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 日本の自動車メーカーが収益悪化に苦しむ中、トヨタ自動車が2019年8月2日に発表した2019年度第1四半期(2019年4~6月)の連結決算は増収増益だった。世界販売台数も、前年同期の実績を上回った。

 同日に会見したトヨタ副社長の吉田守孝氏は、「これまで取り組んできた構造改革、体質強化(競争力強化)の成果が出始めた」と述べた(図1)。

吉田守孝氏
図1 トヨタ自動車副社長の吉田守孝氏
(撮影:日経Automotive)
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 ただ、自動車業界にはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)という技術トレンドが押し寄せており、各社との競争は激しさを増している。先端分野への研究開発投資など、収益を悪化させる要因は多い。

 こうした状況を受けて吉田氏は、「慢心している状況にはない。構造改革、体質強化を中心とするクルマ造り改革を、今後も加速していく」と強調した。

 トヨタのクルマ造り改革の中核となるのは、新たな開発・生産手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」である。2015年にハイブリッド車(HEV)の「プリウス」に初適用し、現在では15車種の開発・生産をTNGAに切り替えた。世界で生産する車両の約30%(約300万台)を占める(図2)。

TNGAの適用車
図2 TNGAの適用車
(出所:トヨタ自動車)
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 吉田氏によるとTNGAの導入によって、「競争力は確実に上がった」という。具体的には、部品の共有化などを含むグルーピング開発によって、導入前より開発工数を約25%減らした。設備の共有化などによって、生産ライン当たりの設備投資額も約25%削減できた。