連載コラムの第2回では、業界別に技術者力の過去データを分析し、各業界における技術者力の傾向を紹介しました。第3回の今回は、2016~18年(対象者:7000人)のデータを社会人経験年数の観点で分析して、技術者力の傾向を考察していきます。

技術者力は入社6年~20年の間で大きく伸びる

 まず、社会人経験年数と技術者力の関係を見てみましょう(図1)。

図1 社会人経験年数と技術者力の関係
図1 社会人経験年数と技術者力の関係
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 社会人経験年数が6年目から20年目までの15年間で大きく伸び、21年目以降は横ばいとなっています。この傾向は、技術者力を構成する5カテゴリーで見ても同様です(図2)。

図2 社会人経験年数と技術者力(カテゴリー別)の関係
図2 社会人経験年数と技術者力(カテゴリー別)の関係
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 本格的に業務を担当し始める6年目からの15年で大きく伸びているのは、読者の方も納得できるのではないでしょうか。多くの企業では、技術部門に配属される新人に対して新人教育や3年目教育などを施しながら、先輩からの丁寧な指導の下で開発プロジェクトをひととおり経験させたり、修行派遣と称して製造や営業などの関係部署を経験させたりしています。その後、役割と責任を持った技術者として業務経験を積みながら成長していくことになります。

 一方で、社会人経験が20年以上の人材に見られる成長鈍化の背景には何があるのでしょうか。ここからは、役職の視点を加味してさらに深く考察していきます。