あけましておめでとうございます。日経エネルギーNext編集長の山根です。2019年もどうぞよろしくお願いします。

 ついに平成の時代も残すところわずかとなりました。エネルギー業界は、大きな節目となった「3.11」から今年で9年目、そして電力全面自由化から4年目を迎えようとしています。

 「こんなに時間が経ったのに、どうして日本のエネルギー市場は何も変わらないのだろうか」。こうした言葉を投げかけられることは少なくありません。

 その言葉の裏側には、「多くの人々の生活を一変させた原子力発電所事故から7年以上経つのに、原子力政策の方向性が一向に見えてこないのはなぜなのか」「自由化したのに、大手電力会社が依然として独占状態を維持しているのはどうしてなのか」「電力市場の整備はいつになったら進むのか」「なぜ革新的なサービスが出てこないのか」。こうした思いがあるのだと思います。

 日経エネルギーNextも創刊から5年目に突入しましたが、創刊時に思い描いていたほどの変化があったかと言えば、そうではありません。

 ですが、エネルギー市場は確実に変化しています。2018年はその思いを強くした1年でした。

2017年に始まった変化は2018年により強く

 ちょうど1年前の2018年のお正月。新年のご挨拶を兼ねて、この記事「ついに大手電力が「再エネは怖い」と知った」を書きました。

 太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの普及によって、電力需要のピークである夏季の昼間に火力発電所が停止。大手電力の再エネへの見方が変わったという趣旨の記事でした。

 2018年は、大手電力の意識変化に加えて、電気の利用者である需要家に大きな変化が訪れました。

 パリ協定を契機に欧州発で動き出した「持続可能な開発目標(SDGs=Sustainable Development Goals)」、そして環境(Environment)や社会(Social)、企業統治(Governance)への取り組みを評価する「ESG投資」のビッグウェーブが、ようやく日本企業を動かし始めました。

 三井住友銀行やみずほフィナンシャルグループ、日本生命保険や第一生命保険、明治安田生命保険といった金融機関が、ESG投資の観点から新規の石炭火力発電所には投資しないという方針を表明したのも2018年のことです。

 事業に使う電気を再エネ由来の電気に切り替える「RE100」への参画を表明する企業は続々と増えています。また、花王やSUBARU(スバル)など、工場に太陽光発電を設置し、その電力を自家消費すると表明する企業も登場しました。

 他方、電力を販売する新電力からは、「法人顧客の再エネ電気へのニーズは急速に高まってきている。安売り競争は厳しさを増しているが、再エネによる付加価値がビジネスになり始めている」という声が聞こえてきます。