建設中の大崎クールジェンCO<sub>2</sub>分離・回収設備
建設中の大崎クールジェンCO2分離・回収設備
(出所:電源開発、中国電力)
[画像のクリックで拡大表示]

 電源開発(Jパワー)と中国電力は6月5日、石炭火力発電から回収したCO2を炭素化合物の資源として有効利用するカーボンリサイクルの検討に着手すると発表した。石炭火力の脱炭素化に向けて、カーボンリサイクルを含むCCUS(CO2回収・利用・貯留)につながる技術開発を促進する。

 両社が共同設立した大崎クールジェン(広島県大崎上島町)がCO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化燃料電池複合発電技術(IGFC)の開発を進めており、12月からCO2回収技術の実証実験を開始する。その成果を踏まえ、2022年度に予定するカーボンリサイクル実証実験に向けた検討を進めていく。

 回収CO2を液化・輸送することで、例えばJパワーがカゴメと共同運営するトマト菜園や微細藻類からバイオマス燃料を生産する研究では、温室内のCO2濃度を高めることで光合成を促し生産性を向上できる。また、中国電力などが開発した環境配慮型コンクリート(CO2-SUICOM)は、特殊混和剤の効果でCO2を大量に吸い込み固定できる。

 大崎クールジェンプロジェクトは、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの助成を受け、次世代石炭火力の実証を行っている。日本政府は、パリ協定に基づく長期戦略のなかで、CO2を資源として活用して有価化するカーボンリサイクル技術を推進している。