コロナ禍が顕在化させた「タテ」と「ヨコ」のコミュニケーションの問題

 新型コロナウイルスのショックは、企業の営業活動の在り方を大きく変えた。最も大きな変化は「人と会わない営業」という新しいスタイルが生まれたことだろう。以前は当たり前だった対面営業の機会が制限され、オンラインでの打ち合わせや商談が日常的に行われるようになっている。

 一方、社内のコミュニケーションも変化した。日常的な業務の多くがリモートで行われるようになった結果、部署内での情報共有や連携が以前よりも難しくなっているという声をよく聞く。オフィスでのちょっとした会話の中からくみ取ることができた「ニュアンス」や「行間の意味合い」などをメールやオンラインの対話で把握することはなかなかできないからだ。

 営業活動におけるコミュニケーションの課題は、大きく2種類に分けることができる。すなわち、「タテのコミュニケーション」と「ヨコのコミュニケーション」である。

 「タテのコミュニケーション」は、管理職と部下とのコミュニケーションのことだ。以前は把握できていた部下の営業活動の実態が、コロナショック以降見えにくくなっているという悩みを抱えている管理職は多い。メールやExcelのみで日報・週報を行うことによって、むしろ仕事が効率化されたという意見もあるが、例えば、「顧客企業とのやり取りをどのように行っているのか」「顧客からの手応えはどうか」「今後の見通しはどうか」といった微細な情報が一般にメールやExcelの日報・週報に書き込まれることはほとんどない。「自分の部下がどんな営業活動をしているのかよく分からない」と感じているケースも多いだろう。

 一方の「ヨコのコミュニケーション」は、異なる部署間のコミュニケーションである。コロナショック以前は、顧客との打ち合わせや商談の場に技術職などの専門家が同席するのは普通のことだった。それによって、製品やサービスの技術面やサポート体制などの質問にその場で即座にかつ正確に答えられるからだ。しかし対面営業の機会が減っている現在は、営業担当が専門的な内容を1人で把握しなければならず、迅速な顧客対応が難しくなっているという話もよく耳にする。

 つまり、これまで、リアルな場があったからこそ成立していたタテとヨコの連携が分断されてしまっているわけだ。タテとヨコ、それぞれのコミュニケーションギャップを埋めるにはどうすればいいのだろうか。

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