トレックス・セミコンダクターは、理想ダイオード機能を備えた負荷スイッチICを発売した ニュースリリース 。特徴は、ショットキー・バリアー・ダイオードを使用する場合に比べて、消費電力を低減できることにある。「新製品に内蔵した理想ダイオードの順方向電圧降下(VF)に相当する電圧は、ショットキー・バリアー・ダイオードの約1/20と小さい20mVである。従って、消費電力を1/20に低減できる」(同社)。外部電源(ACアダプター)と内部電源(バッテリー)を切り替える出力オアリング(ORing)回路に使える。具体的な応用先は、ウエアラブル機器やカード型電子機器、IoT機器、バックアップ電源装置などである。

理想ダイオード機能を備えた負荷スイッチIC
理想ダイオード機能を備えた負荷スイッチIC
(出所:トレックス・セミコンダクター)
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 理想ダイオード機能は、MOSFETと制御回路を組み合わせてショットキー・バリアー・ダイオードの逆流防止機能を実現したもの。ショットキー・バリアー・ダイオードの電力損失の原因となる順方向電圧降下(VF)を、MOSFETのオン抵抗で置き換えられるため消費電力を低減できる。新製品に搭載したMOSFETのオン抵抗は、パッケージによって異なるが0.15~0.20Ω(入力電圧が+3.6V時の標準値)と低い。これをダイオードの順方向電圧降下(VF)に換算すると、前述のように20mVになる。このほか、MOSFETをオフすることで出力から入力への逆流電流を遮断できるという特徴もある。

 新製品の型番は、「XC8110/XC8111シリーズ」。入力電圧範囲は+1.5~6.0V。最大出力電流は、XC8110シリーズが500mAで、XC8111シリーズは1000mAである。逆流電流防止機能や突入電流制限機能、フォールドバック方式の過電流制限機能、自動復帰型のサーマルシャットダウン機能などを備える。

 パッケージは3種類を用意した。外形寸法が0.82mm×0.82mm×0.5mmのWLP-4-02と、2.8mm×2.9mm×1.3mmのSOT-25、1.5mm×1.8mm×0.33mmのUSP-6B06である。動作温度範囲は−40~+105℃。動作時の消費電流は3.6μA、スタンバイ時は0.65μAである。2製品どちらも、すでに量産出荷を始めている。参考単価はどちらも300円(税込み)である。