(写真/Shutterstock)
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 シェアリングエコノミーが勃興し、消費者の嗜好が「所有」から「使用」へと変わっています。それに合わせて台頭しているのが、サブスクリプション型のサービスです。しかし、単に製品を売り切りから月額課金型での提供に切り替えるだけで消費者の心をつかめるわけではありません。ヒットさせる最大のキーワードが「LTV(Life Time Value)」です。「顧客生涯価値」と和訳されるこのキーワードを踏まえて綿密にサービスをデザインしなければ、ヒットは期待できないでしょう。

 では、一体どうすれば継続的な収益を上げられるのでしょうか。そこで、消費マーケティングの専門ネットメディア「日経クロストレンド」ならではの視点で、マーケターとして知っておかなければならない「LTV」の基本的な考え方と、実際に成功の果実を味わっている企業の取り組みが分かる至極の記事7本を紹介します。

先駆者が明かす「目の付け所」

キリンが“1万5000人待ち”の月額制ビールを始めたワケ

 自宅用のビールサーバーを月額6900円で借りられるサービス「キリンホームタップ」の人気が続いています。ウェブサイトで申し込む人々が引きをも切らず、常に待ち行列ができている状態です。この人気をひもとくと、「LTV」に着目した綿密なマーケティング戦略に秘密があることが分かります。サブスクリプション型サービスを成功させるためのアイデアが満載です。


キリン月額制ビールに見つかった欠陥 改善に費やした1年の苦闘

 「キリンホームタップ」の成功は、何も“計算”だけでなし得たものではないことに注意が必要です。その裏には、契約者の元に足を運び、使われ方を学び、改善すべき点を継続的に見いだす努力がありました。そこから得た気付きをヒントに1年がかりで部品を改良。結果、多くの契約者が使い続けたいと考えるサービスに磨き上げた点は見逃せません。一体どんな工夫をしたのでしょうか。


マスは狙わない サブスク先駆者オイシックスのサービス開発戦略

 サブスクリプション事業の先駆けといえるサービスの1つが、野菜を自宅に定期宅配する「Oisix」です。運営元のオイシックス・ラ・大地 執行役員CMTは、LTVを重要指標として捉え、「熱狂度」をヒントにしてサービス開発を続けていると明かします。サブスクリプション事業を成功に導いた同社の経営哲学からは、多くのことを学ぶことができます。


既存ビジネスをアクセラレートした好例

LTV最大化狙いデジタル投資 豪ラグビーチームの決断

 LTVに着目し、意外な成果を上げているのが、オーストラリアのプロラグビーチーム「クロヌラ・シャークス」です。公式アプリでは試合映像をリアルタイムで楽しめるとあって、合計61万8000人もの会員を抱えています。アクセスが集中する試合の前後2時間の間に、一人ひとりに合わせた情報提供をすることで、ますますファンを虜(とりこ)にしています。デジタル部門ヘッドが、インタビューを通じて秘訣を語ります。


セブン流ID戦略 顧客単価を1500円引き上げた300の施策

 セブン&アイ・ホールディングスグループが運用している「7iD」は、約1400万人が保有する巨大な顧客の共通ID基盤です。これを活用したCRM(顧客関係管理)をデジタル戦略の要に据え、顧客ごとに違うクーポンを配布するなど適切なコミュニケーションに生かす取り組みを推進しています。既にセブン-イレブンでの購買回数や購買金額が増えるなど、LTVの向上に役立てています。セブン流の施策を見ていきましょう。


マーケター必見、LTV設計の極意

サブスクリプション事業でのKGI、KPIはどう立てる?

 サブスクリプション型サービスを設計するに当たっては、KPI(重要業績評価指標)である「LTV」を具体的にどう考えるべきかが重要になります。では、継続利用してくれる顧客をいかに多く獲得し、期待を上回る評価を得て継続利用してもらうためにはどうすればよいのか。多くの企業のアドバイザーやコンサルタントを務める筆者が、具体的なロジックを丁寧に解説します。


サブスク事業成功のために、マーケ予算はどれだけかけるべきか

 自社が投入を計画するサブスクリプション型サービスについてLTVの基本設計が完成したら、次はLTVを前提にマーケティング費用をどう投下すればいいかを考える必要があります。サブスクリプション事業では、従来の事業と違って長期的な視点でマーケティング投資をしなければなりません。ROI(投資利益率)を考慮してどう投資について意思決定すべきか悩んだ場合、この記事が役立ちます。

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