2018年11月、日本の衛星システムを用いた高精度測位の本格運用が始まる。その最大の特徴は、測位精度の高さだ。使い方によっては、わずか数cmの誤差で位置を特定できる。GPSの測位は一般的に誤差数m以上のレベルなので、まさに桁違いである。この精度の高さが、様々な分野のIT活用に変化をもたらすと期待されている。
この衛星システムの名は「みちびき」。「準天頂衛星」あるいは「QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)」と呼ばれることもある。2018年6月現在、1~4号機の4機が打ち上げられている。2023年度をめどに7機体制とする計画だ。
3つの機能を提供するみちびき
みちびきとGPSの関係を整理しておこう。
世界には、測位に使う衛星システムが複数ある。このうち米国が運用しているのがGPSで、日本が運用しているのがみちびきである。このほかロシアのGLONASS、欧州のGalileo、中国のBeiDou、インドのNAVICなどがある。
打ち上げ済みの4機の軌道は2通りある。日本の真上に長くとどまる「準天頂軌道」をたどるのが1、2、4号機。3号機はBS衛星などと同じく、日本から見て低空または上空にいない位置にとどまる「静止軌道」をたどる。準天頂軌道をたどる3機は、日本のほぼ真上に約8時間位置する。3機が交替で日本の真上に来るようになっており、24時間いずれかの1機が真上に見える形となる。
みちびきは大きく3つの機能を提供する。(1)GPSの補完、(2)GPSの補強、(3)メッセージ機能――である。いずれも2018年11月から本格運用を開始する。高精度測位で注目されているのは、(2)のGPSの補強だ。各機能の概要を見ていこう。