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JAMA Network Open誌から
米国のCOVID-19患者6万5000人の特徴を分析
感染前からスタチンやACE阻害薬を使っていた患者は院内死亡率が低い可能性

 米国Premier Applied Sciences社のNing Rosenthal氏らは、米国の病院診療データベースであるPremier Healthcare Database(PHD)を利用して、約6万5000人のCOVID-19入院患者と外来受診患者の特徴を分析し、院内死亡の危険因子として最も強力なのは高齢であり、敗血症や急性腎不全を起こした患者は死亡リスクが高く、スタチンやACE阻害薬を使用していた患者の死亡リスクは低かったと報告した。結果は2020年12月10日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 COVID-19は米国でも猛威を振るい、25万人を超える患者が亡くなっている。COVID-19の疫学データや臨床アウトカムの研究では、中国やEU諸国からの報告が多く、米国の患者データを総括した研究は少ない。そこで著者らは、米国各地の病院で治療を受けたCOVID-19患者の特徴を明らかにし、院内死亡の危険因子を同定するために、後ろ向きコホート研究を計画した。

 PHDは医療の質の向上を目指して、全米各地の病院から入院患者の退院時情報と外来診療データを集めているデータベースだ。2000年以降に米国で入院した全患者の約20%に相当するデータを収集している。この研究ではPHDを利用して、全米の急性期病院592施設で、2020年4月1日から5月31日までにCOVID-19と診断された診療記録がある患者全員を対象にデータを抽出した。外来での治療と入院治療の両方が記録されていた患者については、入院治療時の記録を分析の対象とした。同一人物が複数回入院していた場合は、初回の入院データを対象にした。

 患者の人口統計学的特性(性別、年齢、人種、加入している医療保険など)、病院の特性(米国内のどの地方か、教育病院かどうか、病床数など)、入退院の状況(どこから入院してきたか、入院の種類、退院後どこに行ったかなど)、臨床特性(高血圧、脂質異常症も含む併存疾患、COVID-19関連合併症など)、適用された治療、臨床転帰(院内死亡、ICU入院、侵襲的換気の適用、総入院期間、ICU入院期間など)に関する情報を収集した。

 主要評価項目は、院内死亡、ICU入院、侵襲的換気の適用、総入院期間、ICU入院期間、急性合併症、適用された治療に設定した。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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