野球場から「ボールパーク」へ。収益を確保し、ビジネスとして持続可能にするヒントが、建設中の北海道ボールパークFビレッジにある。温泉に漬かっての「ながら観戦」やマンション誘致など話題は尽きない。
「監督って呼ばないでください。ビッグボスでお願いします」。シャツの襟を立て、ワインレッドのスーツ姿にサングラスをかけて登場した渦中の人は、この一言でいきなり球界の話題をかっさらった。さながら先頭打者ホームランである。
北海道日本ハムファイターズ(札幌市)は2021年10月29日、来季から新庄剛志氏が新監督に就任すると発表。11月4日の就任会見は“新庄節”全開で、「僕がプロ野球を変えていきたい」と声高らかに宣言した。
プロ野球を変える──。この初心と呼応するように、スタジアムの概念を変え得る総工費600億円のビッグプロジェクトが、北海道北広島市で進んでいる〔写真1、2〕。開業は23年3月の予定だ。
新千歳空港からJR千歳線で約20分。進行方向左手の車窓に、北海道ボールパークFビレッジの巨大な建設現場が見えてくる。
近年、米国では野球場を「スタジアム」ではなく「ボールパーク」と呼ぶ。敷地内に飲食や宿泊、レジャー施設などを併設し、遊べる公園のような複合施設を指す。その名を冠している通り、Fビレッジは従来の野球場の概念を覆す仕掛けに富む。
「野球を見に来る施設ではなく、野球“も”楽しめる施設にしたい」。事業者である北海道日本ハムファイターズの前沢賢取締役は、目指す姿をこう表現する。野球観戦だけの短期滞在ではなく、数日間滞在できるよう挑戦的な施設を多数企画している。