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JAMA Network Open誌から
SARS-CoV-2の家庭内2次感染リスクの推定
プール化した家庭内2次感染率は16.6%だが、研究間の相違は大きい

 米国Florida大学のZachary J. Madewell氏らは、SARS-CoV-2の家庭内での2次感染率を推定し、危険因子を同定しようと考えて、系統的レビューとメタアナリシスを行い、SARS-CoV-2の家庭内2次感染率は16.6%で、配偶者の2次感染リスクが家庭内で最も高かったと報告した。結果は2020年12月14日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 SARS-CoV-2感染対策でロックダウンやステイホームを採用した国では、人々の移動量が減り一定の効果を挙げたが、家庭に滞在する時間は増えたため、家庭内感染対策が重要になってきた。米国CDCは、家族の中に感染者が発生した場合は、患者と6フィートの距離を置くように推奨しているが、完全に実行することは困難だ。そこで著者らは、家庭内での2次感染率を推定し、数字に影響を与えるパラメーターを突き止めようと考え、系統的レビューとメタアナリシスを行うことにした。

 検索の対象は、2020年10月19日までにPubMedに登録されていた文献の中で、家庭内での2次感染率を報告していたオリジナルデータの研究とした。メタアナリシスの主要評価項目は、家庭内の2次感染率で、家庭内での新規感染者の数を接触者の総数で除して求めるとした。2次感染率に影響を与える共変数(感染者の症状の有無、成人と小児の違い、性別、感染者との関係、接触回数など)も調べた。また、これまでに報告された他のコロナウイルスの2次感染率との比較も行うことにした。バイアスリスクの評価は、Newcastle-Ottawa quality assessment scaleを用いた。

 検索で家庭内での2次感染率を報告していた研究は54件(参加者は合計で7万7758人)見つかった。このうち44件は、最初の感染者と同一住居内に住んでいる人の感染率について報告しており、10件は別の住所に住んでいる家族も含む家族内感染率について報告していた。54件中16件(29.6%)はバイアスリスクが高く、27件(50.0%)は中等度で、11件(20.4%)はバイアスリスクが低かった。また、多くの研究が、2次感染者と見なされた人が家庭外で感染した可能性について検討していなかった。

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シリーズ◎新興感染症
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