「EV専用プラットフォーム」。最近よく耳にするようになった言葉だ。例えば、2019年2月27日、ホンダが「ジュネーブモーターショー2019」で世界初公開すると発表した小型電気自動車(EV)「e」のプロトタイプ車でも、EV専用プラットフォームを適用している(図1)。

図1 ホンダの小型EV「e」のプロトタイプ車
図1 ホンダの小型EV「e」のプロトタイプ車
新開発のEV専用プラットフォームを使い、小型なボディーながらホイールベースを長くオーバーハングを短くして、街中での取り回しの良さと優れた走行性能を両立させたとしている。写真:ホンダ
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 EV専用プラットフォームとは、エンジン車で使っている既存のプラットフォームを使い回さずに、EV用に新しく専用開発したプラットフォームのことをいう。米テスラ(Tesla)や米リヴィアン・オートモーティブ(Rivian Automotive)などのEV専業メーカーはもちろん、ドイツのフォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)グループや日産自動車、フランス・ルノー(Renault)、三菱自動車の3社連合、英ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover、JLR)グループなど既存の自動車メーカーもその開発に力を入れる。

 中でも非常に積極的なのが、VWグループである。VWが開発する大衆EV向けの「MEB(Modular Electric Platformのドイツ語Modularer Elektrobaukasten)」に加え、同じVWグループのドイツ・アウディ(Audi)と同ポルシェ(Porsche)が共同で開発する高級EV向けの「PPE(Premium Platform Electric)」、Porscheが開発を担当するスポーツEV向けの「SPE(Sports Platform Electric)」を使い分けていく計画だ(図2)。また、19年にPorscheが発売する計画のスポーツEV「Taycan」と、20年後半にAudiが量産開始を計画する4ドアクーペタイプのEV「e-tron GT concept」では、これらとは別のEV専用プラットフォームを共同で開発して使用する(図3)。

図2 VWのEV専用プラットフォーム「MEB」
図2 VWのEV専用プラットフォーム「MEB」
ホンダのeと同様、ホイールベースを長くオーバーハングを短くしていることが1つの特徴。それにより、クラスの枠を超えた車室や荷室の広さを実現可能とする。写真:VW
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PorscheのスポーツEV「Taycan」
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Audiの4ドアクーペタイプのEV「e-tron GT concept」
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図3 PorscheのスポーツEV「Taycan」(左)とAudiの4ドアクーペタイプのEV「e-tron GT concept」(右) 両車でEV専用プラ
両車でEV専用プラットフォームを共用する。Taycanは19年の発売を、e-tron GT conceptは20年後半の量産開始を計画する。写真:Porsche(左)、編集部(右)