尽きとエラーを増やし充実感が低下する

 米国Stanford大学のMickey T. Trockel氏らは、米国の大学病院に勤務する医師たちを対象に調査を行い、睡眠関連障害がひどくなるほど、バーンアウトする医師の割合が増加し、職業的充実感が低下して、診療でのエラーが多くなると報告した。結果は2020年12月7日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 医師は夜勤を担当する機会があり、勤務時間が予定以上に長くなる機会も多く、睡眠関連障害が生じやすい職業の1つだ。睡眠障害とバーンアウトなどの関係を検討した小規模な研究はこれまでにもあったが、大規模な医師集団を対象として、睡眠関連障害と様々な影響の関係を調べる研究は行われていなかった。そこで著者らは、米国の大学病院に勤務する医師を対象に、睡眠関連障害と職業的ウェルネスの関係、および自己申告による臨床的なエラーとの関係を検討する横断研究を実施することにした。

 2016年11月から2018年10月までの期間に、Physician Wellness Academic Consortiumによって、米国内の大学病院11施設で行われた、医師を対象とする健康調査のデータを利用した。この調査は、1万9384人の主治医レベルの医師と、それらの医師の指示の下に働く研修医レベルの7257人に、調査への参加を呼びかけていた。

 睡眠関連障害の評価には、Patient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)を用いた。PROMISは、不適切な睡眠に関係した、疲労感、覚醒障害、眠気、機能障害について調べるための8項目の質問からなり、いずれにも5段階のリッカート尺度を用いて回答するため、スコアの合計は8ポイントから40ポイントの範囲になる。PROMIS Sleep-Related Impairmentを用いてスコアを標準化し、四分位群のカットポイントを設定した上で、スコアが8~11は、睡眠関連障害を無視できるレベル、12~15は中等度の障害、16~21は高度の障害、22~40は非常に高度な障害レベルとした。

 バーンアウトと職業的充実感の評価には、Professional Fulfillment Indexを用いた。バーンアウト評価のサブスケールは、対人関係からの離脱6項目と仕事上の消耗感4項目からなっている。職業的充実感は6項目からなる。いずれも5段階のリッカート尺度で評価する。Consortiumはこれらのスコアをベンチマーク用に標準化して、0~10までの幅とした。

 自己申告によるエラーは、「一度もない」から「先週あった」までの6ポイントスケールにより評価した。臨床的に意義のあるエラーは、今年または前年に発生した、患者に害を及ぼしたエラーと定義した。

 主要評価項目は、睡眠関連障害と職業的ウェルネスに設定し、職業的ウェルネスの評価には、 仕事上の消耗感、対人関係からの離脱、バーンアウト、職業的充実感といった指標を用いた。加えて、睡眠関連障害と、自己申告された臨床的に意義のあるエラーの関係も検討した。

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